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ELISA (Enzyme-Linked Immunosorbent Assay) の概要

ELISA (Enzyme-Linked Immunosorbent Assay) とは?

ELISA (Enzyme-Linked Immunosorbent Assay) とは、標的分子に結合する抗体を用いて測定を行う、定性的または定量的な試験です。他の免疫アッセイと同様に、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の両方を標的分子 (ペプチド、タンパク質、抗体、低分子など) の特定に利用することができます。抗体によって標的分子の特異性が規定されます。また、HRP (西洋ワサビペルオキシダーゼ) などの酵素を直接的または間接的に抗体と共役させ、検出やシグナルの増幅に利用します。複数のELISA法と検出化学があり、利用者は実験目的に合わせてアッセイを選択することができます。また、1サンプルの解析、ハイスループット解析の両方のフォーマットで利用することができます。

ELISA法の原理

どのタイプのELISAを利用するかによって実験の設定が異なります (ELISAの種類とその詳しい説明については下をご覧ください)。最も単純な形式のELISAでは標的抗原を固相表面に固定することから始まります。これは通常、タンパク質を受動的に結合する​96-ウェルまたは384-ウェルプレートを用いて行います。適切な抗体を酵素標識し、これをサンプルに加えて抗体と抗原を結合させます。標的抗原に非特異的に結合した物質は洗浄ステップで除去します。その後、酵素基質を加えて抗体に結合した酵素と基質を反応させます。最終的に色の変化、蛍光、化学発光のいずれかを指標にして各サンプル中の標的分子の量を決定します。

ELISAは何を検出して測定しているか?

ELISAは抗体と抗原の結合を間接的に測定しています。アッセイの質は抗原に対する抗体の特異性に大きく依存します。抗体の特異性が低いと非特異的なバックグラウンドが高くなります。特異性が高い場合でも結合が弱いと洗浄操作で除去されてしまい、微弱なシグナルしか得られなくなります。抗体に結合した酵素からシグナルが産生されるため、間接的に結合を検出することになります。このシグナルは相対的なもので、インキュベーション時間や温度によって変化する可能性があります。標準曲線を作成すれば、これを用いて定量することができます。

ELISAの適用

ELISAを用いることで、サンプル中の単一抗原あるいは複数の抗原を定量することができます。抗体試薬の特異性と試験の簡便性から、ELISAは生体サンプルの定量解析のゴールドスタンダードの1つと考えられています。抗体-抗原の結合とシグナルの増幅というELISA原理を利用した試験は、生物医学、生化学分野で幅広く用いられています。基礎研究の場では、タンパク質レベルやシグナル伝達の活性化の定量に利用されています。臨床の場でも、投薬治療サンプルのバイオマーカーの測定や患者の血清サンプル中のサイトカインレベルの測定など、ELISAが様々な場面で利用されています植物生物学においても、作物のアレルゲンの試験などにELISAが利用されています。

研究ツールとしてのELISAの利用

ELISAは様々な研究分野で利用されています。抗体を高感度に検出できるため、生物学的発見に便利な研究ツールです。抗体が認識する標的抗原の検出や定量のために全ての生物学研究分野で広く利用されています。細胞の培養上清に分泌された分子、細胞内の総タンパク質、細胞シグナル伝達のプロセスで起こる翻訳語修飾 (PTM) などを標的抗原とすることができます。

診断ツールとしてのELISAの利用

研究用途のほか、ELISAはウイルス感染、食物アレルゲン、毒物学、がんなどの診断検査にも広く利用されています。抗体を用いた感染性ウイルスの検出には拡張性があり、同時に多数のサンプルを測定する臨床試験を行うことができます。これらのアッセイには通常、血清または血液サンプルを用いますが、細胞や組織の抽出物を解析することもできます。

ELISAの利点

ELISA試験のプロトコールは通常、基本的な混合と洗浄操作で構成されており、簡単な機器を使用することでほとんどの研究室で容易に行うことができます。主要な試薬となる抗体は低い解離速度で標的に特異的に結合し、感度と特異性の高い結果が得られます。また、一般にデータの解析が簡単で、実験設定により定量的な場合と定性的な場合があります。結果の解釈は容易で明確です。

ELISAの検出ステップで、ほとんどの基礎研究室や臨床検査室が備えている機器 (吸光度や蛍光、化学発光を検出するプレートリーダー) を使用します。データを色の付いたスポットやラインとして読み取る検査キットもあります。ELISAは拡張縮小も可能であり、また研究室で用いる​96-ウェルや384-ウェルフォーマットのほか、店頭販売されている妊娠検査薬など様々なフォーマットで構築することができます。ELISAのもう一つの利点は、ELISAで検証を済ませた抗体を大規模に再調製すれば、長期使用に必要な量の試薬を確保できることです。

