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キナーゼと疾患の関連表

ほとんどの細胞パスウェイの重要な調節因子として、プロテインキナーゼは原因因子あるいは治療的介在標的として、疾患としばしば関連しています。CSTは、180以上のキナーゼに関連する疾患研究を概説しています。

分子基礎キー: Act—活性化 Amp—増幅 Del—欠損 Expr—発現 GOF—機能獲得型 Inh—阻害剤研究 LOF—機能喪失型 LOH—ヘテロ接合性消失 Meth—メチル化 Model—モデル生物研究 Mut—変異 OE—過剰発現 SNP—単一ヌクレオチド多型 Splice—スプライシング変化 Trans—転座

製品名 グループ 疾患タイプ 分子基礎 備考
Abl1 TK がん Trans フィラデルフィア染色体転座 t(9;22)(q34;q11) に産生されるBcr-Abl融合タンパク質は、慢性骨髄性白血病 (CML) [OMIM:608232] の90%、および急性リンパ性白血病 (ALL) [OMIM:159555] のおよそ25%の原因となります。阻害剤:Imatinib(Novartis)。OMIM:189980
ACK TK がん Amp 原発性腫瘍における増幅は、転移能と相関します (Medline:16247015)。OMIM:606994.
ACTR2B TKL 発生 Mut 左右軸の形成異常において、2つのヒト変異および1つのマウスモデルがACTR2Bと関係しています。OMIM:602730.
Akt1 AGC がん Amp、OE、Act アポトーシスタンパク質をリン酸化することで、PI3-キナーゼといくつかの成長因子受容体の下流の生存シグナルを媒介します。最初にマウスの形質転換レトロウイルスで発見されました。マウスリンパ腫モデルで腫瘍原性を示し、乳がん、前立腺がん、肺がん、膵臓がん、肝臓がん、卵巣がん、結腸直腸がんを含む多くのがんで過剰発現しています。阻害剤:RX-0201 (Rexahn:がん、Phase 1)。OMIM:164730.
Akt2 AGC がん、糖尿病 Amp、OE、Mut ヒト卵巣がん細胞株において増幅・過剰発現し、いくつかの原発性卵巣がんと膵臓がんで増幅しています。アンチセンスは異種移植片における浸潤をブロックします。LOF点変異におそらく関連するII型糖尿病の1例を含む、いくつかのインスリン応答性組織で発現しています。マウス変異体はインスリン応答に異常があります。OMIM:164731.
ALK TK がん Trans 大細胞型リンパ腫のおよそ3分の1は、ALKをNucleophosmin (NPM1A) に融合する t(2;5)(p23;q35) 転座が原因です。その他の症例は、Moesin、Non-muscle myosin heavy chain9、Clathrin heavy chain、およびその他の遺伝子へ、ALKが融合することが原因です。いくつかの融合が炎症性筋線維芽細胞腫においてもみられ、様々な腫瘍での発現について簡単に記述されています (Medline:15095281)。腫瘍抗原として提案されています(Medline:11877285)。OMIM:105590.
ALK1
(ACVRL1)
TKL 心血管 Mut 14の異なる突然変異が、腸管出血、動脈高血圧、動静脈奇形を伴う2型遺伝性出血性末梢血管拡張症 (Osler-Rendu-Weber症候群 2) [OMIM:600376] に関連付けられます。OMIM:601284.
ALK2
(ACVR1)
TKL 発生 Mut 単一の異型接合性変異が、骨格奇形および骨格外骨形成を引き起こす、進行性骨化性線維異形成症 [OMIM:135100] の多くの独立した症例でみられます。OMIM:102576.
ALK4
(ACVR1B)
TKL がん Mut、Splice 2つの体細胞トランケーション変異が膵臓がんでみられます。下垂体腫瘍において、ドミナントネガティブ活性が予測されるユニークなスプライシングフォームが発現します。OMIM:601300.
ANKK1
(SgK288)
TKL 行動 SNP アンキリン反復配列における1つのCoding SNPは、基質結合特異性を変化させる可能性があります。依存症を含む神経精神障害に関連付けられています。OMIM:608774.
ANPα
(NPR1)
RGC 高血圧 SNP、Expr 動物モデルは、血圧調節における役割を示しています。高血圧SHRラットはその遺伝子座に多型を持っています。ヒト非コード多型は、発現量を2倍まで変化させる可能性があり (Medline:12483301)、高血圧と関連しています [OMIM:145500] (Medline:12872042)。Coding SNPは、高血圧および心筋梗塞と関連しています (Medline:14646971)。OMIM:108960.
ANPβ
(NPR2)
RGC 発生 Mut 21個の変異が、Acromesomelicな異形成 [OMIM:602875] (Medline:15146390) に関連付けられています。OMIM:108961.
ARG
(Abl2)
TK がん Trans、Expr ARGがETV6 (TEL) へと融合する転座の2症例が、急性骨髄性白血病でみられています。いくつかのがん種で、異なる発現 (上昇と低下) を示します。OMIM:164690.
ATM Atypical がん、CNS LOF Mut LOF変異が、運動調節の進行性喪失 (運動失調)、表在性血管の拡張 (毛細血管拡張症)、がんや免疫不全を引き起こす、運動失調症血管拡張症 [OMIM:208900] に関連しています。症例のおよそ30%は、DNA損傷修復の欠陥により、主にリンパ腫や白血病などの発がんを引き起こします。白血病やリンパ腫で体細胞変異がみられます。OMIM:607585.
ATR Atypical がん、発生、ウイルス学 Mut、Splice DNA損傷応答において機能します。スプライシングによって生じる変異が、小脳症と精神遅滞を特徴とする、Seckel症候群 [OMIM:210600] の症例で認められました。異型接合型ノックアウトマウスは、がん易発性です。胃がん (Medline:11691784)、子宮体がん (Medline:12124347)、マイクロサテライトの不安定性による高い突然変異率を有する腫瘍で変異がみられます。レトロウイルスのDNA挿入にも必要となる可能性があります (Medline:12679521)。OMIM:601215.
AurB その他 がん OE 染色体分離と細胞質分裂に必要です。結腸直腸がんおよび他のがん細胞株 (Medline:9809983) で過剰発現し、ヒストンリン酸化を介した異数性の原因となると考えられています (Medline:12884918)。OMIM:604970.
Axl TK がん OE 組織培養における過剰発現は、発がん性形質転換の原因となります。甲状腺がん (Medline:10411118)、卵巣がん (Medline:15452374)、胃がん (Medline:12168903)、ER+ 乳がん (Medline:11484958)、急性骨髄性白血病を含むいくつかのがんで過剰発現し、これは予後不良に関連します (Medline:10482985)。OMIM:109135.
BARK1
(GRK2、ADRBK1)
AGC 心臓 Expr、Model 慢性ヒト心不全においては、一貫して高発現しています。阻害により、重度心不全のマウスモデルにおける生存能および心機能が回復します。OMIM:109635.
Bcr Atypical がん Trans 慢性骨髄性白血病。Ablもご参照ください。OMIM:151410.
BMPR1A
(ALK3)
TKL がん LOF Mut トランケーションと点変異は、若年性ポリープ症の一原因であり [OMIM:174900]、これは、胃腸のがんに対する易罹患性の上昇に関連します。OMIM:601299.
BMPR1B
(ALK6)
TKL 発生 Mut 2つの変異が、A2型短指症 (手の形成異常) に関連しています。ホモ接合トランケーションが、脊髄性軟骨異形成 (骨奇形) および外陰異常の1例に関連します。OMIM:603248.
BMPR2 TKL 心肺 LOF Mut 変異は、肺動脈の病変、肺動脈圧の上昇、右心室の不全を伴う弱浸透性優性疾患である、原発性肺高血圧症 (PPH1) [OMIM:178600] の原因となります。OMIM:600799.
BRAF TKL がん、心臓、発生 GOF Mut、LOF Mut 活性化ループのリン酸化を模倣する活性化突然変異が、悪性黒色腫サンプルの60%でみられています (Medline: 15035987). Rafの変異は、一般にRas活性化突然変異に排他的です。活性化型変異はおよそ10%の結腸直腸がん、肺がん、神経膠腫でもみられ、その他腫瘍でも低い割合でみられます。不活性化型変異も確認されており、c-RafとErkの活性化の原因となる可能性があります (Medline:15035987)。Braf、Mek1、Mek2における変異は、心臓機能不全症候群にも関連し [OMIM:115150]、形態学的異常、心臓異常、精神異常を示します。承認された阻害剤:Sorafenib (Bayer/Onyx)。OMIM:164757.
BRD4 Atypical がん、ウイルス学 Trans 細胞周期機能を有する染色体に関連する非定型キナーゼ。若年性正中線がんにおいて、転座により精巣特異的NUT遺伝子産物の融合タンパク質が生じます。パピローマウイルスE2タンパク質への結合が、その形質転換能に必要とされています。発現が乳腺腫瘍の進行と相関します (Medline:18427120)。OMIM:608749.
BRK TK がん OE 乳がんおよびその細胞株、さらにおそらく結腸がんや前立腺がんに選択的に発現します。足場非依存的な増殖や、EGFに対する応答性を増強します。RNAi処理により、乳がん細胞の増殖能が低下します。キナーゼ不活性変異体を用いた研究により、腫瘍機能が触媒機能から独立している可能性が示されています。OMIM:602004.
BTK TK がん、免疫 LOF Mut LOF変異は、X連鎖性無ガンマグロブリン血症 [OMIM:300300] を引き起こし、B細胞の発生を停止させ、再発性細菌感染の原因となります。小児白血病でみられる切断型スプライシングフォームが、アポトーシスの阻害を介して腫瘍の放射線耐性の基礎をなす可能性があります (Medline: 12854903). B細胞の成熟や機能を標的とした阻害剤が開発されています。阻害剤:Dasatinib。OMIM:300300.
