グリア細胞のサブタイプであるミクログリアは、中央神経系 (CNS) の神経免疫系で最も大きな役割を果たすものです。構造上ダイナミックなプロセスを有するミクログリアは、その環境を休むことなくスキャンしており、ニューロンの維持とシナプスの剪定を行うハウスキーパー的な役割を果たすとともに、急性および慢性の損傷に対して防護します。アルツハイマー病 (AD) においては、ミクログリアはアミロイド斑を取り囲み、斑の増殖を空間的に抑制しながら、ファゴサイトーシスにより除去を開始する様子が観察されています。特に、 2 (TREM2) 上に発現されるミクログリアをトリガーする受容体の変異は、遅発性ADのリスクの顕著な増加と関連付けられています。TREM2は、細胞の表面にある免役受容体であり、ApoEやAβなどの数多くのポリアニン系リガンドによりこれが活性化すると、そのアダプタータンパク質DAP12を通じての細胞内シグナル伝達カスケードを開始します。通常TREM2の活性化は、神経保護機能に必須であるミクログリアの走化性、ファゴサイトーシス、増殖、維持などを促進します。より具体的には、正常なTREM2リガンドの結合はPI3Kおよび下流のmTORの活性化につながり、これにより、ミクログリアによるオートファジーが阻害されます。オートファジーは、ミクログリアがAβ斑を取り込む際に、ミクログリアの活性と高代謝状態を保つために重要なプロセスです。TREM2がない状態では、Trem2-/-ミクログリアにおいてオートファジーベシクルの減少が認められるため、この役割は障害される可能性が高いと考えられます。ADの表現型では、Aβのミクログリアによる除去が最初に受ける損害により、凝集物が細胞外に蓄積し、これが慢性的なミクログリアの炎症反応を引き起こし、ADに関連する神経変性に寄与する神経毒性作用を起こします。