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CUT&RUNのトラブルシューティングガイド

A:細胞のジギトニンに対する感受性の決定

CUT&RUNプロトコールでは、バッファーへのジギトニンの添加は、細胞膜の透過化および一次抗体とpAG-MNaseの細胞と核への進入を促進します。よって、バッファーが適量のジギトニンを含むことは、抗体と酵素の結合および標的ゲノム遺伝子座の消化に不可欠です。異なる細胞株は、ジギトニンの細胞透過化に対して異なる感受性を示します。このプロトコールで推奨されるジギトニンの量は、ほとんどの細胞株の透過化に十分なはずですが、使用する特定の細胞株に対し初期試験の実施を推奨します。過剰なジギトニンの添加はアッセイに対して有害ではないことが分かっていますので、濃度曲線を作成する必要はありません。むしろ、推奨されるジギトニンの量が使用する細胞株に十分かどうかを、簡単な試験により判断します。

実験開始前の準備:

  • Digitonin Solutionを取り出して、90 - 100°Cで5分間温めてください。必ず完全に解凍してください。解凍したDigitonin Solutionはすぐに氷上に置いてください。

    注意:Digitonin Solutionは-20°Cで保管する必要があります。使用中は氷上に置き、使用が終了したら-20°Cで保管してください。

  • 各細胞株に対して、ジギトニンバッファー (10X Wash Buffer 10 µL + Digitonin Solution 2.5 µL + 水87.5 µL) 100 µLを調製してください。この試験には、スペルミジンやProtease Inhibitor Cocktailを加える必要はありません。
  1. 100,000個の細胞を1.5 mLチューブに回収してください。
  2. 室温、3分間、600 x gで遠心分離し、液体を取り除いてください。
  3. 細胞ペレットをジギトニンバッファー100 µLに再懸濁して、室温で10分間インキュベートしてください。
  4. 細胞懸濁液10 µLを0.4% Trypan Blue 10 µLと混合してください。
  5. 血球計あるいは細胞カウンターを使用して、染色された細胞の数と細胞の総数を計数してください。十分な透過化により、Trypan Blueで細胞の90%以上が染色されます。
  6. 90%以下の細胞しかTrypan Blueで染色されなかった場合は、ジギトニンバッファーに加えるDigitonin Solutionの量を増加させて、90%以上の細胞が透過化され染色されるまで、ステップ1 - 5を繰り返してください。セクションI、II、IIIでは、この量のDigitonin Solutionを使用してください。

B:インプットサンプルのソニケーションの最適化

DNAスピンカラムを使用して精製できるのは、10 kb以下に断片化されたゲノムDNAだけであることから、インプットDNAサンプルのソニケーションを推奨します。さらに、1 kb以下に断片化されたゲノムDNAは、NG-seq解析でネガティブコントロールとして使用できます。インプットDNAの長さが100 - 600 bpになるように、ソニケーションを最適化する必要があります。

細胞のゲノムを便利でバイアスなく表記するため、NG-seqにインプットサンプルを使用することを推奨します。IgGのサンプルもNG-seqのネガティブコントロールとして使用できますが、非特異的な結合によりゲノムの特定領域の濃縮を示すことがあります。断片化されていないインプットDNAは、qPCR解析に使用できます。ただし、断片化されていないDNAは、フェノール/クロロホルム抽出とそれに続くエタノール沈殿により精製する必要があります。

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、調製するインプットサンプルの数に比例して増加させる必要があります。

  • DNA Extraction Bufferを取り出して、室温で温め、完全に解凍され溶液状になっていることを確認してください。
  • 各インプットサンプルに対して、1X Wash Buffer (10X Wash Buffer 210 µL +水1.89 mL) 2.1 mLを調製して、細胞へのストレスを最小限にするため、室温に戻してください。このWash Bufferには、スペルミジンやProtease Inhibitor Cocktailを加える必要はありません。
  • 各インプットサンプルに対して、Proteinase K 2 µL + RNAse A 0.5 µL + DNA Extraction Buffer (インプットサンプルあたり200 µLとなるよう) 197.5 µLを調製してください。
  1. 1.5 mLチューブに、各ソニケーション条件あたり100,000個の細胞を回収してください。
  2. 室温、600 x gで3分間遠心分離して、液体を取り除いてください。
  3. 1X Wash Buffer 1 mLを加えて、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  4. 室温、600 x gで3分間遠心分離して、液体を取り除いてください。
  5. ステップ3と4を繰り返して、2回目の細胞ペレットの洗浄を実施してください。
  6. 各100,000個の細胞に、1X Wash Buffer 100 µLを加えて、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  7. 細胞懸濁液100 µLを、各ソニケーション条件ごとに新しいチューブに分注してください。