BUB1 その他 がん LOF Mut LOF変異が、いくつかの白血病およびリンパ腫 (Medline:12096343)、膵臓がん細胞株 (Medline:12655561)、染色体不安定性を示す2つの結腸がん細胞株にみられます。BUB1は紡錘体アセンブリーにおいて機能し、染色体の不安定性の原因となる可能性があります。BRCA2ノックアウトマウスで形成された腫瘍では、BUB1およびBUBR1の変異がしばしば観察されています (Medline:14646599)。BUB1とBUBR1は、多くの胃がんで過剰発現しますが、変異はしていません (Medline:12692836)。OMIM:602452.
BUBR1
(BUB1B)
その他 がん Mut、OE 結腸がん細胞株で、2種類の変異がみられます。BRCA2ノックアウトマウスで形成された腫瘍では、BUB1およびBUBR1の変異がしばしば観察されています (Medline:14646599)。BUB1とBUBR1は、多くの胃がんで過剰発現しますが、変異はしていません (Medline:12692836)。BUBR1欠損マウスは早期老化の表現型を示します。OMIM:602860.
CAMK2δ CAMK 心血管 Ex、Model、Inh 心臓不整脈やその他の疾患に罹患した心臓において活性が上昇しています。動物モデルにおいて、過剰発現により、肥大、拡張および機能不全が引き起こされ、他方、阻害により不整脈が抑制されます (Medline:15781121)。OMIM:607708.
CDC2
(CDK1)
CMGC がん Act、Splice 細胞周期チェックポイントです。結腸、肝臓、乳腺を含む多くのがんで活性化されています (Medline:10091728、12100577、11091571)。乳がんでは、調節領域が欠損したdelta Tアイソフォームが発現しています。阻害により、がん細胞がアポトーシスに至る可能性があります (Medline:12150824)。細胞遊走を引き起こす可能性もあります (Medline:12771130) 阻害剤:BMS-265246、BMS-265246-01 (Bristol-Myers Squibb)。OMIM:116940.
CDK2 CMGC がん   ほとんどの腫瘍で、細胞周期チェックポイントとRbパスウェイの一部に調節不全がみられます (Medline:12888290)。数種の抗がん剤候補の標的です。ただし、おそらくCDKのリダンダンシーにより、この阻害によって常にがん細胞の増殖が阻止されるわけではありません。阻害剤:BMS-265246、BMS-265246-01 (Bristol-Myers Squibb)、R-roscovitine (CYC200、CYC202) (Cyclacel:Ph. 2)、SU9516 (Sugen)、R547 (Roche)、L868276。OMIM:116953.
CDK4 CMGC がん Act、GOF Mut、Amp、Meth 点変異が、体細胞性および家族性黒色腫で認められます。肉腫 (Medline:9703873、9935200)、神経膠腫 (Medline:14756442) およびリンパ腫 (Medline:12203778) において増幅しています。頭頸部扁平上皮がんにおいて増幅、メチル化もしくは欠損しています (Medline:14586645)。マウスでの過剰発現により、上皮性腫瘍が引き起こされます (Medline:14647432)。マウスでの機能破壊により、がんへの耐性が獲得されます (Medline:12435633)。阻害剤:PD332991 (Onyx)。OMIM:123829.
CDK5 CMGC 神経変性 SNP アルツハイマー病 (Alzheimer's diseas:AD) の特徴である、神経原線維変化の病理、および老人斑の形成に関与します。in vitroやin vivoの動物モデルにおいて、タウのリン酸化や凝集、神経原線維変化の沈着および神経変性を誘導します。AD患者からの脳サンプルでは、おそらくAβアミロイドに誘導されるCDK5の活性上昇がみられます。SNPは、ADとの弱い関連性を示します (Medline:18350355) OMIM:123831。
CDK6 CMGC がん OE、Trans 白血病、リンパ腫、その他のがんにおいて、転座による過剰発現や機能破壊がみられます。また、神経膠腫 (Medline:9102208)、げっ歯類のがん (Medline:12538879、11719459) において、増幅がみられます。OMIM:603368.
CDK9 CMGC 心血管、ウイルス感染 Expr HIV Tatタンパク質の転写伸長因子および転写コファクター:CDK9に対するRNAiはHIV複製を阻害し、阻害剤もまた水痘帯状疱疹の複製を阻止します。心肥大を引き起こすシグナルを媒介します (Medline:12695656)。阻害剤:Flavopiridol(Aventis)。OMIM:603251
CDKL5 CMGC CNS、発生 Mut、Trans ミスセンス変異、スプライシング変異、トランケート変異が、神経発生的レット症候群 [OMIM:312750] に関連します。遺伝子をサイレンシングする染色体転座は、重度のX連鎖乳児痙攣症候群に関連します [OMIM:308350]。OMIM:300203.
CHK1
(CHEK1)
CAMK がん Mut 化学療法に応答するアポトーシスの耐性に関与する、細胞周期G2チェックポイントキナーゼです。腫瘍の化学療法への感受性を高めるための開発中の阻害剤です。体細胞変異が、胃の腫瘍 (Medline:11691784) や、結腸腫瘍および子宮体がんで認められ、CHK1がマイクロサテライト不安定性の標的となる可能性があります (Medline:14657665)。阻害剤:SB218078、UNC-01。OMIM:603078.
CHK2 CAMK がん Mut DNA損傷および細胞周期停止に関与する腫瘍抑制因子です。LOF変異は、Li-Fraumeni症候群[OMIM:151623] を引き起こし、それはp53変異によっても引き起こされる高度浸透型家族性がんの表現型です。家族性変異が前立腺がんおよび乳がんにも関連し、また様々な孤発性がんや細胞株でも変異がみられます。OMIM:604373.
CK1δ、CK1α CK1 神経変性   CK1δやCK1αを含むいくつかのCK1アイソフォームは、アルツハイマー病の神経原線維変化を構成するTauと結合してリン酸化します。Tauのリン酸化と微小管結合は、CK1阻害剤のIC261によって阻害されます (Medline:14761950)。CK1のリン酸化はアルツハイマーのプラーク成分である、βセクレターゼの輸送に関与しています (Medline:11278841)。アルツハイマー病の脳では、CK1レベルが上昇します。CK1δは、いくつかのその他神経変性疾患におけるタウ濃縮体にも関連しています (Medline:10924763)。CK1δのmRNAとタンパク質は、大部分のアルツハイマー病の病変を有する脳領域において発現上昇しています (Medline:10814741)。CK1はまた、パーキンソン病に関連するα synucleinタンパク質をリン酸化します (Medline:10617630)。OMIM:600864, 60050.
CK1ε
(CSNK1ε)
CK1 行動、がん SNP、Mut、LOH ハムスターとショウジョウバエ​オルソログの突然変異では、ヒトとハエの両方において概日遺伝子のPeriod (per) がその基質であるため、概日リズムでの表現型を示します。ヒトのCoding SNP変異体はCK1e活性を増加させ、概日性障害と負の相関を示します (Medline:15187983)。LOF変異体およびLOHが、乳腺管がんにみられます (Medline:14871824)。OMIM:600863.
CK2α1、CK2α2
(CSNK2α1/2)
その他 がん、概日リズム、神経変性 OE、Act 2つの遺伝子産物 (α1/α>2またはα/α’) が互いに、そして調節性βサブユニットと複合体を形成します。このアイソフォームは、文献ではほとんど互いに区別されていません。マウスにおける導入遺伝子の発現はリンパ腫を引き起こし、ウシ寄生虫による活性化は致命的なリンパ球増殖を誘導します (Medline: 7846532). その発現と活性は肺腫瘍 (Medline:15355908、12017291) と乳腺腫瘍 (Medline:11423974) で上昇します。マウスへの遺伝子導入は乳腺過形成の原因となります。アンチセンスにより、腫瘍細胞株 (Medline:11827168) および異種移植片におけるアポトーシスが引き起こされます (Medline:14965269)。足場タンパク質XRCC1のリン酸化 (Medline:15066279)、BRCA1のリン酸化 (Medline:10403822)、UV照射に応答するp53のリン酸化によるDNA損傷修復に関与します。ショウジョウバエのCK2オルソログ (Timekeeper) は概日性調節に関与します。パーキンソン病患者でみられる封入体の主要成分をリン酸化し、結合します (Medline:14645218)。阻害剤:DMAT、アンチセンス、P15ペプチド、4,5,6,7-tetrabromobenzotriazole (TBB)。OMIM:115440, 115442.
COT/TPL2 STE がん、炎症 OE、Amp、Mut 乳腺腫瘍で過剰発現および増幅しています。ウイルスの挿入により、ラットリンパ腫やマウス乳がんが誘発されます。2つの細胞株において、形質転換因子として単離されました。マクロファージのLPSの活性化を媒介します (Medline:15485931)。OMIM:191195.
CTK/MATK TK がん OE がんで発現しますが、正常な乳腺組織では発現しません。活性化ErbB2受容体と相互作用し、増殖を阻害する可能性があります。OMIM:600038.
CYGD
(GUCY2D)
RGC 視覚 Mut 錐体杆体ジストロフィー (CORD:Cone-rod dystrophy)5型 [OMIM:600977] および6型 [OMIM:601777] を含むいくつかの視覚系疾患と関連付けられ、これは光受容体細胞が変性し、部分的または完全失明、および失明または中心視力の喪失を特徴とする1型レーバー先天黒内障 (LCA1) [OMIM:204000] を引き起こします。OMIM:600179.
CYGF
(GUCY2F)
RGC がん Mut 感覚組織に限定された発現が予想されたにも関わらず、18の点変異が、182の結腸がん、肺がん、乳がん、すい臓がんの調査でみられています (Medline:12738854、16941478)。OMIM:300041.
DAPK1 CAMK がん、てんかん Meth、Expr p53依存性アポトーシスを活性化する推定上の腫瘍抑制因子です。一部のがんで発現が低下し、侵襲性がんのプロモーターでは頻度高く高メチル化されています。メチル化および希少な変異が家族性慢性リンパ性白血病でみられます (Medline:17540169)。発現の増加や誤った局在化がてんかんで見られ、そこではニューロンの細胞死を調節している可能性があります。OMIM:600831.
