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Multiplex Oligos for Illuminaプロトコール (Single Index Primers) (ChIP-seq, CUT&RUN)

次世代シーケンシング (NG-seq) は、クロマチン免疫沈降 (ChIP) やCUT&RUN (Cleavage Under Targets and Release Using Nuclease) アッセイのデータを利用し、領域の特定やゲノム全体における標的DNAの定量などのハイスループット解析に用いられます。Multiplex Oligos for Illumina (Single Index Primers) (ChIP-seq, CUT&RUN) には、Illuminaプラットフォーム (Illumina, Inc.) でNG-seq解析を行うための、マルチプレックスサンプル調製に最適なアダプターとプライマーが含まれています。このキットは、最大12種類のバーコード標識されたChIP-seqまたはCUT&RUN DNAライブラリー調製に使用することができ、これらのライブラリーをまとめて1回のシーケンシング反応で解析することができます。

各キットの構成品は、厳密な品質管理基準を満たしています。新しいロットは、キット全体を用いてIlluminaシーケンシングプラットフォームでのインデックスライブラリーの構築およびシーケンシングにより検証されています。

この製品には、最大24回分のDNAシーケンシングライブラリーを調製するための試薬が含まれます。また、この製品はDNA Library Prep Kit for Illumina (ChIP-seq, CUT&RUN) #56795と組み合わせて使用する必要があります。

適合するアッセイキット:

  • CUT&RUN Assay Kit #86652
  • SimpleChIP® Enzymatic Chromatin IP Kit (Magnetic Beads) #9003
  • SimpleChIP® Plus Enzymatic Chromatin IP Kit (Magnetic Beads) #9005
  • SimpleChIP® Plus Sonication Chromatin IP Kit (Magnetic Beads) #56383

適合しないアッセイキット:

注意: アガロースビーズはソニケーションされたサケ精子DNAでブロッキングされており、DNAライブラリーやNG-seqに混入します。

  • SimpleChIP® Enzymatic Chromatin IP Kit (Agarose Beads) #9002
  • SimpleChIP® Plus Enzymatic Chromatin IP Kit (Agarose Beads) #9004

DNAライブラリーの調製に必要なその他の製品:

  • DNA Library Prep Kit for Illumina (ChIP-seq, CUT&RUN) #56795

必要な試薬:
キットに含まれている試薬:

  1. (赤) Adaptor for Illumina #42436
  2. (赤) USER Enzyme #59713
  3. (青) Universal PCR Primer for Illumina #12078
  4. (青) Index 1 Primer for Illumina #28248
  5. (青) Index 2 Primer for Illumina #41836
  6. (青) Index 3 Primer for Illumina #64036
  7. (青) Index 4 Primer for Illumina #83765
  8. (青) Index 5 Primer for Illumina #18392
  9. (青) Index 6 Primer for Illumina #27180
  10. (青) Index 7 Primer for Illumina #43985
  11. (青) Index 8 Primer for Illumina #68962
  12. (青) Index 9 Primer for Illumina #83219
  13. (青) Index 10 Primer for Illumina #90275
  14. (青) Index 11 Primer for Illumina #28019
  15. (青) Index 12 Primer for Illumina #39090

キットに含まれない試薬:

  1. ChIPまたはCUT&RUN Illumina NG-seqライブラリー調製に適した酵素とバッファー:DNA Library Prep Kit for Illumina (ChIP-seq, CUT&RUN) #56795に含まれています
  2. Nuclease-free Water #12931
  3. AMPure XP Beads (Beckman Coulter, Inc. #A63881) またはSPRIselect Reagent Kit (Beckman Coulter, Inc. #B23317)
  4. 用時調製した80%エタノール
  5. 1X TE (10 mM Tris-HCl pH 8.0、1 mM EDTA)
  6. 10 mM Tris-HCl (pH 8.0-8.5)
  7. Magnetic Separation Rack #7017/#14654
  8. BioanalyzerとAgilent High Sensitivity DNA Kit (Agilent Technologies, Inc.)
  9. 、PCRチューブとPCR

Multiplex Oligos for Illumina (Single Index Primers) (ChIP-seq, CUT&RUN) のプロトコール

I. ロープレックスでサンプルをプールする場合のガイドライン:

Illumina NG-seqプラットフォームでは、A/Cのシーケンスには赤色レーザー/LEDを、G/Tのシーケンスには緑色レーザー/LEDを使用しています。各サイクルにつき、赤と緑の両方のチャンネルで読み取り、適切な画像のレジストレーションを行う必要があります (すなわち、各サイクルでAかCが存在し、各サイクルでGかTが存在する必要があります)。インデックスリードのシーケンシングの際、この色のバランスが保たれていないと、失敗の原因となります。各インデックスのシーケンスをチェックして、各サイクルに対して赤と緑両方のチャネルでシグナルを持つインデックスが使用されているかどうかを確認してください。以下の例をご参照ください:

