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免疫沈降実験デザインのヒント

免疫沈降 (IP) とは?IPはどのように機能するのか?

免疫沈降 (IP) は、標的に特異的な抗体を用いて不均一な細胞や組織の抽出物から特定のタンパク質を濃縮する手法です。共免疫沈降 (Co-IP) は、タンパク質複合体を完全な状態のままプルダウンする手法です。IPとCo-IPは、タンパク質間相互作用の解析や、新たなタンパク質複合体を同定するために有効であり、広く使用されている手法です。IPの手法は比較的簡単ですが、含まれる変数は多く、最適化やIPの結果の正確な解釈には、適切な実験コントロールの使用が不可欠です。

免疫沈降のヒント

  • 標的タンパク質に特異的であり、実行する予定の免疫沈降法で検証されている高品質な抗体を使用
  • 使用する細胞タイプまたは組織に適した溶解バッファーを使用
  • IPで使用する抗体およびビーズの量を最適化
  • 非特異的に結合しているタンパク質を除くためにビーズを徹底的に洗浄し、遠心分離後は上清を真空吸引ではなくピペットで除去
  • 適切な溶出バッファーを用いて、ビーズに結合しているタンパク質を溶出
  • 溶出したタンパク質をウェスタンブロットまたは質量分析で解析

免疫沈降実験後にどの手法で解析するか?

通常は、ウェスタンブロット (WB) を用いてIPおよびCo-IP実験の結果を解析します。その場合は、IPの標準プロトコール後に、ウェスタンブロッティングのプロトコールを実行します。また、IPおよびCo-IP実験の標準IPプロトコールに下記のわずかな修正を加えて実行した後、質量分析で解析することもできます。WB解析は、単一の標的タンパク質または結合するパートナーであると考えられるタンパク質を検出するために使用しますが、質量分析は、1回の実験で複数のペプチドとタンパク質を検出および特定できます。そのため、この解析方法は、単一のタンパク質やタンパク質複合体ではなく、ペプチドやタンパク質をまとめて免疫沈降して濃縮する必要がある探索的な実験に役立ちます。使用可能な質量分析ベースの解析手法の1つに、目的の細胞内キナーゼの基質となる複数のタンパク質の濃縮や特定、定量を行うPTMScan®があります。この手法により、治療薬となりうる薬剤処理などといった、実験刺激に応答した細胞内シグナル伝達の状態の特性解析をより簡単に行うことができます。

免疫沈降の種類と、IPおよび下流解析に使用する抗体の選択方法

単一タンパク質IP

単一タンパク質免疫沈降では、標的タンパク質を濃縮した後に、同タンパク質を解析します。

標的タンパク質 (赤) を濃縮し、ライセート内の他のタンパク質 (青) から分離する一般的な免疫沈降の手順を示しています。右端の四角はウェスタンブロット解析の結果を示しています。レーンの各ラベルの説明:Mはマーカー;Iはインプットライセート;Bは標的タンパク質の結合画分 (免疫沈降されたもの);Uは標的タンパク質の未結合画分を示しています。

未変性タンパク質用免疫沈降プロトコールでは、ライセート中のタンパク質は変性せずに、本来の折りたたみ構造を維持します。免疫沈降は、標的タンパク質の一部分の折りたたみ構造が崩れた状態、または完全に変性した状態でも行えます。

単一タンパク質IP用抗体の選択

免疫沈降で検証された抗体を選択してください。未変性タンパク質の免疫沈降用に検証された抗体は、変性状態のタンパク質では機能しない場合があることに注意してください。

多くの場合、IP濃縮には未標識抗体を使用しますが、他の方法としてビオチン化抗体ストレプトアビジン標識ビーズ組み合わせて用いる、または抗体を直接結合させたビーズを用いる方法があります。これらの方法については、このセクションの後で紹介します。

単一タンパク質IPをウェスタンブロットで解析する際の抗体の選択

単一タンパク質IP実験は、ウェスタンブロットでの解析が最も一般的です。IPで使用した抗体がWBでも検証されている場合は、同じ抗体をWB検出用の一次抗体としても使用できます。そうでない場合は、同じ標的に対する、異なるWB検証済み抗体を選択する必要があります。