DCAMKL1 CAMK 神経変性   Doublecortinと遺伝的および物理的に相互作用し (Medline:16387638; OMIM:300121)、これは脳回欠損の原因となります。OMIM:604742.
DMPK1 AGC 神経変性 Mut 非コード配列におけるCTGトリプレットリピートの延長により、タンパク質発現が減少し、筋緊張性ジストロフィー [OMIM:160900] が引き起こされ、さらに筋強直症、筋消耗、白内障、性腺機能低下症、内分泌機能欠陥、男性脱毛症、心臓不整脈に至ります。通常、神経筋接合部に局在しています。このリピート配列は、体細胞突然変異によって老化に伴い拡大する可能性があり、ドミナントネガティブとしてトランスに作用して、いくつかのその他の遺伝子に影響を及ぼす可能性もあります。OMIM:605377.
DNAPK Atypical がん Mut 放射線照射に誘導されるdsDNA損傷の修復に必要です。マウスまたはウマにおける機能喪失により、免疫グロブリンの再構成不全を原因とするSCID (重症複合免疫不全) の表現型が引き起こされます。ミスマッチ修復欠損性の結腸直腸がんにおける変異標的です (Medline:11888892)。阻害剤:KU-7059 (Kudos)。OMIM:600899.
DYRK1A CMGC 認知   ダウン症候群 (DS) の一部の相に関する候補遺伝子。DSに重要な領域に位置し、マウスでの過剰発現は、同様の神経学的異常を生じます (Medline:15198122)。OMIM:600855.
eEF2K
(CaMKIII)
Atypical がん OE、Act 乳がん細胞株および腫瘍で過剰発現しています(Medline:10408694)。ラット膠芽腫 (Medline:7647041) で活性化され、増殖がその薬剤であるRottlerinによって阻害されます。虚血性心筋において活性誘導されます (Medline:12920134)。阻害剤が誘導されています (Medline:10913818)。OMIM:606968.
EGFR TK がん Amp、OE、GOF Mut 乳がん、頭頸部がんにおいて過剰発現し (Medline:15254682)、生存率の低下と相関します。肺がんに見られる体細胞突然変異を活性化し、これはEGFR阻害剤ゲフィチニブに対する強い応答性を有する少数の患者に対応しています。変異と増幅は神経膠芽腫でもみられ、発現上昇が結腸がんや腫瘍でみられます。異種移植片では、阻害剤は多くの腫瘍タイプの阻害における、細胞傷害性薬物と協同します (Medline:10815932)。阻害剤:Gefinitib/ZD1839 (Astra Zeneca)、Cetuximab (mAb、Imclone)、Erlotinib (OSI/Genentech) Lapatinib (GSK)。OMIM:131550.
Ephファミリー TK がん、感覚   細胞間伝達、遊走、パターニング、血管新生において同様の機能を有する、14メンバーから成る受容体型チロシンキナーゼファミリー。Ephrinは、転移に必要とされる腫瘍脈管構造と細胞間結合の発達に関係しています。いくつかのメンバーはがんで過剰発現しています。可溶型 (競合的な受容体) はいくつかの抗腫瘍活性を示しており、細胞外ドメインは腫瘍特異的抗原として使用されています。
EphA1 TK がん Expr いくつかのがんで異常な発現がみられ、頭頸部がんでは過剰発現しています (Medline:15023838)。浸潤性乳がん細胞株 (Medline:15147954) および神経膠芽腫 (Medline:14726470) において下方制御されています。OMIM:179610.
EphA2 TK がん OE 侵攻性の卵巣がん (Medline:15297418)、子宮頸がん (Medline:15297167)、乳がん (Medline: 15147954)、肺がん (Medline:12576426) を含む多くのがんで過剰発現しています。発現は、血管新生 (Medline:14965363)、転移 (Medline: 14767510)、異種移植片の腫瘍成長 (Medline:14973554) の程度と相関がみられます。可溶性受容体により、マウスにおける腫瘍成長と血管新生が阻害されます (Medline:12370823、14670182)。OMIM:176946.
EphA3
(HEK)
TK がん Mut 2つの点変異が、結腸直腸腫瘍の調査で確認されています (Medline:12738854)。可溶性受容体は、マウスモデルにおける腫瘍成長を低下させ、血管新生を低減します (Medline:12370823、14670182)。9の点変異が294の結腸腫瘍と肺腫瘍でみられます (Medline:16941478) OMIM:179611。
EphB2 TK がん OE、Mut 点変異が、前立腺がんでみられます (Medline:15300251)。膠芽細胞腫で過剰発現しており、遊走に必要です (Medline:15126357)。乳がんで過剰発現しており、生存低下との相関がみられます (Medline:15029258)。結腸直腸がんで過剰発現と異型接合性の喪失がみられます (Medline:11920461、11166921)。免疫複合体薬剤治療の標的です (Medline:14871799)。OMIM:600997.
EphB4
(HTK)
TK がん OE 乳腺の正常な発達や血管新生に必要です。血管新生機能は、そのEphrin-B2リガンドを介した逆行性のシグナル伝達によって、キナーゼに非依存的である可能性があります (Medline:15067119)。高発現は、乳がん、卵巣がん、その他のがんにおける悪性度と相関しますが、生存因子であることがわかっています (Medline:16816380、17353927)。また、頭頚部がん (Medline:14661437)、子宮体がん (Medline:12562648)、結腸がん (Medline:11801186) において発現上昇しています。OMIM:600011.
Erk5
(BMK1)
CMGC がん、心血管 Expr マウスでのノックアウトにより、血管の発生と完全性における役割が示されています。内皮細胞でのアポトーシスを阻害する可能性があります (Medline:14670836)。EGFの増殖シグナル伝達に必要であり (Medline:9790194)、ErbB2を過剰発現する乳がん (Medline:11739740) や、転移性前立腺がん (Medline:12618764) における活性化Mek5の下流において、構成的に活性化しています。阻害剤:PD98059。OMIM:602521.
FAK
(PTK2)
TK がん OE、Amp、Act 細胞遊走や接触依存的な生存シグナル伝達に必要です。IntegrinとSrcの下流で、Ras/MAPKの上流です。線維芽細胞の完全なRas形質転換に必要です。乳がんやその他のがんで発現上昇がみられ、染色体8qの増幅に関連します (Medline:10523844)。過剰発現と活性化が、卵巣がん (Medline:15466376) の遊走能、浸潤、増悪に、さらに肝細胞がん (Medline:15246215)、甲状腺がん (Medline:8770310)、急性骨髄性白血病 (Medline:15126359) の増悪に関連します。siRNA処理により膵臓腺がん異種移植片における化学療法感受性が増加します (Medline:14623342)。阻害剤:PF-562、271 (Pfizer)、ISI15421 (アンチセンス、ISIS)。OMIM:600758.
FER TK がん Expr 発現上昇が前立腺がんの増殖と関連しており、アンチセンスは軟寒天での増殖をブロックします (Medline:10687853)。OMIM:176942.
FES TK がん Mut、Trans? 4つのLOF点変異が、結腸直腸がんでみられます(Medline:12738854、16455651)。ネコ白血病ウイルス由来v-fesと、トリ形質転換ウイルス由来v-fpsに対するオルソログです。変異型は血管原性を有します。分化段階における生存を促進し、腫瘍の促進と阻害の両方に作用する可能性があります。t(15q+;17q-) での遺伝子破損が急性前骨髄球性白血病でみられることがありますが、遺伝子内ではブレークポイントは発生しません。OMIM:190030.
FGFR1 TK がん、発生 Mut、Trans 点変異は、Pfeffer症候群 (指や足の奇形およびその他の骨格異常) [OMIM:101600] および優性Kallmann症候群Ⅱ [OMIM:147950] を引き起こします。幹細胞白血病リンパ腫症候群 (Stem cell leukemia lymphoma syndrome:SCLL) は、Znフィンガー遺伝子 (ZNF198) をFGFR1に融合する、t(8;13)(p12;q12) 転座によって引き起こされる可能性があります。様々な骨髄増殖性障害は、FGFR1をFOP、FIM、CEP1または非定型キナーゼBCRに融合させる転座に関連付けられています。阻害剤:SU5402. OMIM:136350.
FGFR2 TK がん、発生 Mut、Amp 突然変異は、顔面および四肢の発達に欠陥を有する症候群を引き起こします。それには、クルーゾン症候群 [OMIM:123500]、Beare-Stevenson cutis gyrata症候群 [OMIM:123790]、ファイファー症候群 [OMIM:101600]、アペール症候群 [OMIM:101200]、Jackson-Weiss症候群 [OMIM:123150] などがあります。体細胞変異が胃がんでみられます (Medline:11325814)。胃がん (Medline:14595756)、乳がん (Medline:11564899)、一部のB細胞がん (Medline:12203778) において増幅されていますが、神経膠芽腫 (Medline:14756442) においては欠損しています。SNPは乳がん発症に関連します (Medline: 17529967). OMIM:176943.
FGFR3 TK がん、発生 GOF、Mut、Trans 活性化点変異は、低身長症 (軟骨無形成症 [OMIM:100800]、軟骨低形成症 [OMIM:146000]、タナトフォリック骨異形成症 [OMIM:187600] など)、さらに顔およびその他形態形成の異常 (クルーゾン症候群 [OMIM:123500]、頭蓋縫合早期癒合症Adelaide型 [OMIM:600593]、サンディエゴ骨格異形成 [OMIM:270230]、Muenke症候群 [OMIM:602849] など) の原因となります。IgH領域に関係する転座 t(4;14) が多発性骨髄腫で一般的にみられ、しばしばFGFR3を伴います。活性化FGFR3は、30%の膀胱がんやいくつかの子宮頸がんでみられますが、他の腫瘍では認められません。2種類の変異が結腸直腸がんでみられます。OMIM:134934.
FGFR4 TK がん SNP 一般的なSNPバリアントが、乳がん (Medline:11830541、Medline:14710228)、頭頚部がん (Medline:15197773)、軟部肉腫 (Medline:14601095) の細胞運動性上昇や増悪に関連します。発現の増加が、下垂体腺腫、膵臓がん、乳がん細胞株でみられます。OMIM:134935.