ELISAの種類

ELISAには一般的に用いられるいくつかの方法があります。これらの方法 (あるいはその変法) の中から、実験目的、使用可能なサンプルや材料、検出方法などによって適切な方法を選択します。

  • 直接ELISA:プレート表面の抗原に結合する抗体を酵素で標識します。
  • 間接ELISA:直接ELISAと類似していますが、抗体を直接標識しません。間接ELISAでは標識した二次抗体を用いて抗原に結合した抗体を検出します。
  • サンドイッチ法:抗原を認識する2​種類の抗体を用いてサンドイッチ様の複合体を形成させます。一方の抗体は捕捉に用い、他方は検出に用います。検出は直接法ないし間接法で行います。
  • 競合/阻害ELISA:直接法に類似していますが、既知量の抗原と抗体の結合を阻害 (競合) する効果から定量を行います。

文脈によって「直接/間接」や「一次/二次」が文献中で異なる意味を持つことに注意が必要です。「直接」ELISAは、抗原をプレート表面に直接結合させ、それを抗体で検出するという意味で使用されてきました。しかし「直接」は、フォーマットに関係無く、抗体が抗原に直接結合することを指す場合もあります。「間接」ELISAは、直接法の発展させたもので、1番目の抗体に2番目の抗体を結合させます。「間接」はより広義に、二次抗体を用いて標的抗原に結合する抗体を検出する方法全般を指すこともあります。「一次」は抗原に抗体が結合することを指します。「二次」は一次抗体に結合して検出する抗体全般を指します。二次抗体はAP (アルカリホスファターゼ) やHRPで標識します。

直接ELISA

直接ELISAは、マイクロプレート表面に抗原を直接結合させて、そこに抗原への結合と検出に用いる直接標識した抗体を加えます。

簡単に流れを説明すると、初めのステップでマイクロプレートに抗原を固相化します。2番目のステップで、検出抗体の非特異的な結合を抑えるためにブロッキング試薬を加えます。次に、酵素 (HRPなど) で直接標識した検出抗体を加えます。検出抗体を抗原に結合させた後、余剰な抗体をウェルから洗い流します。酵素基質を加えて短時間インキュベーションした後、各ウェルのシグナルを測定します (通常はプレートリーダーを使用します)。

直接ELISAは操作手順が少なく、全体的に実験設定が容易です。この手法の短所の1つは、それぞれのアッセイで検出に用いる抗体をそれぞれ標識する必要があることです。また、プレート表面にコーティングした抗原は非特異的に結合しており、不自然な形で提示される可能性があるため、バックグラウンドシグナルが高くなることもあります。この手法で多重解析するのは容易ではありません。一般にこの手法は、感染に応答した血清の抗体レベルの測定など、サンプル中の抗体量の測定に適しています。

ELISA直接法アッセイ

ELISA直接法

間接ELISA

間接ELISAは直接ELISAに類似した手法ですが、標識した二次抗体を用いて結合抗体を検出する点が大きな違いです。プロトコールの初めのステップでマイクロプレートに抗原を固相化します。2番目のステップで、結合抗体の非特異的な結合を抑えるためにブロッキング剤を加えます。3番目に、抗原に特異的な抗体を加えて短時間インキュベーションした後、ウェルをバッファーで洗浄して余剰な試薬を除去します。次のステップは「間接的な」検出で、初めの結合抗体を検出する抗体を加えます。通常この抗体を酵素標識します。インキュベーションしてウェルを洗浄した後、酵素基質を加えます。短時間インキュベーションした後、各ウェルのシグナルを測定します (通常はプレートリーダーを用います)。二次抗体は通常、動物種に特異的な抗体です。

この手法のバリエーションの1つとして、ビオチン標識した検出抗体を用いる方法があります。抗体を加えた後に酵素標識したストレプトアビジンを加えるほかは、同様のプロトコールで行います。

間接ELISAの利点は、結合抗体の免疫動物種が同じであれば標識した二次抗体を複数のアッセイで利用できることです。別の利点として、初めの抗体に二次抗体が約​2分子結合するため、シグナルの増幅が起こる点が挙げられます。一方でプロトコールの操作手順が増えることで時間がかかり、間違いも起こり易くなります。また必要な試薬の数が多く、それぞれが非特異結合する可能性があるため、バックグラウンドシグナルが高くなることもあります。

