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オートファジーは細胞の動的なリサイクルシステムであり、細胞質成分、異常なタンパク質凝集体、過剰または損傷したオルガネラを分解することで、新しい細胞成分を作り出すためのアミノ酸などの材料を使用できるようにします。オートファジーは、分解されるタンパク質やオルガネラ、細胞質成分が小さな膜で囲まれて、オートファゴソームが形成されることで起こります。続いて、オートファゴソームはリソソームと融合してオートリソソームを形成し、リソソームの酵素によって細胞成分が分解されます。オートファジーは通常、栄養飢餓状態で活性化されますが、発生、分化、神経変性疾患、ストレス、感染、肥満、がんといった生理的および病理的なプロセスとも関係しています。
mTORキナーゼはオートファジー誘導の重要な制御因子で、活性化されたmTOR (AktおよびMAPKシグナル伝達) はオートファジーを抑制し、他方、抑制されたmTOR (AMPKおよびp53シグナル伝達) はオートファジーを促進します。多くが酵母で発見されたオートファジーの分子機構は、多数のオートファジー関連遺伝子 (Atg) によって制御されます。セリン/スレオニンキナーゼであるULKは、酵母Atg1と同様の役割を担い、mTOR複合体の下流で働きます。ULKはAtg13および足場タンパク質のFIP200と大きな複合体を形成します。Class III phosphoinositide 3-kinase (PI3KクラスIIIまたはhVps34) はオートファジーの主な制御因子です。p105/Vsp15、Beclin-1、UVRAG、Atg14、Rubiconといった複数のタンパク質がPI3KクラスIIIと関係しています。RubiconはPI3KクラスIII脂質キナーゼの活性を阻害し、PI3KクラスIII活性のエンハンサーであるAtg14Lの作用に拮抗します。Atg遺伝子は、Atg12-Atg5とLC3-II (Atg8-II) との複合体を介してオートファゴソームの形成を制御します。Atg12は、Atg7とAtg10 (それぞれE1、E2様酵素) を必要とするユビキチン様反応でAtg5に結合します。その後、Atg12-Atg5複合体はAtg16と非共有結合的に相互作用し、大きな複合体を形成します。2つ目の複合体であるLC3/Atg8は、Atg4プロテアーゼによってC末端が切断され、細胞質型LC3-Iになります。LC3-Iは、Atg7とAtg3 (それぞれE1、E2様酵素) を必要とするユビキチン様反応で、ホスファチジルエタノールアミン (PE) という脂質に結合します。LC3-IIとして知られるPE結合型LC3は、オートファゴソーム膜に結合します。Sequestome 1 (SQSTM1、p62) はLC3/Atg8に結合するユビキチン結合タンパク質であり、SQSTM1含有タンパク質凝集体をオートファゴソームに運ぶことによってオートファジーによる分解を促進します。