FGR TK がん Amp v-fgrというネコがん遺伝子のオルソログです。ホルモン耐性前立腺がんで軽度に増幅されています (Medline:14614009)。コピー数は、その他のがんにおいては増加または減少のいずれかを示します。OMIM:164940.
FLT1
(VEGFR1)
TK がん Meth、OE 血管新生のモジュレーターで、KDR/VEGFR2と協働もしくは拮抗する可能性があります (Medline:14984769)。いくつかの腫瘍タイプ (Medline:12681367、9582527、10738243、10893635) で過剰発現しており、拮抗性可溶型は、進行性腫瘍 (Medline:15112269、14605010、15173272) において阻害されています。前立腺がんでは、過剰なメチル化によって抑制されています (Medline:12824880)。この可溶性受容体および変異型は、モデルシステムにおいて抗腫瘍活性を持ちます (Medline:15221961、15126877)。阻害剤:SU11248, PKC412, CEP-5214. OMIM:165070.
FLT3 TK がん GOF、Mut 活性化突然変異は、急性骨髄性白血病 (acute myeloid leukemia:AML) の症例の3分の1、ならびに急性リンパ芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、骨髄異形成症候群でみられます。阻害剤:SU11248およびPKC412。OMIM:136351.
FLT4
(VEGFR3)
TK リンパ脈管新生 Act、LOF Mut リンパに特異的なVEGF受容体です。LOF変異は遺伝性リンパ浮腫 [OMIM:153100]、および毛細血管小児血管腫 [OMIM:602089] を1例引き起こしています。FLT4リガンドの発現が、結腸直腸がん、前立腺がん、胃がん、乳がん、甲状腺がんを含む、さまざまな腫瘍でみられ、リンパ節転移と関連します (Medline:15086167、14614015、14534690、10430087、14716745、15107801)。モデル系において、リガンドの過剰発現はリンパ節転移を増加させ、ブロッキング抗体と可溶性受容体の使用はリンパ脈管新生を減少させます (Medline:15072591、11175849)。阻害剤:BAY 43-9006, CEP-7055. OMIM:136352.
FMS
(CSF1R)
TK がん Mut 2つの点変異が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、脊髄形成異常症患者の10-20%でみられます。1つの突然変異が、体細胞性および生殖系列の両方でみられ、Cbl結合および受容体のターンオーバーを破壊します (Medline:11847211)。v-fmsはCbl結合部位を欠き、ネコ白血病を引き起こします。突然変異は、リンパ腫の化学療法後にも発生する可能性があります (Medline:9403002)。個別の点変異は、肝細胞癌のいくつかのケースでみられ、発現の増加に関連し、そしてその他の変異は特発性骨髄線維症を患う40患者中の2患者でみられます (Medline:12580961)。Fmsの発現、およびそのCSF-1リガンドは、乳腺腫瘍と細胞株で上昇しており、異種移植片およびトランスジェニックマウスにおける発現は、異種移植片の成長と乳がん発症と相関しています (Medline:15289345、15205327、 11205275)。阻害剤:Ki-20227 (Kirin) とその他Kit/PDGFR阻害剤。OMIM:164770.
Fyn TK がん、てんかん   発現誘導は、細胞形質転換や異種移植片転移へ作用します (Medline:3287380、8325712)。扁平上皮がんにおいて、FynはEGFRおよびSrcからのシグナルを伝達し、細胞遊走や浸潤に必要とされます (Medline:11684709)。活性はマウスの黒色腫モデル (Medline:13129922) での遊走と関連付けられています。神経芽細胞腫 (Medline:12450793) の後期発生をブロックすると考えられます。マウスのノックアウトでは、ヒトてんかんモデルであるキンドリング反応が欠損しています。OMIM:137025.
GRK4
(GPRK4)
AGC 高血圧 SNP 複数のSNPが高血圧と関連し、ドーパミンD1受容体におけるキナーゼ活性を増加させると考えられています。1つのSNPがげっ歯類モデルで検証されています。OMIM:137026.
GSK3
(α、β)
CMGC 心血管、CNS、糖尿病、神経変性 SNP、Act GSK3αとGSK3βは類似した機能を持っているため、ここでお互いを補い合います。GSK3αは、アルツハイマー病 [AD; OMIM:104300] における神経原線維変化の主要な成分であるTauをリン酸化し、gセクレターゼによるアミロイドプラークペプチド産生の最大化に必要です。GSK3βプロモーターのSNPは、双極性障害 [OMIM:125480] の進行に影響を与えます。GSK3阻害剤であるLithiumは、双極性障害を治療するために使用され、プラーク形成を抑えると考えられます。GSK3は一般的にインスリン活性に反する作用を持ち、GSK3活性の亢進はインスリン抵抗性 (II型) 糖尿病に寄与する可能性があります (Medline:15102436、15078145)。GSK3βは心肥大も抑制します (Medline:12039794)。腫瘍抑制因子の役割は、GSK3のリン酸化部位を欠く安定化されたβ-catenin変異体の発がん性によって示されていますが、発がん性突然変異体は報告されていません。阻害剤:AR-A014418 (Astra Zeneca)、NP031112 (Zeltia)。OMIM:606784, 605004.
HER2
(ErbB2)
TK がん Amp、OE EGFファミリー受容体です。過剰発現は構成的活性を惹起し、乳がんの最大30%で増幅または過剰発現されており、予後の不良と相関します。その抗体であるTrastuzumabは、HER2の増幅/過剰発現を伴う転移性乳がん治療に承認されています。体細胞突然変異は、肺がんの4%でみられ、乳がん、胃がん、卵巣がん、膠芽細胞腫でもみられます。1つのSNPは、乳がんや胃がんへの疾病素因を示します (Medline:10699071、14520697)。阻害剤:Trastuzumab (mAb、Genentech)、Lapatinib (GSK)、PKI-166 (Novartis)、EKB-569、CI-1033。OMIM:164870.
HER3
(ErbB3)
TK がん OE EGFファミリー受容体です。キナーゼドメインは活性を欠きますが、他のEGFRとヘテロダイマー化して増殖シグナルを伝達します。HER2活性に必要な可能性があります (Medline:12853564)。乳がんやその他の腫瘍において、その発現上昇は予後不良の指標となります (Medline:12866037、12896906、14614020、15150091、7656248)。分泌型が転移性前立腺がんで発現しています (Medline:15141384)。OMIM:190151.
HER4
(ErbB4)
TK がん Expr 他のEGF受容体とヘテロ二量化し、シグナルを伝達します。腫瘍抑制因子として作用する可能性があり、頭頸部がん (Medline: 15476268) で過剰発現しますが、腎がん (Medline:15360049)、乳頭がん (Medline:15279891)、ハイグレードの神経膠腫 (Medline:15148612)、浸潤性乳がん (Medline:15084248) で下方制御されます。OMIM:600543.
HGK
(ZC1)
STE がん OE 原発腫瘍および腫瘍細胞株において発現上昇しています (Medline:12612079)。複数の細胞株における、足場非依存的な増殖やRas依存性フォーカス形成に必要です (Medline:12612079)。OMIM:604666.
HIPK1 CMGC がん OE 多くの乳がん細胞株で発現が上昇します。ヌルマウスは発がん物質に耐性があります。p53腫瘍抑制因子と結合します (Medline:12702766)。OMIM:608003.
HIPK2 CMGC がん LOH、Expr 腫瘍抑制因子である可能性があります。UV光に応答してp53を活性化し、増殖停止やアポトーシスを引き起こします。シスプラチン誘発型アポトーシスに必要です (Medline:14729469)。乳がんおよび甲状腺がんにおいて下方制御されます。OMIM:606868.
IGF1R TK がん、成長、寿命延長 Mut、SNP、OE 出生前および出生後の成長遅延の症例で、稀に変異が認められます。1つのSNPがヒトの寿命の延長に関連します。様々ながんの進行および悪性疾患に関連する、IGF1Rおよびその他パスウェイの構成因子の発現を増強します (Medline:15050909、15050914、14710347、12884909)。初期の治験、特に多発性骨髄腫におけるいくつかのブロッキング抗体阻害薬にはCP-751871 (Pfizer、Ph.II:NSCLC) が含まれます。また、低分子阻害薬には、NDGA (Ph.I、前立腺) NVP-AEW541 (Novartis:多発性骨髄腫、Ph.I)、OSI-906 (Ph.I)、AG1024 (前臨床) が含まれます。OMIM:147370.
IKKα、 IKKβ その他 がん、糖尿病、炎症   密接に関連する2つのキナーゼが、非キナーゼNemo/IKKgと共にIKK複合体を構成します。NF-κBパスウェイの一部で、関節炎、炎症、がんのアポトーシス相の治療のための開発中の阻害剤があります (Medline:14579522、15013524)。アスピリン (サリチル酸ナトリウム) は、IKKbに選択的に結合し、炎症を抑えます。異所性発現および阻害剤は、肥満げっ歯類におけるインスリンへの感受性増加への関与を示します。Nemoの変異 [OMIM:300248] は、次のいくつかの免疫不全で見られます。高IgM血症 (Medline:15358621:回帰感染および免疫組換え欠陥)、色素失調症 [OMIM:308300:男児の胎生致死、女児の皮膚、髪、歯の欠陥]、発汗低下型外胚葉異形成症 [OMIM:300291:歯、髪、汗腺の回帰感染および欠陥]。阻害剤:CHS 828, NBD peptide, BMS-345541. OMIM:600664, 603258.
IKKε その他 がん、炎症 Amp、Expr、 Inh 多くの乳がん腫瘍や細胞株において増幅や過剰発現しており、IKKe阻害は細胞死を引き起こします (Medline:17574021)。1つの研究で、SNPと慢性関節リウマチとのわずかな関連がみられています (Medline:18434448)。OMIM:605048.