ELISA間接法アッセイ

ELISA間接法

サンドイッチELISA

サンドイッチELISAでは、抗原を中心にして​2​つの抗体でこれを挟む「サンドイッチ」様の複合体を形成します。代表的な方式を説明すると、まず1番目の抗体をマイクロプレートのウェル表面に吸着させ、洗浄してブロッキングを行った後、抗原を含むサンプルを加えます。サンプル分子の別の部位に結合する2番目の抗体を加えます。通常はこの抗体を、検出に利用する酵素で標識します。ウェルを洗浄した後、酵素基質を加えます。短時間のインキュベーションで反応させた後、各ウェルのシグナルを測定します (通常はプレートリーダーを用います)。

直接ELISAや間接ELISAのように、サンドイッチELISAにもバリエーションがあります。検出において、直接標識した抗体の代わりに2番目の抗体を認識する酵素標識した3番目の抗体を用いることがあります。例えば、サンプルに結合するラビット抗体でマイクロプレートをコーティングし、同じくサンプルに結合する2番目のマウス抗体を加えます。その後、マウス抗体を認識する酵素標識した抗体を加えます。また別のバリエーションとして、2番目の抗体をビオチン標識して、さらに酵素標識したストレプトアビジンを加える手法もあります。

さらに別のバリエーションとして、2つの抗体をそれぞれタグと酵素で標識する手法もあります。この場合、抗タグ抗体をマイクロプレートに吸着させます。2つの抗体とサンプルをまとめてこのウェルに加えます。「タグで標識した抗体」-「サンプル」-「酵素で標識した抗体」のサンドイッチ様複合体が、抗タグ抗体を介してマイクロプレートに結合します。この手法では操作手順が減り、全体的に煩雑さが低下して高速なアッセイになります。

2​種の抗体でそれぞれに標的を特異的に認識するため、サンドイッチELISAは多くの場合、より高い特異性をもつアッセイになります。ただし、この高い特異性を得るために、アッセイで機能する適切な抗体のセット (matched set) を選定する必要があり、アッセイ系の開発に費用と時間がかかります。

ELISA捕捉アッセイサンドイッチ

ELISA捕捉 (サンドイッチ法)

競合/阻害ELISA

競合ELISAは阻害ELISA、ブロッキングELISAとも呼ばれます。この方法では予想されるシグナルへの干渉効果を定量化することで、サンプル中の標的分子量を推定します。この手法の1例を説明すると、まずプレートを標的分子に特異的な抗体でコーティングします。また、酵素標識した (検出可能な) 標的分子を調製します。各アッセイ (ウェル) において、抗体で捕捉できる標的分子の量がアッセイ系に加えた検出可能な (酵素標識した) 標的分子量を下回る場合、未標識の標的分子が高濃度に存在すると、検出可能な標的分子の抗体への結合に競合してシグナルが低下します。このような競合アッセイを利用して、特定の標的分子のレベルを決定します。

代わりにプレートを標的分子でコーティングして酵素標識した抗体を検出することもできます。この手法で血清サンプル中の抗体量を決定することができます。

この種のELISAは免疫応答の測定に利用できます。また、標的分子のサイズが小さくてサンドイッチELISAが適用できない場合、この手法が定量的な測定を行うための有効なツールとなります。

検出法

ELISAには多くの検出法がありますが、研究室では比色定量、蛍光、化学発光がよく利用されます。抗体に結合させた酵素 (最も一般的なものはHRPまたはAP) を利用して検出を行います。プロトコールの検出ステップにおいてこれらの酵素の基質を加え、呈色、蛍光、化学発光などのシグナルを発生させます。これは酵素反応であるため、一定時間反応を進行させてシグナルを増幅した後に停止させることができます。得られたシグナルはプレートリーダーで測定します。

検出に用いる基質の種類は、アッセイに必要な感度やS/N比などのいくつかの要素をもとに決定します。

比色定量

ELISA実験の検出法で最もよく利用されるのが比色定量です。長期間安定な可視化されたエンドポイントが得られるAPやHRPの基質は検出化学に適しています。このような基質はいくつかありますが、最も一般的に用いられるものは3,3',5,5'-tetramethylbenzidine (TMB) です。

