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Notchシグナル伝達

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Notchシグナル伝達

パスウェイの説明:

Notchシグナル伝達は、多細胞生物において進化的によく保存された経路で、発生過程において細胞の運命を決定し、成体組織の恒常性を維持します。Notch経路は細胞接触型のシグナル伝達を媒介します。この伝達経路内では、シグナルを送信する細胞と受信する細胞の両方が、リガンドと受容体のクロストークにより影響を受け、それによって神経系、心臓系、免疫系および内分泌系の発生における一連の細胞運命決定機構が制御されます。Notch受容体は、1回膜貫通型のタンパク質で、機能的な細胞外ドメイン (NECD)、膜貫通ドメイン (TM)、および細胞内ドメイン (NICD) からなります。Notch受容体は、シグナル受信細胞の小胞体やゴルジ体で、切断 (S1切断) や糖鎖修飾などのプロセシングを受け、Ca2+によって安定化されたヘテロ二量体を生じますが、これは膜内に挿入されたTM-NICDと非共有結合性に結合したNECDから構成されます。プロセシングを受けたNotch受容体は、エンドソームによって細胞膜へ輸送され、Deltexによる制御およびNUMBによる阻害を受けることで、リガンドへの結合が可能になります。哺乳類のシグナル送信細胞では、Delta-likeのメンバー (DLL1、DLL3、DLL4) やJagged (JAG1、JAG2) ファミリーが、Notchシグナル伝達受容体のリガンドとして機能します。リガンドが結合すると、NECDはTACE (TNF-α ADAM 金属プロテアーゼ変換酵素) によってTM-NICDドメインから切断されます (S2切断)。NECDはリガンドに結合したまま、シグナル送信細胞内で、Mibによるユビキチン化依存的なエンドサイトーシス/リサイクリングを受けます。シグナル受信細胞内では、γ-セクレターゼ (アルツハイマー病にも関与) がTMからNICDを放出します (S3切断)。これによってNICDは核内へ移行し、そこでCSL (CBF1/Su(H)/Lag-1) 転写因子複合体と結合し、Notchの標準的な標的遺伝子であるMyc、p21、HES-ファミリーの活性化を誘導します。Notchシグナル伝達経路はヒト疾患と関連することから、この経路を標的とした薬物利用に関心が高まっています。各種研究によって明らかになった重要なことは、Notch受容体の活性化変異でみられるようなNICDの核内への蓄積が、成人T細胞急性リンパ芽腫性白血病およびリンパ腫で共通してみられることです。さらに、Notch受容体の機能欠失およびリガンドの突然変異は、アラジール症候群や、常染色体優性脳動脈症 (CADASIL) など様々な疾患に関与しています。

参考文献:

この図の作成にご貢献下さった、Brigham and Women’s Hospital、ハーバード大学医学大学院 (マサチューセッツ州、ボストン) のHans Widlund教授に感謝いたします。

作成日:2006年6月

改訂日:2012年12月

アセチル化酵素
アセチル化酵素
代謝酵素
代謝酵素
アダプター
アダプター
メチルトランスフェラーゼあるいはGタンパク質
メチルトランスフェラーゼあるいはGタンパク質
アダプター
アポトーシス/オートファジー調節因子
ホスファターゼ
ホスファターゼ
細胞周期の調節因子
細胞周期の調節因子
タンパク質複合体
タンパク質複合体
脱アセチル化酵素あるいは細胞骨格タンパク質
脱アセチル化酵素あるいは細胞骨格タンパク質
ユビキチン/SUMOリガーゼあるいは脱ユビキチン化酵素
ユビキチン/SUMOリガーゼあるいは脱ユビキチン化酵素
成長因子/サイトカイン/発生調節タンパク質
成長因子/サイトカイン/発生調節タンパク質
転写因子あるいは翻訳因子
転写因子あるいは翻訳因子
GTPase/GAP/GEF
GTPase/GAP/GEF
受容体
受容体
キナーゼ
キナーゼ
その他
その他
 
直接的プロセス
直接的プロセス
一時的なプロセス
一時的なプロセス
転座プロセス
転座プロセス
刺激型修飾
刺激型修飾
阻害型修飾
阻害型修飾
転写修飾
転写修飾