インデックス表

下の表は、一緒にシーケンスすることができる、有効なインデックスの組み合わせの一部 (すべてではありません) を、リスト化したものです。

一緒にシーケンスできる有効なインデックスの組み合わせ

Multiplex Oligos for Illumina (Single Index Primers) (ChIP-seq, CUT&RUN) は、各インデックスプライマーを Universal PCR Primer for Illuminaと組み合わせて一度のみ使用することにより、バーコードを付加したライブラリーを12種類調製することが可能です。各インデックスプライマーには2回分のライブラリー調製に十分な量が含まれますが、同じインデックスプライマーを用いたライブラリーを一度のシーケンシング反応で同時解析することはできません。

1プレックス (プールなし) で解析を行う場合は、いずれかのインデックスプライマーをユニバーサルPCRプライマーと組み合わせて使用してください。

II. Index 1-12 Primers for Illumina:

各Index Primer for Illuminaは、10 µLの容量で提供されています。

-s-はホスホロチオエート結合を示しています。

III. PCR反応の設定

  1. 有効な組み合わせのインデックスプライマーを使用していることを確認してください。正しいプライマー選択が行われていることの確認はセクションIとIIをご参照ください。
  2. 各PCRチューブに、いずれか一種類のインデックスプライマー () (5 µL) と、ユニバーサルPCRプライマー () 5 µLを加えてください。クロスコンタミネーションを避けるために、チューブ間で異なるチップを使用することが重要です。
  3. 各PCRチューブに加えたインデックスプライマーを記録してください。
  4. Q5 PCR Master Mix () 25 µLをプライマーを含む各チューブに加えてください。
  5. アダプターを連結したChIP DNA 15 µLを最終容量50 µLになるように、対応するチューブに加えてください。ピペッティングにより、5–10回穏やかに上下させて、混ぜ合わせてください。クロスコンタミネーションを避けるために、サンプル間でチップ交換することが重要です。
  6. PCRチューブに、加えたDNAサンプル (アダプターを連結したDNA) を記録しておいてください。
  7. スピンダウンし、推奨のサイクル条件に従ってPCRを実行してください (ChIP-DNAまたはCUT&RUNに用いるDNAの初期サンプル量については、DNA Library Prep Kit for Illumina (ChIP-seq, CUT&RUN) #56795のプロトコールを参照してください)。
 

参考:キット構成品の品質管理

SimpleChIP® ChIP-seq Multiplex Oligos for Illumina (Single Index Primers) #29580の構成品は、以下に記載された機能試験によって検証されており、厳格な品質管理基準を満たしています。さらに、インデックス化されたライブラリーの調製を行い、Illuminaシーケンシングプラットフォームで シーケンシング解析を行うことで、構成品の各セットが機能することを確認しています。

I. Adaptor for Illumina (15 μM) ()

5´-/5Phos/GAT CGG AAG AGC ACA CGT CTG AAC TCC AGT C/ideoxyU/A CAC TCT TTC CCT ACA CGA CGC TCT TCC GAT C-s-T-3´

品質管理アッセイ

  1. 16時間のインキュベーション:アダプターとHindIIIにより消化されたLambda DNA 1 μgを含む反応液50 μLをインキュベート (37℃、16時間) した場合、アガロースゲル電気泳動により検出可能な非特異的ヌクレアーゼ分解はみられません。1X 濃度の反応バッファーとT3 DNA 1 μgを含む反応液50 μLをインキュベート (37℃、16時間) した場合も同様に、アガロースゲル電気泳動により検出可能な非特異的ヌクレアーゼ分解はみられません。
  2. エンドヌクレアーゼ活性:アダプター最低5 µLとφX174 RF 1 DNA 1 µgを混合し、アッセイバッファー50 µL中でインキュベート (37℃、4時間) した場合、アガロースゲル電気泳動により検出されるRF II (ニック分子) への変換は10%未満です。
  3. ホスファターゼ活性:アダプター最低10 µLと2.5 mM p-Nitrophenyl phosphate を混合し、タンパク質ホスファターゼアッセイバッファー (1 M Diethanolamin (pH 9.8)、0.5 mM MgCl2) 中でインキュベート (37℃、4時間) した場合、分光分析法 (405 nm) により検出可能なp-Nitrophenylene anionの産生はみられません。
  4. RNase活性:アダプターとFAMラベルしたRNA転写物40 ngを混合しインキュベート (37℃、16時間) した場合、ポリアクリルアミド電気泳動で検出可能なRNase活性はみられません。

II. USER Enyzme ()

溶液組成:50 mM KCl、5 mM NaCl、10 mM Tris-HCl (25°CでのpH 7.4)、0.1 mM EDTA、1 mM DTT、175 μg/mL BSA、50% Glycerol

