細胞老化は、明確な分泌表現型を伴う不可逆的な細胞周期の停止と、ストレスに応答して肥大したリソソームによって特徴づけられます。老化細胞は加齢とともに組織に蓄積し、老化の様々なマーカーと神経変性疾患の関連性が見出されています。Tauの病理に関連して、p16は老化したアストロサイトやミクログリアに蓄積します。また、アミロイド斑の病理に関連して、p16とp27はオリゴデンドロサイト前駆細胞 (OPC) に蓄積します。老化細胞を除去してアルツハイマー病を治療するために、抗老化細胞化合物の研究が進められています。
p16は、CDK (cyclin-dependent kinase) を阻害してG1期の細胞周期の停止に関与するINK4ファミリーのメンバーです。p16は一般的に老化細胞のマーカーとして使用されます。アルツハイマー病患者のニューロンにはp16の高発現が見られ、多発性硬化症の進行にもp16が関与している可能性があります。
p21 Waf1/Cip1はCDK阻害タンパク質であり、細胞老化のマーカーとしてもよく用いられます。ストレス誘導性p53によって細胞周期を停止させ、老化を引き起こします。p21はアルツハイマー病での細胞周期の調節異常の重要なメディエーターである可能性があります。
IL-1βは老化細胞から分泌される炎症性サイトカインです。アルツハイマー病の脳組織、脳脊髄液 (CSF)、血清にて上昇が見られ、これはp38MAPKの活性が亢進するためと考えられています。加齢したラットミクログリアは、in vitroでβ-Amyloidオリゴマーによって処理することで、IL-1βとTNF-αのレベルの上昇を特徴とする老化表現型を獲得することがあります。パーキンソン病患者の脳脊髄液、血清、線条体ドーパミン作動領域においてもIL-1βレベルの上昇が見られます。
TNF-αは、その調節不全がアルツハイマー病やパーキンソン病に関与しているサイトカインです。アルツハイマー病患者の脳組織、脳脊髄液 (CSF)、血清でTNF-αレベルの上昇が見られ、これはp38MAPKの活性が亢進するためと考えられています。加齢したラットミクログリアは、in vitroでβ-Amyloidオリゴマーによって処理することで、IL-1βとTNF-αのレベルの上昇を特徴とする老化表現型を獲得することがあります。パーキンソン病患者の脳脊髄液、血清、線条体ドーパミン作動領域においてもTNF-αレベルの上昇が見られます。
老化細胞はリソソームβ-Galactosidase活性の上昇を指標に同定できます。β-Amyloidはin vitroモデルにて老化を引き起こし、p16 INK4Aや老化関連β-Galactosidaseの発現を促進します。パーキンソン病患者の脳脊髄液においてもβ-Galactosidase活性の上昇が見られます。