質量分析/プロテオミクスによる単一タンパク質IPの解析

単一タンパク質免疫沈降後の標的タンパク質を、質量分析法で直接解析できます。標準的なボトムアップ法のプロテオミクスワークフローでは、タンパク質分解により生じたペプチドを液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析 (LC-MS/MS) で解析し、ペプチドの配列情報と既存の翻訳後修飾を同定することにより、捕捉されたタンパク質を特性解析できます。あるいは、LC-MSのトップダウン法を用いて、捕捉されたタンパク質の通常状態の質量をモニタリングし、翻訳後修飾 (PTM:リン酸化またはその他の側鎖修飾) または変性 (内在性プロテアーゼによる切断もしくはリーダー配列のクリッピング) などがないかを探ることもできます。

共免疫沈降

共免疫沈降 (Co-IP) は、未変性タンパク質複合体の濃縮による、タンパク質 - タンパク質相互作用の調査に使用されます。Baitと呼ばれる1つのタンパク質が免疫沈降の標的であり、複合体に含まれるpreyと呼ばれる別のタンパク質のデータを読み出します。共免疫沈降実験は、タンパク質複合体を通常状態に保つために未変性の条件下で行います。

Baitタンパク質 (赤) とpreyタンパク質 (緑) の濃縮し、ライセート内の他のタンパク質 (青) から分離する一般的な共免疫沈降の手順を示しています。右端の四角はウェスタンブロット解析の結果を示しています。レーンの各ラベルの説明:Mはマーカー;Iはインプットライセート;Bは標的タンパク質の結合画分 (免疫沈降されたもの);Uは標的タンパク質の未結合画分を示しています。

Co-IP用抗体の選択

標的と種特異性を念頭に、baitタンパク質用のIP検証済み抗体を選択します。タンパク質複合体の表面に発現しており、構造の内側に埋もれていないエピトープを認識する抗体が理想的です。

GSTやMycタグなどのエピトープタグまたはアフィニティータグを選択肢に加えると、Co-IP実験のデザインの柔軟性が向上します。簡単に説明すると、目的のタンパク質またはタンパク質ドメインをコードするDNAと、アフィニティータグをコードするDNAを繋ぎ合わせ、得られた融合タンパク質をコードするDNAを細胞内で発現させます。その後、タグに特異的に結合する抗体を用いて、融合タンパク質およびそのタンパク質に結合するパートナータンパク質を免疫沈降します。この方法は、IP検証済みのbaitタンパク質 (すなわち標的タンパク質) に対する抗体が利用できない場合に特に有用です。しかし、融合タンパク質の過剰発現は、タンパク質複合体の構造または構成、あるいはその両方を変化させる可能性があります。Baitとpreyタンパク質を逆にして行うCo-IPなどの追跡実験を設計し、タンパク質 - タンパク質相互作用の解釈に間違いがないかを確認することも検討してください。

エピトープタグ抗体を見る

こちらもご覧ください:固相化抗体用抗体の選択

Co-IPのウェスタンブロット解析用抗体の選択

ウェスタンブロット解析は通常、特定のpreyタンパク質がbaitタンパク質と相互作用していると想定されるときに採用されます。検出には、preyタンパク質に対するWB検証済み抗体を選択してください。この場合も、標的の種特異性を考慮することを忘れないでください。

Co-IPの解析:質量分析/プロテオミクス

タンパク質複合体の構成因子の同定には、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析 (LC-MS/MS) を用いたボトムアップ法のプロテオミクスワークフローが適しています。この解析手法により、濃縮されたタンパク質のタンパク質分解処理により生じたペプチドに関する、一次ペプチド配列情報が取得できます。高い濃縮度と低い非特異的結合により、複合体の構成タンパク質をマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析 (MALDI MS) で評価してその通常状態の質量をモニタリングしたり、エレクトロスプレーイオン化質量分析 (ESI-MS) で解析して通常状態の質量と配列を確認したりすることができます1

ペプチドIP用抗体の選択

ペプチドIPでは、タンパク質の断片または大きなペプチドを濃縮します。内在性の分解システムを用いてin vivoでペプチドを生成、または従来のボトムアップ法のプロテオミクスサンプル処理によりin vitroでペプチドを生成し、その後にこれらの標的を解析します。ペプチドIPに最も一般的に使用される解析手法は、単一タンパク質IPと同様に未標識抗体を用いる解析ですが、ビオチン化抗体または抗体を直接結合させたビーズを用いる解析も可能です。

