アポトーシスは、対応するリガンドによるFas、TNFαR、DR3、DR4、DR5などのデスレセプターの活性化によって誘導されます。デスレセプターリガンドは、受容体をオリゴマー化することでシグナル伝達を開始する特徴があり、これにより特異的なアダプタータンパク質をリクルートし、カスパーゼカスケードを活性化します。FasLの結合はFasの三量化を誘導し、アダプタータンパク質FADDを介してイニシエーターCaspase-8をリクルートします。次に、Caspase-8は多量体化し、自己触媒作用によって活性化されます。活性化されたCaspase-8は、並行する2つのカスケードを介してアポトーシスを促進します。すなわち、Caspase-3を直接切断して活性化するか、もしくはアポトーシス促進性のBcl-2ファミリータンパク質であるBidを切断します。切断されたBid (tBid) はミトコンドリアへ移動し、シトクロムc放出を誘導することで、Caspase-9とCaspase-3を順番に活性化します。TNF-αおよびDR-3Lは、アポトーシス促進性シグナルまたは抗アポトーシス性シグナルを伝達します。TNFαRおよびDR3は、アダプタータンパク質TRADD/FADDおよびCaspase-8を活性化することでアポトーシスを促進します。TNF-αとTNFαRの相互作用により、NIK/IKKを介してNF-κBパスウェイが活性化されます。NF-κBが活性化されると、Bcl-2およびFLIPを含む生存促進性遺伝子の発現を誘導し、後者はCaspase-8の活性化を直接阻害します。FasLおよびTNF-αは、ASK1/MKK7によりJNKも活性化する可能性があります。JNKが活性化されると、リン酸化によりBcl-2が阻害される可能性があります。カスパーゼが活性化されない場合は、デスレセプターの刺激によって複合体IIbが形成され、ネクロプトーシスと呼ばれる別のプログラム細胞死経路が活性化される可能性があります。
この図をレビューして下さった、ハーバード大学医学大学院 (マサチューセッツ州、ボストン) のJunying Yuan教授に感謝いたします。
作成日:2008年9月
改訂日:2016年9月