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ELISA (Enzyme-Linked Immunosorbent Assay) 実験の最適化

実験デザインの最適化

ELISA実験をデザインし開発する場合、補足抗体、検出抗体、ブロッキングバッファー、希釈液、サンプル濃度などの設定を行います。まず、実験目的に適した形式のELISAを選択してプロトコールを開発していきます。信頼性の高いELISA結果を得るには、様々な構成要素を体系的に調節し試験することが重要です。

CSTは、可能な限り高品質な製品とサポートをご提供するため、自社でELISA製品の開発と製造を行い、厳密な検証を実施しています。それぞれのCSTのバッファーは、CST製品 (キットに同梱される他のバッファー類や、CSTのELISA Antibody Pair) と組み合わせてご利用いただく場合に最適な結果が得られるようにデザイン、検証されていますが、個別にお求めいただくことも可能です。

重要なパスウェイ制御分子の総タンパク質量や翻訳後修飾の測定にご利用いただける、Pathscan® ELISAキット、FastScan™ ELISAキットの豊富な製品ラインナップをご用意しています。FastScan™ ELISAキットは、洗浄とインキュベーションステップを減らした簡便なプロトコールを採用しており、わずか90分程度で実験結果を得ることができます。

CSTは、最適化、検証済みのELISAキットを多数ご用意していますが、お客様がご自身でELISAシステムをデザインする場合にご注意いただくべき点をこちらでご紹介します。

適切な抗体の選定

抗体ペアの選択はELISAに大変重要であり、特異性と感度を十分に評価する必要があります。

モノクローナル抗体、ポリクロナール抗体については、次に挙げるポイントを考慮して、どちらを採用するか決定します。

  • モノクローナル抗体は単一のエピトープを認識するため、高い特異性が期待できます。すなわち、非特異結合で標的とは異なる抗原を検出 (あるいは捕捉) する可能性は低くなります。また、クローン化されているため、均質な抗体の安定な供給が期待できます。
  • ポリクローナル抗体は、異なるエピトープに結合する抗体の集合であるため、高い感度 (あるいは低い捕捉漏れ) が期待できます。抗体の供給に制限があることがあるので、研究プランに合わせて、必要量の供給が得られるかどうか確認すると良いでしょう。ポリクローナル抗体の特異性はロットごとに異なり、長期的な研究に利用する場合は時間とともに反応性が変化する可能性があるため、標準化が重要になります。

 

CSTは、最適なELISA結果を得ることができるように検証して選定した抗体ペアの包括的な製品ラインナップをご用意しています。

最適な抗体濃度の決定

捕捉抗体と検出抗体を段階希釈して試験することで、抗体の最適濃度を決定します。これらを適切なコントロールと比較し、検出可能な抗体濃度の範囲と、実験設定に由来する誤差 (artifact) を確認します。抗体濃度を最適化することで高いS/N比を得ることができ、定量性のあるダイナミックレンジも広くなります。

S/N比を増加させる

ELELISAアッセイでバックグラウンドノイズを低減する、またはシグナル増加させるには、いくつかの要因を検討する必要があります。

  • アッセイに必要な感度
  • 抗体の特異性
  • 検出法

 

さらに次を最適化する必要もあります:

  • インキュベーションの時間と温度
  • ブロッキング条件 (ブロッキングバッファーの最適化)
  • 洗浄のステップ、洗浄の回数など

 

適切なバッファーの選択

ウェル間のデータのばらつきを抑え、S/N比を改善するため、ELISAに用いるそれぞれのバッファーについて下記の要素を検討します。

  • コーティングバッファー:プレートを抗体あるいは抗原でコーティングする際に用いるバッファーで、タンパク質の生物学的活性や安定性を保存する必要があります。このバッファーがエピトープを変化させたり、結合に干渉することがあってはなりません。
  • ブロッキングバッファー:検出抗体がELISAプレートに非特異的に吸着することを防ぐために使用します。コーティング処理をしたプレート上に存在する、抗体 (あるいは抗原) の隙間への吸着を抑えるため、非イオン性界面活性剤の濃度や、不活性な非特異的タンパク質の濃度を最適化します。
  • 洗浄バッファー:バックグラウンドノイズを低減させつつ、抗原-抗体複合体を安定に保持するように、塩濃度、界面活性剤濃度、pHを最適化します。
  • 細胞溶解/結合バッファー:細胞溶解バッファーは、抗原-抗体結合に干渉することなく細胞を溶解できるよう、最適化することが必要です。

 

ウェル間の一貫性の重要性

信頼性の高い結果を得るため、すべてのウェルで均一な条件で試験が行われる必要があります。ウェル間のばらつきをさらに回避するため、サンプルのピペッティングと洗浄は正確かつ均一に行います。マルチチャネルまたは自動的ピペッティングと洗浄システムを使用すれば、結果の改善が期待できます。さらに、温度や湿度など、ウェルプレートの条件にも注意を払う必要があります。