微小管関連タンパク質 (MAP) であるTauは、アルツハイマー病 (AD) において神経内の神経原線維変化の主な構成因子としてよく知られています。神経原線維変化は、タウオパチーと呼ばれるADやその他多数の神経変性疾患の特性となっています。中枢神経系 (CNS) では、Tauは微小管アセンブリーのダイナミックなプロセスにおいて、通常は軸索の微小管に結合し、その四元構造を安定化する主なMAPです。Tauにより媒介される安定化により、長い軸索の突起を考えたときに神経の健康と機能に大変重要となる、微小管のハイウェイに沿った定期的なカーゴ輸送が可能となります。この安定化機能は、Tauの通常は柔軟な三元構造に大きく依存しています。この構造は、突起部分と微小管の結合ドメインの両方にあるタンパク質すべての特異的な部位のリン酸化が維持されることによって保たれます。ADの観点からは、tauキナーゼ/ホスファターゼの活性がシフトし、これによりタンパク質全体のリン酸化のパターンが変化・増加します。その結果、Tauの微小管を安定化する能力が損なわれ、ひいては、微小管とカーゴ輸送の異常が増加します。重要なのは、Tauの病態的に過剰なリン酸化により、2本のフィラメントがらせん状に凝集する傾向が高まり、これが大きな細胞内神経原線維変化 (NFT) を形成するということです。これがつまり、疾患となった組織で見られるADの顕著な特徴です。微小管の不安定化とNFTは共に、ADおよびタウオパチーに関連付けられる神経毒性と神経変性に寄与します。