各ウェルの呈色を分光光度計で測定し、既知濃度の標的分子で作成した検量線を用いるか、サンプルどうしの呈色を比較することで定量化します。

蛍光

APやHRPの蛍光基質によって、より高いシグナルと、より広いダイナミックレンジが得られることがあります。ただし多くの場合、蛍光基質の半減期は比色基質より短く、シグナルは時間経過とともに低下します。最も一般的に利用される基質は10-Acetyl-3,7-dihydroxyphenoxazineです。代わりにプレートを標的分子でコーティングして酵素標識した抗体を検出することもできます。この手法で血清サンプル中の抗体量を決定することができます。

この種のELISAは免疫応答の測定に利用できます。また、標的分子のサイズが小さくてサンドイッチELISAが適用できない場合、この手法が定量的な測定を行うための有効なツールとなります。

化学発光

APやHRP標識した検出抗体は、化学発光アッセイに用いることもできます。この種の実験では、APやHRPは過酸化物の存在下でルミノールを酸化し、​425 nmの光を放出します。この検出法の利点は、ダイナミックレンジが高くバックグラウンドシグナルが低いため、感度が高くなることです。このシグナルはほかの​2種の検出法に比べて不安定で、反応開始後速やかに読み取る必要があります。

ELISAの構成要素

ELISA実験を合理化した多くのキットが開発され、各種ELISAの手順が迅速化、簡便化、標準化されてきました。特異性や再現性、感度を上げつつコストを抑えた試薬も開発されています。しかし、特定の標的を検出する既存のキットが見つからない場合は、プレートと必要な試薬を自分で調製することができます。以下にELISA実験に必要な構成要素を概説します。

サンプルの調製

血液や尿、溶解した細胞など、様々なサンプルをELISAで日常的に解析することができます。サンプルの調製法は実験の目的によって異なります。サイトカインなど血清中の分泌タンパク質を検出する場合、血清を直接使用できる場合もありますが、最小限の精製が必要な場合もあります。その一方、翻訳後修飾を測定する場合は、一般に細胞をプロテアーゼ阻害剤やホスファターゼ阻害剤を含むバッファーに溶解する必要があります。サンプルの調製法は実験と実験結果に大きく影響する可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

バッファー

ELISA実験には何種類かのバッファーが必要です。コーティング、ブロッキング、洗浄、希釈、捕捉、検出バッファーなどです。これらバッファーの基本的なレシピはありますが、大半が市販されており、時間や品質管理の手間を節約することができます。

  1. コーティングバッファー:このバッファーは抗原や抗体を安定化しながら、これらをウェル表面に受動的に吸着させるために用います。吸着や固相化はプラスチックのウェルと抗原や抗体の相互作用の結果として起こります。プラスチック表面の化学的性質、温度、コーティングバッファーのpH、抗原や抗体の濃度、コーティング時間などが受動的な結合に影響します。一般的なバッファーには​PBS (phosphate-buffered saline)、重炭酸ナトリウムバッファーなどがありますが、これらの条件を検討して最適化する必要があります。抗原や抗体の吸着との競合を避けるため、コーティングバッファーにはタンパク質成分を加えないことが重要なポイントの一つです。
  2. ブロッキングバッファー:このバッファーは検出抗体のプレート表面への非特異的な結合を防ぐために用います。このバッファーには結合部位をブロックするためのタンパク質か、結合を防ぐための界面活性剤を加えます。タンパク質ベースのブロッキングバッファーは、コーティングステップが終わるまでウェルに加えることができません。溶液内のタンパク質が、タンパク質が結合していないプラスチック表面に吸着してしまうからです。これらの非特異的なタンパク質は、コーティングした標的分子や抗体と同様に洗浄ステップで除去されません。ブロッキングバッファーは、感度を最大に保ちながらバックグラウンドを最小に抑えるように最適化し、検出抗体に干渉する成分を含まないようにする必要があります。
  3. 洗浄バッファー:洗浄バッファーは、各行程で結合しなかった分子を洗浄して除去するために用い、使用後はこのバッファーも除去します。洗浄の回数、洗浄時間、界面活性剤濃度等を最適化する必要があります。 
  4. 検出バッファー:このバッファーには、抗体-酵素複合体による触媒反応に必要な基質が含まれています。これらの基質の多くはバッファー条件の影響を受けます。したがって、検出分子の非特異的な分解を低減するため、細胞溶解バッファーや他のバッファーの組成を十分に考慮する必要があります。

マイクロプレート

ELISAは、96-ウェルマイクロウェルスリップや、96-、384-、1536-ウェルマイクロウェルプレートなど、様々なマイクロウェルフォーマットで行うことができます。