ペプチドIPの解析:質量分析/プロテオミクス

様々なタンパク質領域、または複数のタンパク質で発現する翻訳後修飾 (PTM) を標的とする抗体を選択することにより、プロテオームからより大きな標的ペプチドセットを濃縮できます。濃縮された標的ペプチドは、液体クロマトグラフィーおよびタンデム質量分析法 (LC-MS/MS) またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法 (MALDI MS) で特定可能であり、プロテオミクスソフトウェアを用いて解析できます。

固相化抗体IP用抗体の選択

固相化抗体IPとは、免疫沈降用に抗体を直接結合させたビーズを使用した免疫沈降のことです。固相化抗体IPは、MALDI MSなどの検出法に干渉する恐れのある抗体を使用する場合に採用されます。

IPで検証されている「抗体を結合させたビーズ」を選択してください。ビーズ基質は、アガロースまたは磁気を選択できます。CSTは、共免疫沈降用の固相化エピトープタグ抗体を提供しています。

IP用の固相化抗体を見る

免疫沈降用ビーズの選択

ビーズの基質:アガロースまたは磁気

IPは通常、アガロースビーズまたは磁気ビーズを用いて行われます。アガロースビーズは、遠心分離を用いて複雑なサンプルから標的タンパク質を分離する際に用いられ、磁気ビーズは、特殊な磁気ラック上で標的タンパク質を分離する際に用いられます。どちらの分離方法を用いても、同様のIP結果が取得できます。

CSTは、以下のIP実験用ビーズを提供しています。

  アガロース基質 磁気基質
Protein A Protein A Agarose Beads #9863 Protein A Magnetic Beads #73778
Protein G Protein G Agarose Beads #37478 Protein G Magnetic Beads #70024

ビーズと免疫沈降したタンパク質の損失を最小限に抑えるために、洗浄ステップ中はピペットを用いてビーズペレットから上清を除去してください。上清を真空吸引しないでください。

固相化抗体IP用ビーズの選択については、こちらをご覧ください。

ビーズの標識:Protein A、Protein G、ストレプトアビジン

免疫沈降に未標識抗体を使用する場合は、未変性IPまたはCo-IP用としてProtein AまたはProtein Gのどちらかが結合したビーズを使用します。Protein AおよびProtein Gは、IP反応中に抗体のFc領域に直接結合し、以降の分離を容易にします。一般的な推奨事項として、未標識ラビットIgG抗体の場合はProtein A結合ビーズを、未標識マウスIgG抗体の場合はProtein G結合ビーズを選択します。Protein AおよびProtein Gの、様々な宿主種および免疫グロブリンサブクラスの抗体に対する相対的な結合親和性の詳細ついては、以下の表を参照してください。

Protein AおよびProtein Gへの抗体結合親和性

宿主種

IgGクラス

Protein A

Protein G

Chicken egg

IgY

Cow

IgG

+

Dog

 

IgG

+

+

IgM

+

Goat

 

IgG

+

+++

IgM

Horse

IgG

+++

+++

Rabbit

 

IgG

+++

+++

IgM

Rat

 

IgG

+

++

IgM

Sheep

 

IgG

+++

+++

IgM

マウス

 

 

 

 

 

IgG1

+

++

IgG2a

++

++

IgG2b

++

++

IgG3

+

++

IgM

++

+

IgA

++

++

ヒト

 

 

 

 

 

 

lgG1

+++

+++

IgG2

+++

+++

IgG3

+++

IgG4

+++

+++

IgA

+

IgM

+

IgE

+

—は結合不可;+は弱い結合;++は中程度の結合;+++は強い結合を示しています

出典:Handbook of Affinity Chromatography by David S. Hage (ISBN 0824740572). Chapter 14 "Affinity Chromatography in Antibody and Antigen Purification" by Terry M. Phillips.

