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CUT&RUN:エピジェネティックマークとメカニズムを解析するための新しい方法

 

CUT&RUN (C​leavage ​U​nder ​T​argets ​&​ ​R​elease ​U​sing ​N​uclease) は、タンパク質とDNAの相互作用を探索する新技術です。タンパク質とDNAの相互作用のマッピングのために現在用いられている技術には、一定の限界があります。Cell Signaling Technology® (CST) は、他の全ゲノムマッピング技術が抱える多くの課題を克服する、CUT&RUN​アッセイを提供しています。詳細はCUT&RUNのウェブページをご覧ください。

このウェビナーでは次のような内容が取り上げられています

  • CUT&RUNとChIPの相違点
  • CUT&RUNで、少ない細胞サンプルを低バックグラウンドで解析する方法
  • フランスLBMCのPaul Marie氏が、NF-κB経路の活性化に関する研究にCUT&RUNを導入した事例

演者

Francesco Pinto博士

フィールド・アプリケーション・サイエンティスト

Cell Signaling Technology

クロマチン免疫沈降法(ChIP)と同様に、CUT&RUN (Cleavage Under Targets & Release Using Nuclease) は、細胞内の自然なクロマチン環境の中でタンパク質とDNAの相互作用を解析する強力で汎用性の高い手法です。CUT&RUNアッセイはのqPCRやNG-seqと組み合わせることで、特定の標的遺伝子や、ゲノム全体を通したヒストンの修飾や、転写因子、DNA複製因子、DNA修復タンパク質の結合を解析することができます。CUT&RUNは細胞内のタンパク質とDNAの相互作用を、迅速かつ堅牢に、非常に少ない細胞数から解析することができます。本日は、1アッセイ当たり100,000細胞から、最短1 - 2日でCUT&RUNを行う方法をご紹介します。

演者

Paul Marie

博士課程学生

リヨン高等師範学校 細胞生物学・モデリング研究室 (LBMC)

Paul Marie氏は、リヨン高等師範学校の細胞生物学・モデリング研究室 (LBMC:Laboratory of Biology and Modeling of the Cell) のゲノム構造の制御とスプライシングの動態 (ReGArDS:Regulation of Genome Architecture and Dynamics of Splicing) グループの博士課程最終学年の学生です。特にHTLV-1ウイルス由来のがん遺伝子TaxによるNF-κB経路の活性化と、ゲノム構造、転写制御、選択的スプライシングへの影響を中心に研究しています。最近の論文で、彼はNF-κBが選択的スプライシングの制御に新たな機能を果たしていることを明らかにしました。この機能は、スプライシング制御因子DDX17が、NF-κB因子RelAによって遺伝子内部にリクルートされることに依存しています。現在は、このようなメカニズムがヒストン制御やクロマチン構造に与える機能的な影響を明らかにすることを目指しています。3C (Chromosome Conformation Capture) アッセイを用いて、Taxがゲノムの構造に影響を与えるという予備的な結果が得られました。現在の目標は、Taxによって作り上げられたエピジェネティックパターンに、RelAの遺伝子内部へリクルートが与える影響を、ゲノム全体でさらに明らかにすることです。この目的のため、Cell Signaling TechnologyのCUT&RUNアッセイキットを用いて、転写因子RelAといくつかのヒストンマークを標的としたqChIPおよびCUT&RUNアプローチを開発しました。