ILK TKL がん OE 発現上昇は、乳がん、前立腺がん、結腸がんを含む、いくつかの腫瘍タイプの進行と相関しています。過剰発現により、足場非依存性増殖とより速い細胞周期が促進されます。OMIM:602366.
INSR TK 糖尿病、発生 Mut、SNP エネルギー代謝の重要な調節因子で、糖尿病や肥満と密接に関連付けられています。家族性変異が、インスリン抵抗性糖尿病、黒色表皮腫 [OMIM:100600:皮膚の肥厚および色素増加症]、松果体過形成 (Rabson-Mendenhall症候群 [OMIM:262190]) および多嚢胞性卵巣症候群に関連します。SNP変異が、多嚢胞性卵巣症候群、非定型片頭痛、糖尿病性高脂血症 (Medline:12477518、11735220、11846745) と関連する可能性があります。変異は乳児期初期に成長遅延や死を引き起こす重度のインスリン抵抗性症候群である、妖精症 [OMIM:246200] の原因にもなります。OMIM:147670.
IRAK2 TKL がん、炎症 Mut 1例の肝腫瘍と、この遺伝子座に挿入されたB型肝炎ウイルスが関連付けられています (Medline:12813464)。ドミナントネガティブ型のコンストラクトによって、細菌誘導性のマクロファージでのアポトーシスが阻害されます (Medline:11971008)。OMIM:603304.
IRAK4 TKL 感染 Mut 2つのトランケーション変異が、発熱性細菌感染に関連します [OMIM:607676]。OMIM:606883.
ITK TK がん、ウイルス学 Inh、 Trans 阻害 (薬物、siRNA、dead kinase) は、培養実験においてHIVの拡散を阻害します (Medline:18443296)。Syk-ITK融合が、一部のT細胞リンパ腫でみられます (Medline:16341044)。T細胞およびマスト細胞の炎症/免疫疾患を標的とした、BMS (BMS509744)、Boehringer Ingelheim、Vertexで開発中の阻害剤があります。OMIM:186973.
Jak1 TK がん Mut、 Act 選択的Jak1阻害剤は、NRP-154前立腺がん細胞株におけるアポトーシスを誘導します。1つの変異が、結腸がん (Medline:12738854、supplimentary materialを参照)、前立腺 (Medline:16102578) および子宮の平滑筋肉腫 (Medlne:16474838) 細胞株のチロシンキノームスクリーニングでみられます。移植後のリンパ増殖性疾患患者 (Medline:12177620) からのB細胞株、およびマウスLck駆動性T細胞リンパ腫 (Medline:9548458) で活性化されます。阻害剤:Piceatannol。OMIM:147795.
Jak2 TK がん Trans t(9;12)(p24;p13) によるTEL1 (ETV6) への融合は、ヒトおよびマウスモデルの骨髄増殖性疾患 (MPD) の原因となります。体細胞性点突然変異が、MPD、真性多血症 [OMIM:263300]、白血病と関連します。Jak阻害剤AG490は、恒常的なJak2のリン酸化を阻害し、乳がんおよび再発性急性リンパ芽球性白血病由来の細胞でアポトーシスを引き起こします (Medline:8628398、11420660)。阻害剤:AG490, WHI-P154. OMIM:147796.
Jak3 TK がん、免疫 LOF Mut いくつかのLOF変異は、重症複合免疫不全 (Severe Combined Immune Deficiency:SCID) [OMIM:600802] の一種に関連します。活性化突然変異が急性巨核芽球性白血病でみられます (Medline:16843266)。阻害剤:CP690,550 (Pfizer). OMIM:600173.
JNK1 CMGC がん、糖尿病、炎症   肥満症では活性が上昇しています。阻害実験またはマウスでのノックアウト実験では、インスリンへの感受性が上昇します (Medline:12447443)。NF-κBパスウェイの一部であり、炎症、がん、Rasの下流シグナルでおそらくアポトーシス性の増殖抑制因子として関与しています (Medline:12734425)。OMIM:601158.
JNK3 CMGC がん、CNS Expr 脳に選択的Jnkアイソフォームです。アポトーシス促進性遺伝子および潜在的な腫瘍抑制因子です。発現は脳腫瘍ではみられませんでした (Medline:11322657)。損傷や神経変性による神経細胞死で機能を有する可能性があり、阻害剤が開発段階にあります (Medline:15501728、14657393、14704277)。OMIM:602897.
KDR
(FLK1、VEGFR2)
TK がん Mut 固形がんにおける腫瘍血管新生に必要とされ、いくつかの抗血管新生治療の標的となっています。点変異が、毛細管小児血管腫 [OMIM:602089] の1例、および最近の結腸がんの調査で見つかっています (Medline:12738854)。阻害剤:Junitinib (Sugen)、Bevacizumab (mAb、Genentech)、Sorafenib (Bayer/Onyx)、PTK787 (Novartis)。OMIM:191306.
Kit TK がん、色素脱失 GOF Mut、LOF Mut、Act? 活性化突然変異は、90%以上の消化管間質腫瘍 (GIST) [OMIM:606764] の原因となります。阻害剤であるImatinibとSutent (Sutinib、SU11248) での治療に成功しています。活性化突然変異は肥満細胞症も誘発します [OMIM:154800] (Medline:15507672)。自己分泌/傍分泌刺激は、一部の肺がんやその他の腫瘍を促進する可能性があります (Medline:15036937)。発現の喪失は黒色腫の進行と関連しています (Medline:9687504)。家族性機能喪失型変異は、メラニン形成細胞の欠如による毛髪および皮膚の色素沈着の欠陥、すなわちまだら症 [OMIM:172800] の原因となります。OMIM:164920.
LATS1 AGC がん Meth、Expr、Mut おそらく腫瘍抑制因子で、ショウジョウバエのWarts腫瘍抑制因子のオルソログです。CDC2と結合・不活性化し、G2期停止をもたらします。ノックアウトマウスは軟組織肉腫に罹患しやすく、化学発がんに感受性があります。ヒトの軟組織肉腫では、LATS1の下方制御、変異、および/または過剰なメチル化がみられます (Medline:12379777)。導入遺伝子の発現により、足場非依存性な培養における増殖や、異種移植片における腫瘍成長がブロックされます (Medline:11850843)。OMIM:603473.
LATS2 AGC がん Expr CDK2活性を遮断してG1期停止を引き起こす、腫瘍抑制因子です。異所性の発現は肺がん細胞株においてアポトーシスを誘発します (Medline:15265683)。アンドロゲン受容体を抑制し、前立腺がんで下方制御されています (Medline:15131260)。OMIM:604861.
LCK TK がん、免疫 Trans、Mut、Expr、Splice マウスで過剰発現すると、胸腺腫瘍が引き起こされます (Medline:1708890)。異常発現が、T細胞白血病 (Medline:10706447) および結腸がん (Medline:9416836) でみられます。白血病性転座 t(1;7)(p34;q34) は、T細胞受容体b遺伝子およびLckプロモーター付近に限界点を持ち、Lckの発現上昇や1つの症例で点変異の原因となる可能性が示されています (Medline:8139546)。変異Lckは細胞株でもみられます。異常なLckスプライシングを有する患者1例で、SCID様T細胞欠損がみられています。阻害剤:BMS-279700. OMIM:153390.
LIMK1 TKL がん、発生 OE、Amp、LOH Rhoシグナル伝達を細胞骨格に媒介します。前立腺腫瘍、前立腺がん細胞株、乳がん細胞株で過剰発現しています。乳がんおよび前立腺がんモデルで活性を操作した場合、浸潤能と相関します。7q11.2アンプリコン内に位置し、転移性前立腺がんに関連します (Medline:12821664、12777619)。LIMK1の1コピーの欠損は、優性ウィリアムズ - ビューレン症候群 [OMIM:194050] に関連する、染色体の小さな欠損にみられる視空間認知欠陥の原因となる可能性があります。OMIM:601329.
LKB1
(STK11)
CAMK がん LOF Mut いくつかの明確な機能喪失型点変異体は、Peutz-Jeghers症候群 [OMIM:175200] を引き起こし、胃腸ポリープおよびがん感受性の原因となります。孤発性変異が、黒色腫、膵臓がん、精巣がんにおいてもみられます。OMIM:602216.
LRRK2 TKL 認知 Mut 活性化ループ内のG2019S活性化突然変異は、常染色体優性パーキンソン病の最も一般的な原因です (全診断の5%)。7つのその他変異もまたパーキンソン病に関連付けられています。OMIM:609007.
LTK TK 免疫 SNP 遺伝子多形が、マウスとヒト両方における自己免疫疾患の全身性エリテマトーデス [OMIM:152700] に関連します。PI3Kシグナル伝達を介して影響を及ぼす可能性があります。OMIM:151520.
LYN TK がん Act マウスのノックアウトでは単球/マクロファージ腫瘍を生じますが、活性化導入遺伝子は腫瘍を誘発しません。急性骨髄性白血病で過剰に活性化されます。アンチセンスまたは阻害薬を用いた治療により増殖が抑えられます (Medline:10360372)。3つの前立腺がん細胞株において、Lyn特異的阻害剤は増殖をブロックします (Medline:14871838)。OMIM:165120.
MASTL AGC 造血 Mut 1種類の変異が、常染色体優性血小板減少症 (不完全な巨核球分化) でみられます。OMIM:608221.
MEK1、2
(MAP2K1、2)
STE がん、心臓、発生、ウイルス学 Mut、OE 密接に関連する2つのキナーゼを標的とする低分子薬CI-1040 (PD184352) は、培養や異種移植片における結腸細胞株の増殖と運動性を阻害します。複数の腫瘍タイプで過剰発現/過剰活性化しています。Mek1/2の阻害剤U0126は、インフルエンザウイルス粒子の放出をブロックし、抗ウイルス治療法として推奨されています。阻害剤:U0126、CI-1040/PD184352、PD-0325901 (Pfizer、がん、Phase 1)、ARRY-142886 (がん、Phase 1)。各遺伝子の同じ部位における単一変異は、心筋症候群 (BrafおよびKras突然変異にも関連) にも関連し、形態異常、心臓異常、精神異常を呈します。OMIM:176872, 601263.
