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線維症のメカニズム

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パスウェイの説明:

線維症は、慢性炎症に応答した筋線維芽細胞による細胞外マトリクス (ECM) タンパク質の過剰な沈着によって引き起こされる、瘢痕と組織の硬化です。毒素、感染性病原体、自己免疫応答、機械的ストレスなど、様々な有害な刺激により線維性の細胞応答が誘発されます。線維症は体のすべての組織に影響し、そのままにしておくと臓器不全や死に至ることがあります。線維形成を調節する重要なシグナル伝達経路に関する現在の研究により、線維症の進行を抑制し、細胞機能を回復させると期待される治療の標的が特定されています。

常在性線維芽細胞、間葉系細胞、循環線維細胞や、その他のタイプの細胞の分化転換など、多くの起源に由来する筋線維芽細胞は、組織の損傷に応答して、細胞外環境をリモデリングして組織の完全性を回復し、実質細胞の置換を促進することによって創傷治癒応答を開始します。通常、この線維化促進プログラムは、組織が治癒するとオフになります。しかし、持続的な侵襲と損傷によりこのプロセスの調節不全が起こると、ECMタンパク質の病理学的に過剰な沈着が引き起こされ、筋線維芽細胞の活性の上昇と協調して、マクロファージと免疫細胞の浸潤を伴う慢性炎症環境が形成されます。この細胞環境では、線維化の過程の主要なエフェクターとして作用するTGF-β (transforming growth factor-beta) ファミリーやWnt1 (Wingless/Int-1) など、サイトカインと成長因子が豊富に放出されます。TGF-βとWnt1はそれらの同族の細胞表面受容体に結合し、下流のシグナル伝達を開始して、最終的には、それぞれ転写モジュレーターであるSmad2/3とCBP/β-Cateninの核移行を引き起こします。このことは、筋線維芽細胞の分化と、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンなどのECMタンパク質の産生と分泌をさらに高めるよう機能する標的遺伝子の発現の上昇をもたらします。

ECMの過剰な蓄積が進行するにつれ、マトリクスの構造が変化し堅くなります。ECMの張力は、Hippoシグナル伝達経路とその主要な下流エフェクターであるYAPとTAZを活性化する細胞表面インテグリン受容体を介した機械的伝達を通じて細胞に感知されます。さらに別のフィードフォワードループでは、活性化されたYAPとTAZが核に移動し、PI3K/AKT/mTOR経路を介した筋線維芽細胞の増殖と活性化を促進するCTGFやPDGFなどの線維化遺伝子の活性の上昇に寄与します。

様々な細胞傷害と組織の状況にもかかわらず、ここで概説されたメカニズムは様々な疾患における線維症の特性です。病的な線維症に関連する状態の例には、非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) と、その前状態である非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) があり、どちらも肝不全につながる可能性があります。その他の例としては、特発性肺線維症 (IPF)、アルコール性肝疾患 (ALD)、腎線維症などがあります。線維性ECMは細胞の増殖を刺激し、細胞極性を変化させ、腫瘍の発生と成長に寄与することから、繊維化は臓器の損傷だけでなく、がんの進行にも関与しています。

有害なECMの沈着と瘢痕化につながる炎症応答は、有益な修復プロセスにも必要であることから、疾患の治療のため線維症を標的にすることには依然として困難が予想されます。線維症の根底にある細胞メカニズムと分子メカニズムをさらに解明することは、これらの異なる効果を分離して、最終的に患者にとってよい臨床結果につながる治療法を開発するために必要です。

参考文献:

作成日:2019年10月

アセチル化酵素
代謝酵素
アダプター
メチルトランスフェラーゼあるいはGタンパク質
アポトーシス/オートファジー調節因子
ホスファターゼ
細胞周期の調節因子
タンパク質複合体
脱アセチル化酵素あるいは細胞骨格タンパク質
受容体
成長因子/サイトカイン/発生調節タンパク質
転写因子あるいは翻訳因子
GTPase/GAP/GEF
ユビキチン/SUMOリガーゼあるいは脱ユビキチン化酵素
キナーゼ
その他
 
直接刺激型修飾
直接刺激型修飾
転写性刺激型修飾
転写刺激
直接阻害型修飾
直接阻害型修飾
転写阻害
転写阻害
多段階刺激型修飾
多段階刺激型修飾
サブユニットの結合
サブユニットの結合
多段階阻害型修飾
多段階阻害型修飾
移行
移行
一時的な刺激型修飾
一時的な刺激型修飾
サブユニットの解離あるいは開裂産物
サブユニットの解離あるいは開裂産物
一時的な阻害型修飾
一時的な阻害型修飾
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