    注意:このサンプルは、ステップ9で55°Cでインキュベートするので、インキュベート中の蒸発を減少させるためセーフロックの付いた1.5 mLチューブを使用することを推奨します。

  8. 各サンプルにDNA Extraction Buffer (+ Proteinase K + RNAse A) 200 µLを加えて、ピペッティングで上下させて混合してください。
  9. チューブを55°Cで振盪しながら、1時間インキュベートしてください。
  10. チューブを氷上に5分間置いて、サンプルを完全に冷却してください。
  11. お使いのソニケーターの最適なソニケーション条件を決定するには、15秒間のパルスソニケーションのサイクル数を増加させながら、タイムコース実験を実施してください。ソニケーション処理の合間は、サンプルを氷上に30秒間置いてください。
  12. 18,500​ x gで10分間、4°Cで遠心分離し、溶解物を清澄化してください。上清を新しい1.5 mLチューブに移してください。
  13. セクションVに従って、DNAスピンカラムあるいはフェノール/クロロホルム抽出とそれに続くエタノール沈殿によってDNAサンプルを精製してください。
  14. スピンカラムからDNAを溶出するか、DNAのペレットを1X TEバッファーあるいはNuclease-free Water 30 µLで再懸濁してください。
  15. 電気泳動でDNA断片のサイズを決定してください。100 bp DNAマーカーと共に15 µL以上のサンプルを、1%アガロースゲルにロードしてください。ゲル上のDNAスメアを観察するため、色素フリーのローディングバッファー (30% グリセロール) の使用を推奨します。
  16. 最適なサイズである100 - 600 bpのDNA断片が得られるソニケーション条件を選択して、セクションIII、ステップ4のインプットサンプルの調製を実施してください。最適なソニケーション条件が得られない場合は、ソニケーターの出力設定あるいはソニケーションのサイクル数を増減させて、ソニケーションのタイムコース実験を繰り返してください。