ポリスチレン製の平底マイクロプレートを用いるのが最も一般的です。目的に応じてプレートを様々な方法で処理し、疎水性、親水性、あるいは特異的な反応性を持たせます。

例えば、Protein Aを利用することでより特異的な結合が可能になります。プレートの選択と表面のコーティングによって、バックグラウンドが減少して特異的な結合が増加する場合があります。

また、ELISAの検出方法によってプレートを選択する必要があり、発色の場合は無色透明、蛍光の場合は黒色、比色の場合は白色が適しています。

ELISAに用いる抗体

ELISAに用いる抗体の選択は注意深く行い、十分に検証する必要があります。実験を成功させ信頼性の高いデータを得るためには、解析対象となる標的分子に特異性の高い抗体を使用することが重要です。特異性に加え、抗原に高い親和性をもつことも重要です。すなわち抗体は、単一種の単一抗原上の単一エピトープに結合し (特異性)、迅速かつ強力に結合し (親和性)、結合したらその抗体-抗原複合体が安定している (結合能) 必要があります。

サンドイッチアッセイに用いる抗体の選択はさらに複雑で、それぞれの抗体が異なるエピトープを認識する必要があります。実験の目的やデザインにより、サンドイッチアッセイに用いる2種類の抗体は、異なる動物種由来のものか同じ動物種由来のものを選択します。

モノクロナール抗体とポリクローナル抗体のどちらもELISAに使用できますが、それぞれに異なる利点があり、実験の目的やデザインによって使い分けることが必要です。

ELISAにおけるモノクロナール抗体とポリクローナル抗体の利点

モノクローナル抗体:

  • 単一のエピトープに特異的であり、同一抗原上の別の領域への他の抗体の結合に干渉しない
  • 他の抗原に非特異的に結合する可能性が低い
  • ELISAの全ステップで使用可
  • 特にサンドイッチ法で競合しない抗体ペアの組み合わせを選定する際に有用

ポリクローナル抗体:

  • 同一抗原上の異なるエピトープを認識する抗体がプールされた集団
  • 同一の標的タンパク質上に複数の結合部位があるため、より強いシグナルが得られる可能性が高い

高品質なアッセイ系を構築するために、HRPやAPなどの酵素標識が必要な抗体について、標識の効率、ロットごとのばらつき、標識後の一貫した結合などの全てに配慮する必要があります。

ELISAに用いるコントロール

各サンプルから得られるシグナルが生理的に適切であることを確かめるためのコントロールが必要になります。ELISAの実験の信頼性を確認するため、いくつかのコントロールを組み合わせて用います。よく利用されるコントロールには次のようなものがあります:

  1. ブランクコントロールはバックグラウンドシグナルの基準になるほか、得られた陽性シグナルが実験上のアーティファクトではなく、サンプル中の標的濃度を反映することを確認するためにも必要です。
  2. ポジティブコントロールとネガティブコントロールは、標的分子に由来するシグナルを比較するために必要です。
  3. 標的分子の回収率の情報から、サンプル成分がアッセイのパフォーマンスに及ぼす影響 (マトリックス効果) を評価するため、添加 (Spike) コントロールが必要な場合があります。

マイクロプレートリーダー

ELISAで用いる検出法によって、それに適したマイクロプレートリーダーを選択する必要があります。比色反応が最も感度が低く、これに化学発光、そし蛍光反応が続きます。検出法はサンプル中の標的分子の量と、シグナルの増幅やマルチプレックス解析の必要性を考慮して決定します。また、検出法に対応したマイクロプレートリーダーで得られる検出感度と定量可能なダイナミックレンジを考慮することも重要です。

ELISA実験を最適化する方法

ELISA実験を成功に導くには、実験系の最適化が大変重要です。ELISA実験には複数のステップがあり、実験開始前に各ステップをを別々に試験して最適化することができます。

サンプルの調製

出発材料に基づいて、サンプルの調製法を最適化する必要があります。抗体濃度の高いサンプルは、ELISAによる解析の前に追加の処理ステップが必要です。サンプル成分が標的分子の挙動に影響する現象は「マトリックス効果」と呼ばれ、例えば大量のタンパク質やその分解物との相互作用のため、捕捉抗体または検出用抗体との適切な結合が干渉を受けることがあります。このような効果は、適切なコーティング、洗浄、ブロッキングバッファー、そして最初のサンプルの希釈率を高くすることにより低減することができます。