MELK CAMK がん Expr、Inh 乳がん、脳腫瘍、その他腫瘍で発現が上昇します。ノックダウンにより細胞株の増殖がブロックされます (Medline:17960622、17722061、17280616、16266996)。OMIM:607025.
Mer TK 視覚 LOF Mut LOF変異は、アポトーシス細胞のクリアランス不全が原因と考えられる網膜色素変性症 [OMIM:268000] における視細胞変性を引き起こします。OMIM:604705.
Met TK がん GOF Mut、OE、Trans 活性化型点変異は、遺伝性乳頭型腎がん [OMIM:605074] の原因となります。変異は孤発性腎細胞がんや小児肝細胞がんでもみられます。上皮性悪性腫瘍や肉腫における発現上昇は、転移や予後の不良と相関します (Medline:14617781)。一部の胃がんは、TPR-Met融合タンパク質を生じる転座があります (Medline:2052572)。低分子阻害薬 (PHA-665752)は、胃がんの異種移植片で効果を示しました (Medline:14612533)。阻害剤:SU11274、PHA-665752、MGCD265モノクローナル抗体。OMIM:164860.
MISR2
(AMHR2)
TKL 生殖 Mut 変異は、男性で退行するミュラー管 (女性生殖原基) の発生異常である、II型ミュラー管症候群 [OMIM:261550] の原因となります。OMIM:600956.
MKK3
(MAP2K3)
STE がん Mut、Del 欠損と2種類の点変異が、結腸がん細胞株でみられます(Medline:11414763)。OMIM:602315.
MKK4
(MAP2K4)
STE がん LOF Mut、Del 不活性化型変異または欠損が、多種多様な由来を持つ腫瘍のおよそ5%でみられます (Medline:11754110)。OMIM:601335.
MLK4 TKL がん Mut 9つの異なる点変異が、182の結腸がんサンプルと細胞株でみられます (Medline:12738854)。
skMLCK
(MYLK2)
CAMK 心血管 Mut 家族性肥大性心筋症 [OMIM:192600] の1例が、skMLCKの変異に関連付けられています。一部の転移段階 (Medline: 5970650) およびskMLCK阻害を受けやすい浸潤段階(Medline:11741180、12970723) で、発現が増加します。阻害剤:ML-7, KT5926. OMIM:606566.
smMLCK
(MYLK)
CAMK 高血圧 Model 発現の増加は、自然発症高血圧ラット (SHR) モデルの表現型を誘導します。nsSNPは重度の喘息に関連し、プロモーターSNPはアフリカ人集団における敗血症に関連します (Medline:17266121、17472811)。阻害剤:ML-9. OMIM:600922.
Mst4 STE がん OE 発現は、前立腺腫瘍および細胞株における腫瘍原性と相関します。野生型および不活性化型変異を導入した遺伝子の発現実験により、EGFRファミリーの下流の足場非依存性増殖および腫瘍形成性増殖における役割が示されています (Medline:12810671)。OMIM:300547
mTOR
(FRAP)
Atypical がん   タンパク質合成の調節を通じて細胞増殖を制御します。PI3K/Aktパスウェイの下流で、細胞生存に必要です。阻害剤:Rapamycin、Temsirolimus (CCI-779:Wyeth)、Everolimus (RAD-001:Novartis)。OMIM:601231.
MusK TK 神経 Mut、Auto-antibodies 神経筋接合部に発現するAgrin受容体です。自己抗体は、神経筋疾患である重症筋無力症 (Medline:16155434) の一部の症例で見られ、動物モデルで病態を引き起こします (Medline:16557298)。2種類のLOF変異体が、ヒトの1症例でみられます (Medline:16550915)。OMIM:601296.
MYO3A STE 感覚 Mut 3種類の変異が進行性難聴に関連します。OMIM:606808.
NEK1 その他 発生、腎臓   マウス変異体は、顔面奇形、男性不妊症、多発性嚢胞腎 [OMIM:601313] を引き起こします。OMIM:604588.
NEK2 その他 がん OE ユーイング腫瘍 (Medline:11836553) やびまん性大型B細胞リンパ腫 (Medline:12594241) で過剰発現がみられます。OMIM:604043.
NEK8 その他 がん、腎臓 OE マウスおよび (遺伝子ノックダウンによる) ゼブラフィッシュでは、変異によって多発性嚢胞腎が引き起こされます (Medline:12421721)。乳腺腫瘍で過剰発現がみられます (Medline:15019993)。OMIM:609799.
p38 MAPK
α、β、γ、δ
CMGC がん、炎症   4つの密接に関連したアイソフォーム (α、β、γ、δ) が、アポトーシスおよびストレス応答に関与します。炎症促進性サイトカインの作用を媒介します。炎症、自己免疫、糖尿病、がん治療へ向けて開発中の阻害剤 (Medline:12725866、12783612、12790339) があります。阻害剤:Doramapimod/BIRB-796 (Boehringer Ingelheim:乾癬、クローン病、関節炎、 Phase 2-3)、SCIO-469、SCIO-323 (Scios:関節炎、Phase 1)、AMG-548 (Amgen)、ARQ-101 (ArQule)、CDP-11 (Celltech)、VX-702 (Vertex:急性冠症候群、Phase 2)。OMIM:600289, 602898, 602899, 602399.
p70S6K
(RPS6KB1)
AGC がん、糖尿病 OE、Amp ノックアウトマウスでは、インスリン抵抗性の症状、およびインスリン感受性の増加を示し、食餌誘発性肥満 (Medline:15306821) が予防されます。タンパク質の発現上昇と活性化が、結腸腺がん細胞株でみられます (Medline:14578160)。乳がんでの発現増加が、生存不良に関連します (Medline:15083183)。17q23の乳がんのアンプリコン内で選択的に、増幅と過剰発現がみられます (Medline:12755490、11331760)。発がん性キナーゼであるmTORからのシグナル伝達メディエーターです。OMIM:608938.
PAK3 STE 認知 LOF Mut ミスセンス変異、およびトランケーション変異が、30型非症候性精神遅延 (MRX30) (Medline:12884430、10946356、9731525) に関連付けられています。OMIM:300412.
PAK4 STE がん OE いくつかのがんで過剰発現しています。腫瘍細胞株のRas依存的で足場非依存的な増殖に必要とされています (Medline:11668177)。OMIM:605451.
PDGFRα TK がん、発生 Trans、Del、Mut 染色体再構成によって、PDGFRaが活性化されます。Bcrへの融合は非定型慢性骨髄性白血病 (CML) を引き起こし、またFIP1L1への融合は特発性好酸球増多症候群 [OMIM:607685] を引き起こします。活性化点変異は、少数の消化管間質腫瘍 (GIST) を引き起こします。プロモーター多型は、マウス変異モデルでの検証によって (Medline:9826722)、二分脊椎を含む神経管欠損に関連付けられています (Medline:11175793)。阻害剤:Imatinib、SU11248。OMIM:173490.
PDGFRβ TK がん Trans、OE 様々な骨髄増殖性疾患・がんは転座に起因し、TEL/ETV6、H2、CEV14/TRP11、Rabaptin5、Huntingtin-interacting protein 1のようなタンパク質との融合によって、PDGFRbが活性化されています。TEL融合に対するImatinib治療は現在のところ成功しています。PDGFRbは転移性髄芽腫でも過剰発現しています。阻害剤:Imatinib、SU11248。OMIM:173410.
PEK
(PERK)
その他 糖尿病 LOF Mut ERの小胞体ストレス応答において機能し、インスリンプロセシングと関連付けられています。LOF変異は、早期乳児期のインスリン依存性糖尿病や複数のシステム異常を特徴とする、Wolcott-Rallison症候群 (WRS) [OMIM:226980] を引き起こします。アルツハイマー病およびパーキンソン病における神経細胞死は、ERストレスによるものと考えられており、PEKと弱く関連付けられています。OMIM:604032.
PHKγ2 CAMK 代謝 LOF Mut LOF変異は、肝臓糖原病や肝硬変の病態の一部を引き起こします。OMIM:172471.
Pim-1 CAMK がん Trans、OE、Mut 発現は前立腺がんで増加し、これはゲノム不安定性を引き起こし (Medline:14678956)、アンドロゲン受容体依存的な転写を低下させる可能性があります (Medline:13679438)。発現レベルは予後判定因子です。過剰発現は造血器腫瘍でもみられ、びまん性大細胞型リンパ腫における異常な体細胞突然変異の標的です。T細胞リンパ腫は、Pim-1トランスジェニックマウスで誘導され、Pim-1遺伝子座へのウイルス挿入によっても頻繁に誘発されます。OMIM:164960.
Pim-2 CAMK がん   Pim-1と類似しています。マウスT細胞リンパ腫は、Pim-2遺伝子導入やウイルス挿入によって誘発されます。OMIM:300295.
Pim-3 CAMK がん   マウスのウイルス発がんモデルにおいて、Pim-1とPim-2に対して置換している可能性があります(Medline:12185366)。OMIM:610580.
PINK1 その他 がん、神経変性 Mut、Expr 2種類の変異は、遺伝性の早発性パーキンソン病を引き起こします (Medline:15087508)。PTEN腫瘍抑制因子との関連、および卵巣腫瘍における発現の減少により、がんでの役割が示唆されています。OMIM:608309.
PKACα AGC がん   調節サブユニットの多重突然変異 (PRKAR1A; OMIM:188830) は、カーニー複合腫瘍、散発性の副腎腫瘍、甲状腺腫瘍を引き起こします。PRKAR1A転写の改変は、ループスに関連します。PKACaのノックアウトマウスは、カーニー複合に類似した表現型を示します (Medline:18413734)。OMIM:601639.
