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ウェスタンブロッティングプロトコール (蛍光)

蛍光ウェスタンブロッティングを行う場合、TrueBlack® Fluorescent Western Blot Blocking Buffer Kit #40683を用いることを強く推奨します。本キットは、蛍光標識抗体とウェスタンブロッティング用メンブレンの非特異的な相互作用を防ぎ、蛍光ウェスタンブロットアッセイで特異性と感度が増加するように特別に調整されています。このため、標準的な抗体希釈液やブロッキングバッファーに比べ、TrueBlack® Fluorescent Western Blot Blocking Buffer Kitを用いることで、低バックグラウンドでより強い標的シグナルを得ることができます。本キットを使用する場合は、製品ウェブページまたはデータシートに記載されているキットの専用プロトコールに従ってください。

図1

LY294002 #9901またはCalyculin A #9902で処理した (+)、もしくは未処理 (-) のJurkat細胞から細胞抽出物を調製し、Phospho-Akt (Ser473) (D9E) XP® Rabbit mAb #4060 (上段)、Akt (pan) (C67E7) Rabbit mAb #4691 (中段)、 β-Actin (D6A8) Rabbit mAb #8457 (下段) を用いたウェスタンブロッティングで解析しました。ウェスタンブロッティング用メンブレンを、弊社の標準的な抗体希釈液とブロッキングバッファー (左) またはTrueBlack® Fluorescent Western Blot Blocking Buffer Kit (右) で処理しました。TrueBlack® Fluorescent Western Blot Blocking Buffer Kitを用いた場合、抗体感度の増加とバックグラウンド蛍光の低減が観察されました。

注意:二色同時検出のウェスタンブロッティングでは、異なる種の一次抗体と、異なる色素で標識した適切な二次抗体が必要です。エピトープのオーバーラップは干渉を生じることがあり、2重蛍光ウェスタンブロットではこれを考慮する必要があります。一次抗体のインキュベーションバッファーが異なる場合は、一次抗体を両方のバッファーで別々にテストし、同時検出に最も適したバッファーを特定してください。

転写膜と一次抗体を静かに振盪しながら、4℃で一晩反応させてください。一次抗体の希釈液として、0.1% Tween® 20​含有1X TBSを用いて、5% (w/v) に溶解したBSAあるいは脱脂粉乳を使用します。一次抗体の希釈バッファーと希釈率は、一次抗体の製品ウェブページを参照してください。

A. 溶液および試薬

注意:溶液は、逆浸透脱イオン (RODI) 水、または同等の精製水で調製してください。

  1. 20X Phospate Buffered Saline (PBS): (#9808):1X PBS 1 Lを調製する場合、20X PBS 50 mLを精製水 (dH2O) 950 mLに加え、混ぜ合わせてください。
  2. 10X Tris Buffered Saline (TBS): (#12498) 1X TBS 1 L の調製:10X TBS 100 mlを精製水 (dH2O) 900 mLに加え、よく混ぜ合わせてください。
  3. 1X SDS Sample Buffer: Blue Loading Pack (#7722) またはRed Loading Pack (#7723)。1/10容量の30X DTTを3X SDSローディングバッファーに加え、還元作用を持つ新しい3X ローディングバッファーを調製してください。精製水 (dH2O) で1X に希釈してください。
  4. 10X トリス-グリシンSDS泳動バッファー:(#4050) 1X 泳動バッファー1 Lの調製:10X 泳動バッファー100 mLを精製水 (dH2O) 900 mLに加え、よく混ぜ合わせてください。
  5. 10X トリス-グリシン転写バッファー:(#12539) 1X 転写バッファー 1 Lの調製:10X 転写バッファー100 mLをメタノール200 mLと精製水 (dH2O) 700 mLに加え、よく混ぜ合わせてください。
  6. Tween® 20含有10X トリス緩衝生理食塩水 (TBST-10X):(#9997) 1X TBST 1 Lの調製:10X TBST 100 mLを精製水 (dH2O) 900 mLに加え、混ぜ合わせてください。
  7. 脱脂粉乳: (#9999)
  8. ブロッキングバッファー:5% w/v 脱脂粉乳含有1X TBS;150 mL用意する場合は、脱脂粉乳7.5 gを1X TBS 150 mLに加え、よく混ぜ合わせてください。自家蛍光や非特異的バックグラウンドの増加の原因となるので、Tween® 20はブロッキングバッファーに加えないようにしてください。ブロッキングステップの後、抗体の希釈バッファーにTween® 20を再度添加することができます。
  9. 洗浄バッファー:1X TBST
  10. ウシ血清アルブミン (BSA) (#9998)
  11. 一次抗体希釈バッファー: 5% w/v BSAあるいは5%脱脂粉乳含有1X TBST (どちらを推奨するかは各製品のデータシートで確認してください):20 mLを用意する場合は、BSAか脱脂粉乳1.0 gを1X TBST 20 mLに加え、よく混ぜ合わせてください。
  12. 二次抗体希釈バッファー: 5% w/v 脱脂粉乳含有1X TBST:20 mL用意する場合は、脱脂粉乳1.0 gを1X TBST 20 mLに加え、よく混ぜ合わせてください。(二次抗体:anti-rabbit #5151および#5366:anti-mouse #5257および#5470)。
  13. ​Prestained Protein Marker、Broad Range (11-190 kDa):(#13953)
  14. 転写膜​とろ紙:(#12369) このプロトコールはニトロセルロース膜用に最適化されています (推奨)。ポアサイズは0.2 µmをお勧めしています。