ストレプトアビジン標識ビーズ

ビオチン化抗体を使用するIP実験では、Protein AビーズまたはProtein Gビーズの代わりにストレプトアビジン標識ビーズを使用します。この免疫沈降法は、標的タンパク質の質量が25 kDaの抗体の軽鎖または50 kDaの重鎖と近い場合 (抗体マスキングと呼ばれる現象) のウェスタンブロット解析に役立ちます。また、抗ビオチン抗体を結合させたビーズも使用できます。この方法は、強力なビオチン - ストレプトアビジン結合によって、標的タンパク質の適切な分離やその後の検出/解析が妨げられる場合に有利です。

IP用のビオチン化抗体を見る

溶解バッファーの選択

最適な結果を得るため、調製したての新鮮なライセートを使用することを推奨します。難しい場合は-20ºC (最大1か月)、または-80ºC (最大1年間) で保存したライセートを使用します。凍結融解サイクルへの感受性はタンパク質により異なることに注意してください。未変性の単一タンパク質のIPまたはCo-IPの場合は、標的の存在量またはリン酸化を保持するために、溶解バッファーにプロテアーゼ阻害剤またはホスファターゼ阻害剤、あるいはその両方を添加することを推奨します。

IPの種類

推奨溶解バッファー

未変性の単一タンパク質のIPまたはCo-IP (細胞サンプル)

​Cell Lysis Buffer​

未変性の単一タンパク質のIPまたはCo-IP (組織サンプル)

RIPA Buffer

タンパク質 - タンパク質相互作用を保存するためにより穏やかな条件を必要とするCo-IP

Chaps Cell Extract Buffer

変性した単一タンパク質のIP

SDS Buffer

IPのコントロール

コントロールは、IP結果の適切な解釈のために重要であり、実験の最適化とトラブルシューティングに使用されます。CSTは、1回のIP実験ごとに次の3つのコントロールを含めることを推奨します:インプットコントロール、アイソタイプコントロール、ビーズのみのコントロール。ウェスタンブロット解析では、コントロールは標的タンパク質の隣接レーンにロードします。

インプットコントロール

ウェスタンブロット解析の結果を適切に解釈するには、全細胞ライセートコントロールを含める必要があります。全細胞ライセートコントロールでは標的のシグナルが観察されるのに、IPサンプルでは観察されない場合、抗体は適切に機能しているものの、IP濃縮に失敗している可能性があります。

アイソタイプコントロール

実験には、ネガティブコントロールとしてのアイソタイプコントロールが必要です。IP実験に用いるアイソタイプコントロールは、一次抗体のIgGのサブタイプと一致している必要があります。ラビットにはIgGサブクラスが1つしかないため、アイソタイプコントロールの選択は比較的簡単です。ラビットポリクローナル抗体を用いる実験にはNormal Rabbit IgG #2729を用い、ラビットモノクローナル抗体を用いる実験にはRabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control #3900を用いることを推奨します。

マウスにはIgGサブクラスが5つあり、マウスで作製された一次抗体を使用する場合には、アイソタイプコントロールの選択はより複雑です(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3)。CST抗体のサブクラスについては、各製品ウェブページのSource/Isotypeのセクションをご覧ください。CSTは、弊社の一次抗体に適合する以下のアイソタイプコントロールを提供しています。

アイソタイプコントロールをウェスタンブロッティングに組み込む際は、使用する一次抗体と濃度を一致させて、並行して実験を進める必要があります。

ビーズのみのコントロール

ビーズのみのコントロールとは、抗体を含まない状態のライセートにビーズを追加して作製したサンプルを指し、IP実験の追加のネガティブコントロールとして機能します。IgGアイソタイプのネガティブコントロールまたはIP実験、あるいはその両方において非特異的な結合が観察される場合は、ビーズのみのコントロールの追加が必要があるかもしれません。

オプション:未結合画分

未結合タンパク質画分は、免疫沈降タンパク質と比較してIP反応の効率を決定したり、標的タンパク質が抗体 - ビーズ複合体に結合したのかを確認したりするトラブルシューティングステップに使用できます。任意の解析を行うために、遠心分離または磁気分離によってビーズをペレットにした後の標的タンパク質が結合していない画分を含む上清を-20°Cで保存します。

質量分析に基づく解析のIPサンプル調製

液体クロマトグラフィー - 質量分析法 (LC-MS/MS) または免疫マトリックス支援レーザー脱離イオン化法 (ImmunoMALDIまたはiMALDI) 用のIP実験の準備は、WB解析と同じIPプロトコールで行いますが、プロトコールの最後の異なる部分を以下で解説します。

