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免疫沈降実験デザインのヒント

免疫沈降 (IP) は、標的に特異的な抗体を用いて、不均一な細胞や組織の抽出物から特定のタンパク質を濃縮する技法です。共免疫沈降 (co-IP) は、タンパク質複合体を完全な状態のままプルダウンする手法です。IPとco-IPは、タンパク質間相互作用の解析や、タンパク質複合体に含まれる新規メンバーを同定するために有効で、広く使用されている手法です。IPの手法は比較的簡単ですが、含まれる変数は多く、最適化やIPの結果の正確な解釈には、適切な実験コントロールの使用が不可欠です。

インプットコントロール

ウェスタンブロットの過程を適切に行うには、全細胞ライセートのコントロールを含める必要があります。全細胞ライセートのコントロールでは標的のシグナルが観察されるのに、IPサンプルでは観察されない場合、抗体は適切に機能しているものの、IPの濃縮に失敗している可能性があります。

アイソタイプコントロール

実験には、ネガティブコントロールとしてのアイソタイプコントロールが必要となります。IP実験に用いるアイソタイプコントロールは、一次抗体のIgGのサブタイプに適合するものである必要があります。ラビットには1つのIgGサブクラスしかないため、アイソタイプコントロールを選ぶことは比較的簡単です。ラビットポリクローナル抗体を用いる実験には、Normal Rabbit IgG #2729を用い、ラビットモノクローナル抗体を用いる実験には、Rabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control #3900を用いることを推奨します。

マウスには5つのIgGサブクラスがあり、マウスで作製された一次抗体を使用する場合には、アイソタイプコントロールの選択はより複雑となります。IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3。特異的なCST抗体のサブクラスについては、製品ウェブページのSource/Isotypeのセクションをご覧ください。CST は、弊社の一次抗体に適合する以下のアイソタイプコントロールをご提供しています。

ウェスタンブロッティングでは、アイソタイプコントロールは、一次抗体のサンプルと同一濃度で、かつ並行して実験を進める必要があります。

ビーズコントロール

ビーズのみのコントロールとは、抗体を含まない状態のライセートにビーズを追加することを指し、IP実験の追加のネガティブコントロールとして機能します。IgGアイソタイプのネガティブコントロールおよび/またはIP実験において、非特異的な結合が観察される場合には、ビーズのみのコントロールを加えるべきかもしれません。

CSTは、以下のIP実験用のビーズをご提供しています。

実験デザイン

CSTは、以下の実験の設定を推奨します:

  1. 次の4種類の条件に対応するチューブを用意してください:インプット、アイソタイプコントロール (インプットと同一濃度)、ビーズのみのコントロール、抗体 (推奨される希釈率に調整したもの)。
  2. 50 µLのライセートを「インプット」チューブに加え、200 µLのライセートを他のそれぞれのチューブに加えてください。「インプット」チューブを氷上に静置し、他のチューブ (アイソタイプコントロール、ビーズのみのコントロール、抗体) は、CSTが推奨するIPプロトコールに従ってください。
  3. 3倍希釈したSDSローディングバッファー25 µLを「インプット」チューブに加え、他のチューブは、ビーズペレットを3倍希釈したSDSサンプルバッファー30 µLに再懸濁し、溶出してください。
  4. サンプル (インプットを含む) を95-100 ℃で、2-5分間加熱してください。14,000 x gで1分間遠心分離し、IP溶出液を回収してください。
  5. インプットサンプルとIP溶出液サンプルを、15 µLずつゲルにロードし、ウェスタンブロットで解析してください。

IP実験が計画通りに行かない場合は、更なるサポートとして免疫沈降トラブルシューティングガイドをご覧になるか、テクニカルサポートにご連絡ください。