問題 | 考えられる原因 | 推奨される対処法 |
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問題 | 考えられる原因 | 推奨される対処法 |
フローサイトメーターで検出される蛍光シグナルが弱い、シグナルが検出されない。 | 処理による標的発現の誘導が十分でなかった。 | 各標的が測定可能な程度に誘導される処理条件の最適化を行ってください。 |
PBMCを使用している場合は、凍結サンプルの使用は避けてください。可能な限り、新鮮な細胞を用意してください。 | ||
適切なコントロールを使用してください:
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サンプルの固定、透過化のいずれか、または両方が不適切。 | 関心のある標的が細胞内標的の場合は、必ず適切な固定と透過化プロトコールを使用してください。標的により、または表面マーカーも同時に染色されるかにより、異なる固定と透過化条件が必要なことがあります。透過化を可能にするために、ホルムアルデヒド固定は、サポニン、Triton X-100、または90%メタノール (氷冷) と併せて使用することができます。70%エタノール (氷冷) は、特に細胞周期分析をおこなう場合など、固定の代替方法として使用することができます。 固定は、時に特定の表面エピトープ検出を妨げる原因となることもありますのでご留意ください。従って、細胞外と細胞内の共染色を行う前に、解析対象の細胞外エピトープが、固定液にどのように反応するかを試験することをお勧めします。 | |
固定液は処理の直後に加え、ホスファターゼ活性を阻害するために十分な高濃度で使用する必要があります (CSTでは4%ホルムアルデヒドを推奨しています)。 | ||
充分にクロスリンクされる前に、細胞内タンパク質が細胞の透過化で失われないように、必ずメタノール不含ホルムアルデヒドを使用してください。 | ||
メタノール透過化では、低浸透圧性ショックを防ぐために、氷冷メタノールの滴下追加の前に、細胞を氷上で冷却しておくことが極めて重要です。 | ||
標的の発現が低く、組み合わせた蛍光色素も暗い。 | 最も明るい蛍光色素 (例:PE) を最も発現密度の低い標的 (例:CD25) の標識に、そして最も暗い蛍光色素 (例:FITC) を最も発現密度の高い標的 (例:CD8) の標識に常に使用するようにしてください。 蛍光色素によっては、細胞内染色により適している場合もありますのでご留意ください。考慮すべき点は、その蛍光色素のサイズ、高次構造、安定性です。例えば、比較的分子量の大きい蛍光色素 (ある種の合成色素など) は、細胞膜や核膜を効率的に貫通することが難しいため、細胞内、特に核染色には向いていないとされています。 | |
二次抗体を使用する場合、その二次抗体の選択が間違っている (例えば、rabbit IgG一次抗体に対して、anti-mouse IgG PE標識二次抗体を誤って使用する)。 | 二次抗体は推奨濃度で追加し、それが一次抗体の正しい宿主種に対するものであるかを確認してください。 | |
フローサイトメーターのレーザーとPMT設定が、一次抗体または二次抗体に標識されている蛍光色素と適合していない可能性がある。 | レーザー波長とPMT設定が、使用している蛍光色素の励起波長と発光波長に一致しているかどうかを確認してください。 | |
細胞のスキャッタープロパティが最適ではない (例えば、前方散乱光および側方散乱光の値が低い)。 | 機器設定が間違っている。 | コントロールサンプルを使用するか、以前の実験からの機器設定を使用して、適切な機器設定をサイトメーターにロードしてください。 |
固定/透過化のサンプル調製が不十分。 | CST標準の細胞用フロープロトコール、またはヒト全血用フロー代替プロトコールに従ってください。指示通りに90%メタノールで透過化ステップを行うことが重要です。すなわち、均一に透過化させ、メタノールなどの低浸透圧液に急に晒されることで細胞が損傷しないように、穏やかにボルテックスしながら90%氷冷メタノールを細胞ペレットに滴下してください。 | |
サイトメーターのフローセルが詰まっている可能性がある。 | メーカーの指示に従い、サイトメーターの詰まりを取り除いてください (通常、10%漂白剤を5-10分間流した後、精製水 (dH2O) を5-10分間流してください)。 | |