PKC (multi-isoform) AGC CNS Inh PKCファミリーの複数のアゴニストおよびアンタゴニストは、ヒトやラットの躁病行動の阻害・活性化における一貫した効果があります。タモキシフェンはPKC阻害剤としての二次的効果を持ち、ラットモデルと臨床試験において抗躁病活性を示します (Medline:18316672、17641532)。
PKCα AGC がん、心血管 Mut、Del、OE、Act 点変異がいくつかの下垂体および甲状腺腫瘍でみられます (Medline:9167945)。黒色腫細胞株で欠損しています。乳がんで複雑な発現パターンを示します (Medline 15459489、15454252)。肺がん、胃がん、前立腺がんにおける治療標的です (Medline:15447994、15313921、15174974)。多剤耐性を媒介する可能性があります (Medline:12390766)。マウスモデルにより、心臓収縮性における役割が示されています (Medline:14966518)。阻害剤:LY-900003 (antisense. aka Affinitak/ISIS 3521/aprinocarsen)、Safingol、Gö6976。OMIM:176960.
PKCβ AGC 自閉症、がん、糖尿病 SNP 糖尿病性腎症 (Medline:12874455) に関連する2つのプロモーターSNPは、高グルコースによる腎発現の誘導、特異的なPKCβ阻害剤による腎機能の低下、糖尿病性腎症のげっ歯類モデルの阻害剤治療の成功 (Medline:12955673) と相関しています。PKCβ阻害は、糖尿病性網膜症 (Medline:12507628) および糖尿病性血管合併症 (Medline:11903393) の治療法としても提案されています。マウス心臓における異所発現は、心肥大を引き起こします。マウスモデルで発現上昇がみられ、結腸がんの初期に進展します (Medline:11245437)。多剤耐性を媒介する可能性があります (Medline:12697075)。活性化は虚血性損傷からアストロサイトを保護します (Medline:15165841)。SNPが自閉症に関連します (Medline:16027742)。阻害剤:LY333531 (ruboxistaurin:糖尿病性神経障害および網膜症、Phase 3)、LY317615 (Eli Lilly:アイソフォーム選択的)。OMIM:176970.
γ AGC 神経変性、疼痛 Mut 点変異は優性遺伝脊髄小脳失調症14型 [OMIM:605361] に関連付けられています。ノックアウトおよび阻害剤の研究により、痛覚における役割が示されています (Medline:14762097、9323205)。OMIM:176980.
δ AGC がん、心血管、CNS Expr アポトーシス促進性です。発現の減少が、結腸がんおよびその他のがんの進行と相関しています (Medline:15054085、12657722、12591726)。阻害は化学療法に耐性のあるがんのアポトーシスを促進する可能性があります。虚血性再灌流損傷後の心臓細胞と神経細胞におけるアポトーシスを活性化および促進します (Medline:14654063、15295022)。活性化因子:Bistrane A。阻害剤:Rottlerin、KAI-9803 (KAI:再灌流損傷、Phase 2)、dV1-1。OMIM:176977.
ε AGC がん、心血管、CNS Amp、Mut 甲状腺がんで増幅および再構成されています (Medline:9683604、10438519、11994357)。アンドロゲン非依存性前立腺がん細胞株の増殖 (Medline:11956106)、および培養での線維芽細胞の形質転換 (Medline:11968018) を促進します。活性化は、虚血性損傷 (Medline:15165841) から心筋細胞とニューロンを保護し、PKCδに拮抗します。Amyloid βペプチドはPKCε活性を阻害し、アルツハイマー病の発病に寄与する可能性があります (Medline:15207847)。阻害剤の研究から、痛みの知覚における役割が示されています (Medline:1043272)。マルチアイソフォーム阻害剤には下記が含まれます。AphiosのBryostatin-1 (BRYO) とBaxterのPerifosine/D-21266。一方、KAI-1678は選択的阻害剤です。OMIM:176975.
PKCη AGC がん   腎細胞がんにおいて、発現の進行的な上昇がみられます (Medline:14666709)。アンチセンスノックダウンは、がん細胞におけるTRAIL (Medline:15252138) および化学療法剤 (Medline:15159020) のアポトーシス作用を増強します。マウスの皮膚ノックアウトモデルにおいて、腫瘍抑制因子として作用する可能性があります (Medline:12750259、12473186)。OMIM:605437.
PKCθ AGC がん、免疫   成熟T細胞の活性化および増殖に必要とされています。T細胞白血病の標的として提案されています (Medline:12188914)。ノックアウトは、脂肪誘発型インスリン抵抗性に対して耐性を示します。OMIM:600448.
PKR
(PRKR)
その他 がん、ウイルス学、神経変性 Mut、Expr、Act ウイルス感染および炎症に応答して翻訳停止およびアポトーシスを媒介します。抗腫瘍薬として、腫瘍転写産物に対するdsRNAによる活性化が研究されています (Medline:15174900)。白血病で翻訳後に不活性化され (Medline:14961569)、またマウス白血病系統で再構成されています (Medline:9806790)。乳がん細胞株 (Medline:10871861) および肝細胞がん (Medline:14638359) において発現と活性が上昇し、黒色腫と結腸がんにおいて腫瘍進行の予後因子です (Medline:12483527)。筋緊張性ジストロフィーの基礎をなす、HuntingtinとDMPKを含むトリヌクレオチドリピートなどの転写産物に結合します (Medline:11468270、10668800、12437593)。OMIM:176871.
PLK1 その他 がん Expr 前立腺および直腸を含む多くのがんで発現が上昇します。軟寒天培養における増殖細胞に形質転換します。細胞周期に関与し、siRNAはがん細胞および異種移植片においてアポトーシスを誘発します。OMIM:602098.
PRKX AGC 生殖 Trans PRKXおよびPRKY遺伝子座位 [t(X;Y)(p22;p11)] でブレークポイントを持つ染色体転座は、性転換症例 (XX雄とXY雌) のおよそ30%を説明しています。OMIM:300083.
PRKY AGC 生殖 Trans PRKXおよびPRKY遺伝子座位 [t(X;Y)(p22;p11)] でブレークポイントを持つ染色体転座は、性転換症例 (XX雄とXY雌) のおよそ30%を説明しています。OMIM:400008.
PYK2 TK 骨粗鬆症 Model、Inh、Expr マウスKOまたは薬剤による阻害は、ラットモデルにおける骨芽細胞の骨形成機能を上昇させます (Medline:17537919、17846174)。骨関節炎軟骨組織において発現が上昇します。阻害剤:PF-431396、AG-17 (Tyrphostin A9)。OMIM:601212.
Raf1
(c-Raf)
TKL がん Amp Rasシグナル伝達、VEGFおよびFGF受容体からの抗アポトーシスシグナル下流のメディエーターです (Medline:12843393)。膀胱がん、ホルモン耐性前立腺がん、鼻咽頭がん、未分化大細胞白血病などの腫瘍で増幅がみられます (Medline:11389083、12696066、1461400、11836556)。アンチセンスは異種移植腫瘍を退行させます (Medline:12022686)。阻害剤:Sorafenib/BAY-43-9006 (Bayer)、ISIS5132 (Isis、アンチセンス)。OMIM:164760.
Ret TK がん、発生 LOF Mut、GOF Mut、Trans 家族性GOF変異は、家族性髄様甲状腺がん (FMTC) [OMIM:155240] を含む内分泌がん、FMTCおよび褐色細胞腫の素因によって特徴づけられる多発性IIA型腫瘍 (MEN2A) [OMIM:171400] とMEN2B [OMIM:162300] の原因となります。様々な遺伝子 (H4、ELE1、PKA-R1、TIF1A、TIF1G) に対するRetの転座型の融合は、乳頭状甲状腺がん [OMIM:188550] を生じます。家族性LOF変異は、腸内 (腸) ニューロンが発達しないヒルシュスプルング病 [OMIM:142623] の原因となります。OMIM:164761.
RHOK AGC 視覚 LOF Mut フォトン活性化ロドプシンをリン酸化および不活性化します。LOF変異体は、夜盲症の一種である2型小口病 [OMIM:258100] を引き起こします。RHOKと色素性網膜炎の間の関連性は現在のところは考えられていません (Medline:9268593)。OMIM:180381.
RNAseL その他 がん、ウイルス学 Mut 点変異は遺伝性の前立腺がんであるHPC1 [OMIM:601518] に関連します。マウスモデルにより、インターフェロン媒介型抗ウイルス応答における役割が示唆されています。OMIM:180435.
ROCK1、ROCK2 AGC 心血管、高血圧、神経変性   2つの関連Rho活性化型キナーゼであるROCK1とROCK2は、平滑筋の収縮性を調節します。ROCK特異的阻害剤は平滑筋の弛緩の原因となり、ラットの高血圧モデル (Medline:9353125) および眼内圧の低下 (Medline:11584347) に有効です。ROCK1は、アルツハイマープラークにおけるAb42アミロイドタンパク質の形成を制御します。阻害剤は、マウスモデルにおいてAb42レベルを低下させます。ROCK2ヌルマウスにより、血液凝固における役割が示されています (Medline:12832488)。ROCKの細胞骨格結合は、膀胱がん (Medline:12855641) や細胞・動物モデル (Medline:12524136、12823259、9930872) における転移と浸潤に関連します。その阻害剤であるFasudilは、脳血管攣縮の治療で認可されており、狭心症および高血圧の治療も検討されています。阻害剤:Fasudil、Ki29035 (Kirin)、Y-27632、Wf-536、HA-1077、H-1152P。OMIM:601702, 604002.
RON TK がん OE、Splice 細胞遊走および上皮間葉転換に作用します。頭頸部がん (Medline:15023838)、結腸がん (Medline:12527888)、乳がん (Medline:9671413)、卵巣がん (Medline:12915129)、腎膨大細胞腫 (Medline:15252311) を含む腫瘍で高度に発現しています。細胞外ドメインを欠如した構成的活性化型フォームなどの異常なスプライスバリアントが、がんで確認されます (Medline:12527888、15289319)。マウス肺における過剰発現は肺腺腫を引き起こします (Medline:12214279)。OMIM:600168.