バッファー (コーティング、ブロッキング、溶解/結合、洗浄)

可能な限り、市販の検証済みバッファーを使用することを推奨します。市販品が利用できない場合は、以下の点に留意してバッファーを最適化します:

  1. コーティングバッファーは、全てのタンパク質の生物学的活性や安定性を保持する必要があります。このバッファーによってプラスチックへの受動的な吸着が妨げられたり、エピトープを変化させたりすることがあってはなりません。
  2. ブロッキングバッファーには、コーティング処理をしたプレート上に存在する隙間を埋めるための非特異的なタンパク質や、適切な濃度の非イオン性界面活性剤を加えます。
  3. サンプルは、細胞を用いる場合には溶解バッファー、その他の場合には結合反応用にデザインされた結合バッファーで調製します。抗原と抗体の結合を妨げることなく細胞を溶解するように注意することが必要です。
  4. バックグラウンドノイズを低減させつつ、抗体-抗原複合体を安定に保持するため、適切な濃度の塩類や界面活性剤を加え、適切なpHに調整する必要があります。

マイクロプレート

ELISAの正確性と再現性を確実にするには、ウェル間の一貫性が重要です。このため、適切なプレートの選択、ピペット操作の正確性、温度、湿度、pHの維持が必要です。プレートのコーティングの最適条件とプレートの結合能は個々のタンパク質ごとに異なるので、予備実験で決定する必要があります。

抗体

ELISAは抗体の選択に大きく左右されるので、捕捉と直接/間接検出に使う抗体の特異性、親和性、結合能を評価し、予備実験で検討して最適化することが必要です。

このため、抗体濃度の適切なタイトレーションが重要です。捕捉抗体と検出用抗体の段階希釈を注意深く調製します。段階希釈で得られたシグナルを適切なコントロールと比較し、実験上のアーティファクトを除外しつつ検出のダイナミックレンジを決定します。最もノイズが低く、最もシグナルが高いものが理想的な濃度です。

また、抗体の種類も注意深く選択する必要があります。例えばサンドイッチELISAの実験系を構築する場合、モノクローナル抗体を利用できるのであれば、互いの競合を避けるため、それぞれを異なるエピトープに対して作成する必要があります。サンプルのタイプ (均一なサンプルか不均一なサンプルか) や、予想される標的分子の濃度をもとに、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体のどちらを用いるかを選択します。選択した抗体は、ELISAで用いる前に予備実験を行って検証します。

ELISAの結果

ELISAの結果は大まかには次の3つに分類されます:定量的、半定量的、定性的。

定量的なELISAは、標準曲線を用いて実験サンプルの結果を解析します。多くの場合、既知濃度の標的分子を段階希釈することで標準曲線を作成します。各サンプルで得られたシグナル強度の値を標準曲線と対比し、シグナル強度に相当する濃度を決定します。

ELISAの定量が相対的、または半定量的であると考えられる場合は、各実験サンプルで得られたシグナル強度どうしを互いに比較するか、参照サンプルと比較し、標的分子の濃度はこれらの相対値で表します。

定性的ELISAは、サンプルから得られるシグナルをブランクのウェルや無関係なコントロールと比較して標的分子の有無のみを判定します。

ELISAの結果を解釈する方法

一般的に、ELISAの各ウェルからの得られるシグナル強度は数値化されます。ELISAの結果はRLU (Relative Light Units) またはRFU (Relative Fluorescent Units) として検体濃度を対数的に測定することもできます。

各ウェルの標的分子の絶対濃度を測定する場合は、既知量の抗原を段階希釈して標準曲線を作成します。作成した標準曲線とそれぞれのサンプルで得られたシグナル強度を対比して絶対濃度を決定します。この種の解析には高感度の実験デザインが必要となります。

絶対定量が不必要な場合は、サンプルどうしの比較か参照サンプルとの比較により相対的定量を行います。例えば、HIVの感染に応答して産生される血清中の抗体量と基底状態の血清の抗体量の比率を、HIVに引き起こされた抗体量の倍率変化として示すことができます。

定量解析が不要な場合は、ブランクサンプルやネガティブコントロールサンプルと比較してシグナルの有無 (すなわち標的分子の存在の有無) のみを判定することもできます。これが最も簡易的な解析です。

ELISA試験でよく起こる問題

ELISAでよく起こる問題には、ウェル間のデータのばらつき、試行ごとのデータのばらつき、低シグナル、高バックグラウンドなどがあります。上記の最適化ステップでこれらの問題が解決できることもあります。

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