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細胞内フローサイトメトリーの利点

  1. 細胞表面、細胞質、核区画に局在するタンパク質の同時検出が可能
  2. 細胞の表現型との直接相関
    • 細胞内タンパク質発現の相関性を直接的に解析することが可能
    • サイトカイン放出、転写因子の産生などの機能的な結果の相関性を直接的に解析することが可能
  3. 単一細胞ベースでのシグナル伝達の研究が可能
  4. 細胞懸濁液を使用したパスウェイの活性化/抑制の研究が可能
  5. 細胞内タンパク質発現の定量的な評価が可能

細胞内フローサイトメトリーは、ウェスタンブロッティングによる解析と比較して、シグナル伝達研究でのユニークな利点があります。ウェスタンブロッティングはプールされた細胞集団でのタンパク質レベルを検出します。したがって、低い割合の細胞で起こる稀なシグナル伝達イベントを検出するには、十分な感度が得られないこともあります。これは、陰性の結果として間違った解釈をされる可能性があります。フローサイトメトリーは単一細胞レベルのイベントを測定できることから、稀に起こるシグナル伝達イベント (下記の例を参照) を同定することができます。

ウェスタンブロット

ウェスタンブロット

細胞内フローサイトメトリー

細胞内フローサイトメトリー

非受容体型細胞質チロシンキナーゼであるSykは、B細胞受容体 (BCR) が活性化されることでリン酸化され、BCRからのシグナルを細胞内に伝達します。
10 μg/mLのIgMで10分間処理したPBMC集団と、未処理コントロールの細胞集団のSykの活性化をウェスタンブロッティングにより解析しました。Syk Antibody #2712を用いたTotal Sykタンパク質のウェスタンブロッティングにおいて、両方の細胞集団で適切な分子量の2本のバンドが検出されました。一方、Phospho-Syk (Tyr525/526) (C87C1) Rabbit mAb #2710を用いたリン酸化Sykの解析では、目に見えるバンドは検出されませんでした。SykはPBMCのうちB細胞の集団でのみ発現し、その中でも一部の集団においてIgM刺激によってSykの活性化が起こると考えられます。したがって、IgM処理の効果はタンパク質ライセート内で希釈されてしまい、ウェスタンブロッティングによる解析では検出できません。
同じ解析をフローサイトメトリーで実施する場合は、B細胞あるいはT細胞に特異的なマーカー (それぞれCD19とCD4) で共染色することによってB細胞を区別することができ、CD19陽性かつCD4陰性となるB細胞に絞ってSykのリン酸化を解析することができます。この場合も、未処理細胞ではSykの活性化はみられませんが、IgM処理後、B細胞のおよそ10%でSykのリン酸化がみられました。このように、フローサイトメトリーでは、ウェスタンブロッティングによる解析とは異なり、ヒトPBMCの不均一な細胞プールからB細胞の集団を分離して解析することができます。

CyTOF®マスサイトメトリーを用いた単一細胞プロテオミクスプラットフォームでは、金属標識抗体を使用することによって単一細胞で30以上のタンパク質の同時プロファイルが可能になります。

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