ROR2 TK 発生 Mut カルボキシ末端の欠損は、優性短指症B型 [OMIM:113000]、および劣性Robinow症候群 (RRS) [OMIM:268310] などの骨格異常の原因となります。OMIM:602337.
ROS TK がん Trans FIG1遺伝子に融合し、染色体欠損によって構成的に活性化されると、神経膠芽腫が引き起こされます (1例)。報告によると、CNS腫瘍において異所性発現がみられます。OMIM:165020.
RSK2
(RPS6KA3)
AGC CNS、発生、ウイルス学 LOF Mut LOF変異は、顔面および歯の変形、進行性の骨格変形を伴い、重度の精神遅滞を特徴とする優性のコフィン・ローリー症候群 [OMIM:303600] の原因となります。ヒト免疫不全ウイルスTatタンパク質の活性化に必要です (Medline:17225856)。OMIM:300075.
SGK1 AGC がん、認知、糖尿病 Expr 糖尿病性腎症における発現の上昇は、ナトリウム輸送を刺激します。乳がん細胞株におけるグルココルチコイドの抗アポトーシス効果を媒介します。水迷路試験で高速学習を示したラット脳での発現上昇や、正常遺伝子・変異遺伝子の一過性トランスフェクション実験により、学習におけるポジティブな役割が示されています。OMIM:602958.
SRC TK がん Mut、OE、Act ラウス肉腫ウイルスv-src遺伝子のホモログです。トランケートした活性化フォームが、ある研究で結腸がんのおよそ12%、そして子宮内膜肉腫1例でみられますが、他の集団の一部ではみられません (Medline:9988270、10804287、10704743、10485460、11161376)。乳房、結腸、膵臓、肺、卵巣、CNSの腫瘍を含む広範ながんで、発現およびキナーゼ活性の上昇がみられます (Medline:9988270)。阻害剤:SU6656 (Sugen)、PD173955、PD166285 (Pfizer)、CGP76030 (Novartis)、BMS-354825 (BMS:がん、Phase 2)。OMIM:190090.
Syk TK アレルギー、がん Meth、Splice 乳がんにおける腫瘍抑制因子です。発達中の腫瘍において、過剰メチル化による動的な発現低下がみられます (Medline:15455373)。メチル化によるサイレンシングは、胃がんでもみられます。キナーゼ欠損アイソフォームをコードする異常なスプライシングフォームが、小児急性リンパ芽球性白血病でみられます (Medline:11494125)。マスト細胞の活性化とアレルギー性メディエーターの放出に必要です。アレルギー、喘息および炎症における潜在的な標的です (Medline:15212616)。Syk-ITK融合が、一部のT細胞リンパ腫でみられます (Medline:16341044)。阻害剤:R-406、R-788 (Rigel)、BAY 61-3606、Piceatannol、およびAventis、Yamanouchi、Boehringer、Ingelheim、Novartisでのプログラム。OMIM:600085.
TGFβR1
(ALK5)
TKL がん、発生 SNP、Mut 集団のおよそ10%が保有する一般的なバリアントアレル (TGFβR1*6A) が、乳がん、結腸がん、卵巣がんおよび血液がんの発生率の高さに関連しています (Medline:14966109)。特徴的なイントロンSNPが、膀胱がんおよび腎臓がんの両方に関連します (Medline:15382067)。肺がんではタンパク質およびRNA発現の上昇が観察され (Medline:14596814)、さらにTGFβシグナル伝達経路の全体的な破綻が様々ながんで観察されています。心血管、頭蓋顔面、神経認知、骨格における異常を特徴とする、Loeys-Dietz症候群 [OMIM:609192] で変異がみられます。阻害剤:SB-505124. OMIM:190181.
TGFβR2 TKL がん、発生、線維症 LOF Mut 抗増殖受容体です。TGFbR2およびIGFR2は両方ともマイクロサテライト反復配列を有し、マイクロサテライトの不安定性を持つほとんどの結腸がんと胃がんで、2つのうちどちらか1つが変異しています。食道がん [OMIM:133239] に関連付けられています。変異が遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がん (HNPCC、リンチ症候群) [OMIM:114500] に共通してみられ、DNA修復遺伝子が変異した結果、マイクロサテライトの不安定性が引き起こされています。生殖系列での変異は、II型マルファン症候群 [OMIM:154705] および関連する結合組織疾患と関連します。心臓血管、頭蓋顔面、神経認知、骨格における異常を特徴とする、Loeys-Dietz症候群 [OMIM:609192] で変異がみられます。TGFbシグナル伝達は、線維症や創傷治癒にも関連します (Medline:15117886)。阻害剤:Fibrogen。OMIM:190182.
Tie2
(TEK)
TK 血管新生、がん Mut、OE 点変異は、優性遺伝性の静脈奇形 [OMIM:600195] の原因となります。非小細胞肺がん (Medline:9681823)、骨髄性白血病 (Medline:11755466)、肝細胞がん (Medline:11915032) において発現が増加しています。発現は乳がんの転移予後因子であり (Medline:12527939、15026804)、さらに、発現と活性化状態は星状細胞腫の悪性度と相関しています (Medline:14742253)。マウスの実験では、可溶性受容体は腫瘍成長を阻害します (Medline:14985859)。OMIM:600221.
TITIN CAMK 心血管 Mut 変異が、肥大性および拡張型心筋症、脛骨筋ジストロフィーでみられます。OMIM:188840.
TrkA
(NTRK1)
TK がん、感覚 Mut、Trans 点変異と転座により、甲状腺乳頭がんで見られるTrkA融合タンパク質が生じます。融合パートナーには、TPM3 (Tropomyosin)、TRP、TFG、Tagが含まれます。Trkシグナル伝達は、乳がんと卵巣がん (Medline:15379632、14997042、12796393) および一部の黒色腫 (Medline:15362372) に関連しています。神経芽腫、神経膠腫、星状細胞腫では動的なTrkA発現がみられ、発現上昇は良好な予後と相関します (Medline:9049830)。TrkAの変異が先天性無痛無汗症 [OMIM:256800] でみられ、これは疼痛や侵襲性刺激への無感覚、無汗症 (発汗の欠損)、自傷行為や精神遅滞を特徴とします。マウスTrkAノックアウトは同様の表現型を有します。阻害剤:K-252a. OMIM:191315.
TrkB
(NTRK2)
TK がん Mut 2つの別々の点変異が、一連の182結腸腫瘍と細胞株でみられます (Medline:12738854)。ラットにおいて、TrkBはアノイキスを阻害し、転移を促進します (Medline:15329723)。1例の肝腫瘍と、この遺伝子座に挿入されたB型肝炎ウイルスが関連付けられています (Medline:12813464)。TrkBの上昇した発現は、神経芽細胞腫の予後不良に関連し (Medline:10994551)、化学療法抵抗性を媒介する可能性があります (Medline:12438236)。OMIM:600456.
TrkC
(NTRK3)
TK がん Trans、Mut 融合遺伝子EV6-TrkCが、小児間葉系がんおよびラット分泌型乳がんで見られます。10種類の点変異が、乳房、結腸、肺、膵臓の腫瘍および細胞株にみられます (Medline:12738854、16941478)。OMIM:191316.
Tyk2 TK 免疫 SNP、Model IFNαの下流の免疫シグナルです。Tyk2変異を自然発生的に有するマウス系統は、寄生虫感染を受けやすく、自己免疫性関節炎に対して耐性があります (Medline:14500783)。ヒトSNPがループスに関連します (Medline:17384181、15657875)。阻害剤:Piceatannol。OMIM:176941.
TYRO3
(SKY)
TK がん OE 培養細胞で形質転換を引き起こすがん遺伝子です (Medline:7896835)。過剰発現はリガンド非依存性活性化を引き起こします (Medline:8545119)。マウス乳腺腫瘍 (Medline:7896835) およびヒト多発性骨髄腫 (Medline:11468178) で過剰発現しています。星状細胞腫で下方制御される一方で (Medline:11156382)、マウスのTYRO3/Mer/Axlのトリプルノックアウトでは、過剰増殖障害を示すことから (Medline:11452127)、増殖を正にも負にも制御する働きが示唆されます。OMIM:600341.
Wnk1 その他 高血圧 Intronic Mut Wnk1における2つの異なるイントロン欠損が、家族性高血圧症 (II型偽性低アルドステロン症) の症例でみられます。OMIM:605232.
Wnk4 その他 高血圧 Mut 腎臓の遠位曲尿細管でのみ発現し、タイトジャンクションに局在しています。個別の点変異が、4​例の家族性高血圧症 (II型偽性低アルドステロン症) においてみられます [OMIM:145260]。OMIM:601844.
Yes TK がん Amp、Act in vitroで線維芽細胞を形質転換し得る、ヤマグチ肉腫ウイルスv-yesがん遺伝子のオルソログです (Medline:3303862)。1例の胃がんおよびイヌ乳腺腫瘍で増幅されています (Medline:3935622、10081762)。結腸がん細胞株と腫瘍 (Medline:7690925、7806032)、および黒色腫細胞株と脳転移 (Medline:7690926、9681823) において、キナーゼ活性の上昇がみられます。マウスノックアウトでは、SrcおよびFynによって機能が補われるため、強い表現型を示しません (Medline:7958873)。OMIM:164880.
Zap-70 TK 免疫 Mut 変異は選択的なT細胞欠損 [OMIM:176947] の原因となり、これは、CD8陽性T細胞の選択的欠如を示す重度の複合型免疫不全症 (SCID) の劣性形質です。発現の低下は、B細胞慢性リンパ球性白血病の良好な予後と相関します。SKGマウスではZap-70の変異により、自己反応性T細胞の数が増加し、慢性関節炎が引き起こされます。OMIM:176947.

分子基礎キー: Act—活性化 Amp—増幅 Del—欠損 Expr—発現 GOF—機能獲得型 Inh—阻害剤研究 LOF—機能喪失型 LOH—ヘテロ接合性消失 Meth—メチル化 Model—モデル生物研究 Mut—変異 OE—過剰発現 SNP—単一ヌクレオチド多型 Splice—スプライシング変化 Trans—転座