未変性タンパク質の免疫沈降
このプロトコールには、Protein A磁気分離による未変性タンパク質の免疫沈降の手順が記載されています。この手順で得られたサンプルは、ウェスタンブロッティングやキナーゼ活性による解析にご使用いただけます。
A. 溶液および試薬
注意:溶液は、逆浸透脱イオン (RODI) 水、または同等の精製水で調製してください。
- 20X Phospate Buffered Saline (PBS): (#9808) 1X PBSを1 L用意する場合は、20X PBS 50 mLを精製水 (dH2O) 950 mLに加え、混ぜ合わせてください。
10X Cell Lysis Buffer:(#9803) To prepare 10 ml of 1X cell lysis buffer, add 1 ml cell lysis buffer to 9 ml dH2O, mix.
注意:使用直前に1 mM PMSF (#8553) を加えてください。
- 3X SDSサンプルバッファー:Blue Loading Pack (#7722) またはRed Loading Pack (#7723)。1/10容量の30X DTTを3X SDSローディングバッファーに加え、還元作用を持つ新しい3X ローディングバッファーを調製してください。
- Protein A Magnetic Beads: (#73778)
- 磁気分離ラック:(#7017) or (#14654).
- 10X Kinase Buffer (キナーゼアッセイ用):(#9802) 1X Kinase Bufferを1 mL用意する場合は、10X Kinase Buffer 100 µLを精製水 (dH2O) 900 µLに加えて、混ぜ合わせてください。
- ATP (10 mM) (キナーゼアッセイ用):(#9804) ATP (200 µM) 0.5 mLを用意する場合は、ATP (10 mM) 10 µLを1X Kinase Buffer 490 µLに加えてください。
B. 細胞ライセートの調製
- 培地を吸引してください。目的に応じて調節因子を含む新鮮な培地を加え、細胞を必要時間処理してください。
- 未変性状態で細胞を採取するために、培地を除去し、氷冷した1X PBSで細胞を1回洗ってください。
- PBSを除去し、各プレート (10 cm) に氷冷した1X Cell Lysis Buffer 0.5 mLを加え、氷上で5分間インキュベートしてください。
- プレートから細胞を掻き取り、遠心分離用チューブに移してください。氷上に保持してください。
- 氷上で超音波処理を3回 (各5秒間) 行なってください。
- 4°C、14,000 x gで10分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移してください。上清が細胞ライセートです。必要に応じて、ライセートは-80°Cで保存することができます。
C. 免疫沈降
細胞ライセートのプレクリア (オプション)
Protein A Magnetic Beadsへのタンパク質の非特異的結合を低減させるために、細胞ライセートのプレクリアステップを強くお勧めします。テストサンプルとアイソタイプコントロールを用意するのに十分な量のライセートをプレクリア処理してください。
- 磁気ビーズのストックチューブを手早くボルテックスし、再懸濁してください。
重要:Pre-wash #73778 magnetic beads just prior to use:
- ビーズスラリー20 μLを新しいチューブに移してください。チューブを磁気分離ラックに10-15 秒間設置してください。
溶液が澄んだらバッファーを注意深く除去してください。1X Cell Lysis Buffer 500 μLを磁気ビーズペレットに加え、手早くボルテックスしてビーズを洗ってください。チューブを磁気分離ラックに戻してください。溶液が澄んだらバッファーを除去してください。もう一度、洗いの操作を繰り返してください。
- 細胞ライセート200 μLを前洗浄した磁気ビーズ20 μLに加えてください。
重要:ライセートの至適濃度は、標的タンパク質の発現レベルによって異なります。開始濃度として、250 μg/mL-1.0 mg/mLをお勧めします。
- ローテーターを用いて、室温で20分間インキュベートしてください。
- 磁気分離ラックを使用して、ビーズをライセートから分離し、プレクリアされたライセートを新しいチューブに移して、磁気ビーズペレットを捨ててください。
- 免疫沈降セクションへと進んでください。
免疫沈降
重要:一次抗体の免疫沈降で特異的な結合を確認するために、適切なアイソタイプコントロールの使用を強くお勧めします。ラビットポリクローナル一次抗体にはNormal Rabbit IgG#2729、ラビットモノクローナル一次抗体にはRabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control#3900、マウスモノクローナルIgG1一次抗体にはMouse (G3A1) mAb IgG1 Isotype Control#5415、マウスモノクローナルIgG2a一次抗体にはMouse (E5Y6Q) mAb IgG2a Isotype Control #61656、マウスモノクローナルIgG2b一次抗体にはMouse (E7Q5L) mAb IgG2b Isotype Control #53484、Mouse (E1D5H) mAb IgG3 Isotype Control #37988を使用してください。同一濃度のアイソタイプコントロールを用い、また、一次抗体のサンプルと並行してプロトコールを進める必要があります。
- 製品データシートに記載されている推奨希釈率に従い、一次抗体を、細胞ライセート 200 µLに加えてください。ローテーターを用いて、4°Cで一晩インキュベートし、免疫複合体を形成させてください。
- 予め磁気ビーズを前洗浄してください (細胞ライセートのプレクリアセクション、ステップ1と2を参照してください)。
- ライセートと抗体 (免疫複合体) を含む溶液を、前洗浄した磁気ビーズぺレットを入れたチューブに移してください。
- ローテーターを用いて、室温で20分間インキュベートしてください。
- 磁気分離ラックを使用してビーズを分離してください。ペレットを1X Cell Lysis Buffer 500 µLで5回洗ってください。洗いの操作は氷上で行ってください。
- ウェスタンブロッティングあるいはキナーゼ活性分析 (セクション D) で解析してください。
D. サンプルの解析
以下のステップから適切な操作に進んでください。
ウェスタンブロッティングで解析する場合
- ペレットを3X SDSサンプルバッファー20-40 μLで再懸濁し、手早くボルテックスして混ぜ合わせ、手早く遠心分離してサンプルを沈殿させてください。
- サンプルを95-100°Cで5分間加熱してください。
- 磁気分離ラックを使用してビーズを分離してください。上清を新しいチューブに移してください。上清がサンプルです。
- サンプルをウェスタンブロット解析してください (ウェスタンブロッティングプロトコールをご覧ください)。
注意:To minimize masking caused by denatured IgG heavy chains (~50 kDa), we recommend using Mouse Anti-Rabbit IgG (Light-Chain Specific) (D4W3E) mAb (#45262) or Mouse Anti-Rabbit IgG (Conformation Specific) (L27A9) mAb (#3678) (or HRP conjugate #5127). 変性IgG軽鎖 (およそ25 kDa) によって起こるマスキングを最小化する場合は、Mouse Anti-Rabbit IgG (Conformation Specific) (L27A9) mAb (#3678) (またはHRP conjugate #5127) の使用を推奨します。
キナーゼアッセイで解析する場合
- ペレットを1X Kinase Buffer 500 µLで2回洗ってください。氷上に保持してください。
- 200 µM ATPと適切な基質を添加した1X Kinase Buffer 40 µLでペレットを懸濁してください。
- 30°Cで30分間インキュベートしてください。
- 3X SDSサンプルバッファー20 µLで反応を停止させます。ボルテックスした後、30秒間遠心分離してください。
- リン酸化基質を含む上清を、新しいチューブに移して下さい。
- サンプルを95 - 100°Cで2 - 5分間加熱し、14,000 x gで1分間遠心分離してください。
- サンプル (15 - 30 µL) をSDS-PAGEゲルにロードしてください。
更新:2008年12月
改訂日:2021年4月