CSTのシグナル伝達パスウェイ図で個々のタンパク質名をクリックすると、それに関連した研究リソースや製品情報を検索することができます。さらに、教育・研究のために、パスウェイ図をダウンロードすることも可能です。
核内受容体スーパーファミリーは、リガンドによって活性化される転写因子で、細胞の分化、発生、増殖、および代謝において多様な役割を担い、がん、心血管系疾患、炎症性疾患、および生殖異常などの多数の病態に関連しています。この受容体ファミリーは、N末端のトランス活性化ドメイン、高度に保存された中央部のZnフィンガーDNA結合ドメイン、およびC末端リガンド結合ドメインから成ります。核内受容体へリガンドが結合すると、標的組織内で特異的遺伝子のトランス活性化が引き起こされます。
1型の核内受容体はステロイド受容体とも呼ばれており、これにはエストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体などがあります。この受容体サブグループに対するステロイドホルモンリガンドは、各々の内分泌腺から分泌され、ステロイド結合グロブリンに結合して血流に乗ります。一部の1型核内受容体は、細胞質内コンパートメントにおいてそれぞれのリガンドに結合することで、部分的に活性化されます。リガンドと受容体の複合体は、核内に移行してホモ二量体となり、HSP90から解離して、標的遺伝子のプロモーター領域にあるホルモン応答配列 (HRE) に結合します。受容体のトランス活性化ドメインによって、アセチル基転移酵素、コアクチベーター、基本的な転写装置 (TBP、TFIIB、RNAポリメラーゼII) がプロモーターで相互作用し、転写が活性化されます。
II型非ステロイド核内受容体には、甲状腺ホルモン受容体、レチノイン酸受容体、ビタミンD受容体、PPARγが含まれます。この受容体ファミリーは、レチノイドX受容体 (RXR) と共にヘテロ二量体を形成します。リガンド結合に先立って、受容体のヘテロ二量体は、ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) や他のコリプレッサーと複合体を形成して核内に局在し、高密度構造内に標的DNAを保持することによって、トランス活性化因子への曝露を防ぎます。リガンドが結合すると、HDACの解離、クロマチンの抑制解除、転写の活性化が起こります。
リガンド結合に加えて、核内受容体の活性は、様々な成長因子やサイトカインシグナル伝達カスケードによって制御されます。その結果、受容体の翻訳後修飾 (リン酸化など) が通常はN末端のトランス活性化ドメインで起こります。例えば、エストロゲン受容体は、複数のセリン残基がリン酸化され、それにより受容体の活性が変化します。Ser118は転写制御キナーゼCDK7の基質であり、一方、Ser167はp90RSKやAktによってリン酸化されます。Ser167のリン酸化によって、乳がん患者がタモキシフェンに対する耐性を持つことが知られています。