品質管理アッセイ

  1. 非特異的DNase活性 (16時間):Uracil DNA Glycosylaseを最低50ユニットとLambda DNA 1 µgを混合し、 50 µLのNEBuffer 1中でインキュベート (37℃、16時間) した場合、アガロースゲル電気泳動により検出可能なヌクレアーゼ活性はみられません。Endonuclease VIIIを最低25ユニットとLambda-HindIII DNA 1 μgを混合し、Endonuclease VIII反応バッファー50 μL中でインキュベート (37℃、16時間) した場合も同様に、アガロースゲル電気泳動で検出可能なヌクレアーゼ分解はみられません。
  2. エキソヌクレアーゼ活性 (放射線の放出):Uracil DNA Glycosylaseを最低50ユニットと [3H] ラベルした単鎖および二本鎖E. coli DNAの混合物 1 µgを混合し、 50 µLのNEBuffer 1中でインキュベート (37℃、4時間) した場合に放出される放射線は、全放射線の0.1%未満です。また、Endonuclease VIIIを最低10ユニットと、単鎖および二重鎖 [503H] ラベルした単鎖および二本鎖E. coli DNAの混合物 1 µgを混合し、Endonuclease VIII反応バッファー 中でインキュベート (37℃、4時間) した場合、放出される放射線は、全放射線の0.5%未満です。
  3. エンドヌクレアーゼ活性 (ニッキング):Uracil DNA Glycosylaseを最低50ユニットとスーパーコイルφX174 DNA 1 µgを混合し、UDG反応バッファー50 µL中でインキュベート (37℃、4時間) した場合、アガロースゲル電気泳動により検出可能なニック型への変換は 10%未満です。
  4. ホスファターゼ活性:1X 濃度のUSER Enzymeを最低10 µLと2.5 mM p-Nitrophenyl phosphateを混合し、タンパク質ホスファターゼアッセイバッファー (1 M Diethanolamine (pH 9.8)、0.5 mM MgCl2) 中でインキュベート (37℃、4時間) した場合、分光分析法 (405 nm) で検出可能なp-Nitrophenylene anionの産生はみられません。

III. Universal PCR Primer for Illumina (10 μM) ()

5´-AAT GAT ACG GCG ACC ACC GAG ATC TAC ACT CTT TCC CTA CAC GAC GCT CTT CCG ATC*T-3´

品質管理アッセイ

  1. 16時間のインキュベーション:プライマーとHindIIIにより消化されたLambda DNA 1 μgを含む反応液50 μLをインキュベート (37℃、16時間) した場合、アガロースゲル電気泳動により検出可能な非特異的ヌクレアーゼ分解はみられません。プライマー1 μLとT3 DNA 1 μgを含む反応液50 μLをインキュベート (37℃、16時間) した場合も同様に、アガロースゲル電気泳動により検出可能な非特異的ヌクレアーゼ分解はみられません。
  2. エンドヌクレアーゼ活性:プライマーを最低5 µLとφX174 RF 1 DNA 1 µgを混合しインキュベート (37℃、4時間) した場合 (反応液50 µL)、アガロースゲル電気泳動により検出されるRF II (ニック分子) への変換は10%未満です。
  3. RNase活性:プライマー1 μLとFAMラベルされたRNA転写物40 ngを混合しインキュベート (37℃、16時間) した場合、ポリアクリルアミド電気泳動により検出可能なRNase活性はみられません。
  4. ホスファターゼ活性:プライマー最低10 μLと2.5 mM p-Nitrophenyl phosphateを混合し、タンパク質ホスファターゼアッセイバッファー (1 M Diethanolamin (pH9.8)、0.5 mM MgCl2) 中でインキュベート (37℃、4時間) した場合、分光分析法 (405 nm) で検出可能なp-Nitrophenylene anionの産生はみられません。

IV. Index 1-12 Primers for Illumina (10 μM) ()

品質管理アッセイ

  1. 16時間のインキュベーション:Index [X] Primer for Illumina 1 μLとHindIIIにより消化されたLambda DNA 1 μgを含む反応液 50 μLをインキュベート (37℃、16時間) した場合、アガロースゲル電気泳動で検出可能な非特異的ヌクレアーゼ分解はみられません。Index [X] Primer for IlluminaとT3 DNA 1 μgを含む反応液 50 μLをインキュベート (37℃、16時間) した場合も同様に、アガロースゲル電気泳動で検出可能な非特異的ヌクレアーゼ分解はみられません。
  2. エンドヌクレアーゼ活性:Index [X] Primer for Illumina 1 μLと、φX174 RF IスーパーコイルDNA 1 μgを混合しインキュベート (37℃、4時間) した場合 (反応液50 μL)、アガロースゲル電気泳動で検出されるRF II (ニック分子) への変換は10%未満です。
  3. RNase活性:Index [X] Primer for Illumina 1 μLとRNA転写物 40 ngを混合しインキュベート (37℃、16時間) した場合 (反応液10 μL)、ゲル電気泳動で検出可能なRNA分解はみられません。
  4. ホスファターゼ活性:Index [X] Primer for Illuminaと 4 mM p-Nitrophenyl phosphateを混合し、タンパク質ホスファターゼアッセイバッファー (1 M Diethanolamine (pH 9.8)、0.5 mM MgCl2) 中でインキュベート (37℃、2.5時間) した場合、分光分析法 (405 nm) で検出可能なp-Nitrophenylene anionの産生はみられません。

更新:2022年6月