C:トラブルシューティングガイド

問題 考えられる原因 推奨される対処法
問題 考えられる原因 推奨される対処法
1. Concanavalin Aのビーズが実験中に凝集する。 ビーズの凝集は正常で、通常はアッセイに影響しません。 ピペッティングで静かに上下させて、凝集したビーズを再懸濁してください。
ビーズと細胞の室温でのインキュベート時間が長すぎます。 Concanavalin A Magnetic Beadsは4°Cで活性化し、細胞のインキュベート時間は5分以内にしてください (セクションI、ステップ14)。
調製中に細胞が溶解しています。 細胞のストレスを最小限にするため、細胞は室温でできるだけすばやく調製してください (セクションI、ステップ7 - 16)。
ジギトニンの濃度が高すぎるのかもしれません。 一部の細胞はジギトニンに対して感受性が高く、高い濃度では溶解する場合があります。ジギトニンの量を減少させてください。ただし、使用する量が細胞の透過化に十分であることを確認してください (APPENDIX Aを参照)。
2. 精製されたDNAサンプルからPicoGreenによるDNA定量アッセイでDNAが検出されない。 これは、10,000個以下の少ない細胞数から開始した場合は一般的ですが、推奨されている100,000個の細胞から開始した場合は、DNAは検出されるはずです。 PicoGreenによるDNA定量アッセイを使用してください。NanoDrop、Bioanalyzer®、Tapestation®を使用しても、通常、精製されたDNAは検出できません。
細胞が計数されてないか、細胞が調製中に損失あるいは溶解しています。 使用する細胞培養は60 - 90%がコンフルエントで、生細胞が90%以上の健康な状態である必要があります。
細胞のストレスを最小限にするため、細胞は室温でできるだけすばやく調製してください。
細胞の損失を最小限にするため、細胞の洗浄はすべて1つのチューブで実施してください (セクションI、ステップ7 - 16)。
ジギトニンが細胞を効果的に透過化していません。 Digitonin Solutionは-20°Cで保管してください (-20°C以上では不安定になります)。
ジギトニンの量が使用する細胞株の透過化に十分であることを、試験して確認してください (APPENDIX Aを参照)。
pAG-MNase酵素が適切に機能していません。 pAG-MNaseは非常に安定しており、適切に保管すれば長期間活性を維持できるはずです。
pAG-MNaseは活性にCa2+二価カオチンが必要です。酵素の活性化のため、塩化カルシウムを加えてください (セクションIII、ステップ8)。
30分間インキュベートして、酵素がクロマチンを十分に消化できるようにしてください (セクションIII、ステップ9)。
反応に十分な抗体が加えられていないか、CUT&RUNアッセイで抗体が機能していません。 すべての抗体がCUT&RUNで機能するわけではありません。可能であれば、CUT&RUN用に検証済みの抗体を使用してください。ChIP用あるいはIF用に検証済みの抗体の一部も、CUT&RUNで機能します。
ポジティブコントロールのTri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAbを含めることで、アッセイが機能していることを確かめてください。
3. qPCR解析あるいはNG-seq解析でシグナルがない。 考えられる原因として、問題2を参照してください。 推奨事項は、問題2を参照してください。
qPCR反応に加えたDNA量が十分ではありません。 PCR反応により多くのDNAを使用するか、サイクル数を増加させてください。
NG-seq DNAライブラリーの調製に十分なDNAが加えられていません。 PicoGreenによるDNA定量アッセイによって精製されたDNAを定量して、推奨された量の開始DNAおよびPCR増幅サイクル数を使用してください (セクションVIIを参照)。
PCRの増幅領域が、ヌクレオソームのない領域に及んでいる可能性があります。 CUT&RUNアッセイで生成されるDNA断片は、通常、ChIPアッセイで生成されるDNA断片よりも小さくなります。そのため、60 - 80 bpの増幅産物を生成するプライマーをデザインすることが重要です。
4. qPCR解析あるいはNG-seq解析でバックグラウンドシグナルが高い。 サンプルの過酷な処理によって、ゲノムDNAが高度に断片化されています。 CUT&RUNアッセイでのバックグラウンドシグナルを決定するため、Rabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control (CUT&RUN) #66362をネガティブコントロールとして常に使用してください。
DNAの断片化を最小限にするには、細胞を再懸濁する際に、激しいボルテックスと気泡の混入を避けてください。
細胞のストレスと溶解によって、ゲノムDNAが高度に断片化されています。 細胞のストレスを最小限にするため、細胞は室温でできるだけすばやく調製してください。細胞の損失を最小限にするため、細胞の洗浄はすべて1つのチューブで実施してください (セクションI、ステップ7 - 16)。
消化が0°Cで実施されなかったため、クロマチンが過剰に消化されています。 消化は氷水中で実施する必要があります。高温での消化は、バックグラウンドシグナルを大幅に増大させる可能性があります。
塩化カルシウムを加えて消化を開始する前に、事前に細胞サンプルと塩化カルシウムを氷水中で5分間冷却してください。サンプルはすばやく混合して、氷水中に戻します。
大きな非特異的ゲノムDNAが上清に拡散し、標的の消化によって放出されたより小さな断片とコンタミネーションする可能性があります。 サンプルは37°Cで10分以上はインュべートしないでください。インキュベート中は振盪しないでください (セクションIII、ステップ11)。消化された断片が上清に拡散するには、10分間で十分です。
qPCR解析の前に、AMPure® XP BeadsあるいはSPRIselect® Reagentキットを使用してサイズ選択をすることで、大きなゲノムDNA断片を除去できます。
NG-seq解析では、ライブラリーの構築にてPCR増幅時間を10 - 15秒間と短くして、大きなDNA断片に対する増幅を除外します。
使用する抗体が多すぎるため、非特異的な結合と消化が生じています。 可能であれば、CUT&RUN用に検証済みの抗体を、推奨された希釈率で使用してください。ChIP用あるいはIF用に検証済みの抗体は、多くの場合、ChIPあるいはIFに推奨された希釈率でCUT&RUNに使用できます。お使いの抗体は、タイトレーションする必要のある場合があります。
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