マウスTIAM-1のDHドメイン
DH (Dbl homology) もしくはRhoGEFドメインは、~150アミノ酸領域から構成されており、RhoファミリーGTPaseのGDP交換反応を誘導します。これは、Rho GTPaseをGTP結合型にすることで、効率的に活性化します (細胞内GTP濃度はGDPよりはるかに大きい)。DHドメインは、例外なくPH (pleckstrin homology) ドメインに先行して存在しています。このPHドメインはヌクレオチドの交換反応に絶対に必要というわけではありませんが、多くの場合、触媒効率を大きく上昇させるようです。Rhoタンパク質はアクチン動態や遺伝子発現、膜輸送、増殖因子シグナル伝達、ならびに細胞の形質転換を制御します。DHドメイン (RhoGEF) を持つタンパク質は、主要なRho GTPaseの活性化因子として作用することにより、これらの現象を制御します。。多くのRhoGEFがその形質転換活性をもとに同定されましたが、この活性はそれらが持つDHドメインを破壊することによって失活します。
DHドメインは、独特の伸展したαヘリックスの束から成ります。この束は主に、CR1、CR2、CR3領域から構成され、それぞ別々のαヘリックスが密に集まって形成されています。CR1およびCR3領域は、それらの最初の接触点となるRho GTPaseと複合体を形成するまでは溶媒側に露出しています。Tiam-1のDHドメインがRac-1に結合した途端、Rac-1のGTP結合ポケットの中のswitch I領域が移動して、Tiam-1の内部のCR1領域とCR3領域によって作られる溝の中に結合します。Rac-1の中のswitch II部位がDHドメインのさらに広い面に結合すると、Rac-1の59残基および64残基が置換されます。これらの変化のもたらす実質的な効果は、GDPおよびGDPの末端のリン酸に結合するPループに統合されたMg2+イオンが置き換わるということですが、これによってそれ以降のGDPのRac-1への結合が不安定化します。
DHドメインタンパク質 | 結合パートナー |
Dbl | RhoA/Rac1/Cdc42 |
p190 RhoGEF | RhoA |
Tiam-1 | Rac1/Cdc42 |
p115 RhoGEF | RhoA |