B. タンパク質のブロッティング

最も汎用的なサンプル調製プロトコール

  1. 目的に応じて調節因子を含む新鮮な培地を加え、細胞を必要時間処理してください。
  2. 培養液から培地を吸引除去し、冷却した1X PBSで細胞を洗浄した後、再度吸引除去してください。
  3. 1X SDSサンプルバッファーを加え (6ウェルプレートは100 µL/ウェル、直径10 cmのプレートは500 µL/プレート)、細胞を溶解してください。直ちにプレートから細胞を掻き取り、抽出物を遠心分離チューブに移してください。氷上に保持してください。
  4. 10-15秒間超音波処理してください。この処理には、細胞を完全に溶解する目的と、DNAを剪断してサンプルの粘性を下げる目的があります。
  5. サンプル20 µLを95-100℃で5分間加熱処理後、氷上で冷却してください。
  6. 5分間遠心分離してください。
  7. SDS-PAGEゲル (10 cm × 10 cm) に20 µLをアプライし、電気泳動してください。

    注意:電気泳動確認と分子量決定のために、プレステイン分子量マーカー (#59329、10 µL/lane) もアプライして電気泳動することをお勧めします。着色マーカーは近赤外波長の自家蛍光があります。

  8. ニトロセルロース膜 (#12369) に転写してください。

C. 転写膜のブロッキングと抗体反応

注意:10 cm × 10 cm (100 cm2) の転写膜用の必要量を記載しています。サイズの異なる転写膜をご使用の際は、適宜量を調節してください。

  1. オプション:転写後、転写膜を室温で5分間、TBS 25 mLで洗浄してください。
  2. 転写膜を室温で1時間、ブロッキングバッファー25 mL中でインキュベートしてください。

    重要なステップ:ブロッキングバッファーにはTween® 20を入れないでください (セクションA、ステップ8)。

  3. TBST 15 mLで各5分間、3回洗ってください。
  4. 一次抗体反応液10 mL (製品データシートに記載されている希釈バッファー、希釈率をもとに適切に調製してください) 中で転写膜を静かに振盪しながら、4℃で一晩インキュベートしてください。
  5. TBST 15 mLで各5分間、3回洗ってください。
  6. 蛍光標識二次抗体 (#5470#5257#5366#5151) (ストック:1 mg/mL) を二次抗体希釈バッファーで1:5000-1:25,000に希釈し、二次抗体液10mL中で転写膜を静かに振盪しながら、室温で1時間インキュベートしてください。
  7. TBST 15 mLで各5分間、3回洗ってください。

D. タンパク質の検出

  1. 余分なTBSTを除去し、転写膜を乾かしてください。

    重要なステップ:蛍光染色のために転写膜は乾燥させる必要があります。

  2. 適切な蛍光スキャナーを使用して、メーカーの指示に従い転写膜をスキャンしてください。

更新:2022年3月

改訂日:2022年3月