ImmunoMALDI解析の準備

未変性IPプロトコールのセクションCで、最後にビーズペレットから上清を除去した後、

  1. ビーズペレットを5 - 10 µLのMALDI Elution Buffer (50% Acetonitrile、0.15% Trifluoroacetic acid (TFA)、10 mg/mL CHCA matrix) に再懸濁してください。
  2. 室温で15分間インキュベートしてください。
  3. 溶出したサンプル1 µLをMALDIプレートに滴下してください。
  4. 実験台上またはフード内で5 - 10分乾燥させてください (周辺の湿度により異なります)。
  5. サンプルが乾燥したら解析に進んでください。

 

ImmunoMALDI質量分析2での解析に関するさらなるガイダンスやマイクロアレイ形式のimmunoMALDI3,4のデータは、このページの最後にある参考文献を参照してください。

LC-MS/MS解析の準備

まず以下のバッファーを調製してください:

  • 変性バッファー: 50 mM Ammonium Bicarbonate (NH4HCO3) + 0.1% RapiGest (Waters Corporation社、メーカーが提供するプロトコールに従って調製してください)
  • 還元バッファー: 30 mM DTT (Dithiothreitol) を含む50 mM Ammonium Bicarbonate (NH4HCO3)
  • アルキル化バッファー: 35 mM Iodoacetamideを含む50 mM Ammonium Bicarbonate (NH4HCO3)
  • トリプシン消化バッファー: トリプシンを、酵素対タンパク質比 (w/w) が1:100から1:20になるように追加した50 mM Ammonium Bicarbonate (NH4HCO3)
  1. セクションCで最後にビーズペレットから上清を除去した後、ビーズペレットを12.5 µLの変性バッファーで再懸濁してください。
  2. ヒートブロックで、90°Cで3分間インキュベートした後、温度を50°Cに下げ15分間インキュベートしてください。
  3. 2.5 μLの還元バッファーを添加し、50°Cで30分間インキュベートしてください。
  4. 2.5 μLのアルキル化バッファーを添加し、室温で30分間、暗所でインキュベートしてください。
  5. 2.5 μLのトリプシン消化バッファーを添加し、37°Cで1時間から一晩インキュベートしてください。
  6. 10% TFAを用いて、最終濃度が1% TFAになるように溶液を酸性化し、90°Cで30分間加熱してください。
  7. 5 - 15 μLのサンプルを機器にロード/注入してLC-MS/MS解析を行ってください。
  8. 適切なタンパク質データベースを使用し、固定修飾はカルボキシメチル化システイン、可逆修飾は酸化、使用した消化方法はトリプシン消化で各パラメーターを設定し、関心のある翻訳後修飾 (PTM) を含めて検索してください。

 

IP実験が計画通りに行かない場合は、免疫沈降トラブルシューティングガイドをご覧になるか、テクニカルサポートにご連絡ください。製品やキット、サービスを含むプロテオミクスに関するサポートや情報は、LC/MSプロテオミクスのリソースセンターをご覧ください。

参考文献

  1. Donnelly DP, Rawlins CM, DeHart CJ, et al. Best practices and benchmarks for intact protein analysis for top-down mass spectrometry. Nat Methods. 2019;16(7):587-594. doi:10.1038/s41592-019-0457-0
  2. Li H, Popp R, Frohlich B, Chen MX, Borchers CH. Peptide and Protein Quantification Using Automated Immuno-MALDI (iMALDI). J Vis Exp. 2017;(126):55933. 2017年発刊 8月18日. doi:10.3791/55933
  3. Hamza GM, Bergo VB, Mamaev S, et al. Affinity-Bead Assisted Mass Spectrometry (Affi-BAMS): A Multiplexed Microarray Platform for Targeted Proteomics. Int J Mol Sci. 2020;21(6):2016. 2020年発刊 3月16日. doi:10.3390/ijms21062016
  4. Hamza GM, Miele E, Wojchowski DM, et al. Affi-BAMS™: A Robust Targeted Proteomics Microarray Platform to Measure Histone Post-Translational Modifications. Int J Mol Sci. 2023;24(12):10060. 2023年発刊 6月13日. doi:10.3390/ijms241210060

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