YAP (Yes-associated protein、YAP65) は、Hippo腫瘍抑制経路の主要なエフェクターとして機能する転写共役因子です。YAPを介するHippoシグナル伝達は、幹細胞と前駆細胞の増殖活性を調節するなどして、組織成長と器官サイズを制御します。YAPは潜在的ながん遺伝子のひとつで、その制御異常が腫瘍形成を誘導する可能性があり、様々な種類のヒト腫瘍でYAPの高発現性が報告されています。また、YAPが細胞の運命決定において重要な役割を担うことを示唆する研究報告もあります。既に報告されている上皮間葉転換を促進する能力に加え (1)、YAPは成熟した肝細胞から肝前駆細胞への脱分化を促進することが示されており、YAPとHippoシグナル伝達経路が組織再生においても重要な役割を果たすことが示唆されています (2)。
- Lamar JM, Stern P, Liu H, Schindler JW, Jiang ZG, Hynes RO (2012) The Hippo pathway target, YAP, promotes metastasis through its TEAD-interaction domain. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109(37), E2441–50.
- Yimlamai D, Christodoulou C, Galli GG, Yanger K, Pepe-Mooney B, Gurung B, Shrestha K, Cahan P, Stanger BZ, Camargo FD (2014) Hippo pathway activity influences liver cell fate. Cell 157(6), 1324–38.
抗体性能の比較
CSTのYAP (D8H1X) XP® Rabbit mAb #14074を他社の3つのYAP抗体と比較したところ、テストしたすべてのアプリケーションでCST抗体が同等以上の性能を示すことがわかりました。以下に示す、個々のアプリケーションにおける競合製品との比較データをご覧ください。
ウェスタンブロッティング
YAP陽性細胞 (A-204、A549、MCF7) とYAP陰性細胞 (RL) の細胞抽出物を、CSTのYAP (D8H1X) XP® Rabbit mAb #14074および推奨希釈率に希釈した他社の3つの抗体を用いて、ウェスタンブロットで解析しました。
- YAP (D8H1X) XP® Rabbit mAb #14074は、YAPの陽性細胞ではYAPの適切な分子量にバンドを検出し、YAPの陰性細胞ではバンドが検出されませんでした。このことから、感度が高くYAPに特異的な抗体であることが分かります。
- 他社抗体1は、YAPの強いシグナルを検出しますが、50 kDaのタンパク質への強い交差反応がみられ、必ずしもYAPに特異的ではないことが分かります。
- 他社抗体2は、メーカー推奨の希釈率で弱いシグナルしか得られませんでした。
- 他社抗体3は、YAPの陽性細胞と陰性細胞の両方で複数の分子量のバンドが見られ、YAPに特異的ではないことが分かります。
要約:YAP (D8H1X) XP® Rabbit mAb #14074は、他社抗体より優れた特異性と感度を示しました。