細胞周期の分布を調べるためにサンプルを流す場合、DNA含量のヒストグラムで特徴的な細胞周期、すなわちG0/G1期、S期、G2/M期が分離されない。 | 流量が間違っている。 | お持ちのサイトメーターの最も遅い流量設定でサンプルを流すようにしてください。流量が高いと変動係数 (CV) を高く押し上げてしまうため、異なる細胞周期の分解能の低下につながります。 |
Propidium Iodide/RNase (PI) 溶液での染色が不十分。 | 細胞ペレットをPI/RNase溶液 (#4087) で直接再懸濁し、少なくとも10分間インキュベートしてください。蛍光チャンネルの構成上、PIを使用することができない場合は、代わりに、DRAQ5 (#4084) やDAPI (#4083) のような代替となるDNA色素をお使いください。 | |
細胞が増殖していない。 | 細胞は非同期成長と指数関数成長中に採取し、細胞周期のすべてが確かに検出されるようにしてください。 | |
ネガティブ細胞集団のシグナルが高い。 | 標的外の細胞集団 (モノサイトなど) がFc表面受容体を発現する可能性がある。これにより、一次抗体や二次抗体のFc部分に結合し、非特異的染色の原因となる可能性がある。 | 染色前に、ウシ血清アルブミン、Fc受容体ブロッキング試薬、または一次抗体や二次抗体と同じ宿主からの正常血清で、細胞のブロッキングを試してみてください。 |
バックグラウンド染色が一次抗体か二次抗体のどちらに由来するかを判断するには、二次抗体のみを含むコントロールを使用してください。 | ||
抗体のインキュベーションの間に、洗いのステップを追加してください。 | ||
フロー代替プロトコールを使用した際に、赤血球細胞溶解が不完全である。 | 赤血球細胞の残骸を取り除くために、追加の洗いが必要な可能性がある。 | 必要に応じて、各ステップの間に最大3回の洗いを追加してください。 |
0.1% Triton X-100溶液が新鮮でない可能性がある。 | 新鮮な試薬を使用して、既に最適化されているCSTのフローサイトメトリーのプロトコールに厳密に従ってください。 | |
フロー代替プロトコールは、Chowらの (2005) Cytometry Part A 67A:4–17をもとに作成されました。また、これはリソースとして今度使用することができます。 | ||
抗体は他のアプリケーションで使用できるが、フローサイトメトリーでは使用できない。 | 抗体が製品データシート上で、フローサイトメトリーに推奨されていない。 | この抗体は、試験されていないか、フローサイトメトリーの検証でCSTが設定している基準を満たしていません。 |
免疫蛍光染色のみに推奨されている抗体は、一連のタイトレーションを行って最適濃度を決定することで、フローサイトメトリー用として使用できる可能性があります。 | ||
抗体の試験状況/試験結果についての詳細情報は、テクニカルサポートまでお問い合わせください。 | ||
バックグラウンドが高い。 | 抗体が多すぎる。 | 推奨されている抗体の希釈率を使用してください。CSTが推奨する希釈率は、105-106細胞用に最適化されています。細胞数が少ない場合は、お客様ご自身でタイトレーションされることをお勧めします。 |
2ステップの抗体染色。 | 可能な限り、ビオチン標識抗体の使用は避けてください。これらは、ストレプトアビジンや抗ビオチン二次抗体により細胞内の内因性ビオチンが検出されるため、細胞内染色をする際の高いバックグラウンドの原因となる傾向があります。 | |
可能な限り、直接染色をおこなってください。 | ||
死細胞が存在する。 | 生存細胞の表面染色を行う場合は、死細胞を除外するために、PIまたは7-AADなどの生死判別色素を使用してください。ただし、固定した細胞で染色を行う場合は、シグナルが固定処理に影響を受けず細胞内染色と併せて使用できるeFluorのような生死判別色素を使用してください。 | |
自家蛍光が高い。 | 特定の細胞タイプ (好中球など) が、他と比較してより高いレベルの自家蛍光を発している点に注意が必要です。 この問題に対処するために、2つの非相互の排他的アプローチを取ることができます。
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