InTraSeq™ 3'プロトコール
最適な結果を得るために:
- RNaseフリーで無菌の作業スペースでの実験を推奨します。
- フィルター付きピペットチップの使用を推奨します。
- セクションB. ブロッキング (2日目) からプロトコールの最後まで、850 x g で遠心することが重要です。850 x RPMではありません。
- セクションC. 免疫染色 (2日目) のプロトコールでは、上清を除去する際に細胞ペレットを溶液に浸した状態を保つ (約40 µL) ことが重要です。
- いずれのステップにおいても、上清を除去する際は、真空吸引ではなく必ずピペットを使用してください。
- 試薬を使用する前に、完全に解凍されていることを確認してください。
注意:
- InTraSeq™ 3'アッセイキットの構成品はすべて、フィーチャーバーコード標識技術を備えた10x Genomics社のChromium Single Cell 3'キットで検証されています。
- SAFE STOP - 実験操作を中断する必要がある場合に、プロトコールを安全に中断できるポイントを示します。
- このプロトコールは、InTraSeq™アッセイ (1サンプル) 用に設計されています。複数のサンプルを処理する場合は、すべての量を比例して調整する必要があります。
溶液および試薬
キットの構成品 (-20°C保管)
- InTraSeq™ Blocking Buffer A #10471
- InTraSeq™ Blocking Buffer B #31701
- InTraSeq™ Staining Buffer #46005
- InTraSeq™ Wash Buffer #59335
- InTraSeq™ Reducing Agent #63760
- InTraSeq™ RNase Inhibitor #79298
- Rabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control (InTraSeq™ 3' Conjugate 3000) #81472
- Histone H3 (D1H2) XP® Rabbit mAb (InTraSeq™ 3' Conjugate 3002) #68984
キットに含まれない必要試薬
- InTraSeq™ 3' Conjugates/Antibody Cocktails
- Two sterile 40-micron Falcon cell strainers
- Vortex mixer
- 1.5 mL Sterile Polypropylene Microcentrifuge Tubes - LoBind
- 15 mL Conical Sterile Polypropylene Centrifuge Tubes (preferably LoBind)
- 50 mL Conical Sterile Polypropylene Centrifuge Tubes (preferably LoBind)
- Phosphate Buffered Saline (PBS-1X) pH7.2 (Sterile) #9872
- Methanol #13604
実験開始前の準備:
(オプション) キットが届いたら、InTraSeq™ Blocking Buffer Aを解凍し、ピペットで混合して875 µLずつ1.5 mLの滅菌マイクロチューブ8本に分注します。
A. 細胞の固定 (1日目)
注意:このプロトコールの前に免疫染色ステップを実行する場合は、以下のステップ1で100万-500万個の細胞を確保するために、少なくとも200万個の細胞で免疫染色を開始することを強く推奨します。
- 細胞をカウントして、100万-500万個の細胞を15 mLチューブに移してください。
注意:100万個未満の細胞で実験を進めないでください。
- 細胞を4°Cで5分間、300 x gで遠心してください。
- 上清を除去して廃棄し、氷冷した1X PBS 10 mLで細胞を洗浄してください。
- 細胞を4°Cで5分間、300 x gで遠心してください。
- 細胞ペレットを乱さないように上清を除去して廃棄し、氷冷した1X PBS 0.5 mLで細胞を懸濁してください。
- ボルテックスミキサーの電源を入れて、スイッチを「オン」モード (「オート/タッチ」モードではありません) に設定し、低速 (ミキサーに応じて速度1-4) を維持してください。サンプルが渦を巻くほど激しく撹拌されるのではなく、常に混合されている状態を維持できるようにしてください。サンプルが激しく撹拌されてしまう場合は、ミキサーの速度を下げてください。
注意:以下のステップでは、氷冷したメタノールをゆっくり (30秒以上かけて) 滴下することが非常に重要です。
- 細胞の入った15 mLチューブを「オン」モードにしたボルテックスミキサー上にセットし、4.5 mLの氷冷したメタノールをゆっくりと (30秒以上かけて) 滴下してください。
- 細胞を‐20°Cの冷凍庫で一晩インキュベートしてください。(SAFE STOP:サンプルは、-20°Cの冷凍庫内で最大7日間保存できます。)
B. ブロッキング (2日目)
このセクション以降は、遠心の各ステップにおいて細胞を850 x gでスピンダウンすることが重要です。スピンダウンの速度を下げると、細胞を損失する可能性があります。
- 以下の製品を室温で解凍してください:
- InTraSeq™ Wash Buffer:1ボトル
- InTraSeq™ Blocking Buffer B
- InTraSeq™ Blocking Buffer A:解凍し、ピペットで混合してください。
- InTraSeq™ Staining Bufferを解凍し、ピペットで混合してください。
- InTraSeq™ Reducing Agent:解凍し、沈殿物がなくなるまでボルテックスで混合してください。
- 解凍後、各試薬を氷上に静置してください。
- Heat/cooled InTraSeq™ Blocking Buffer Bを準備してください:
- 130 µLのInTraSeq™ Blocking Buffer B を、1.5 mLの滅菌マイクロチューブに分注してください。分注元のInTraSeq™ Blocking Buffer Bは、冷凍庫に戻してください。
- 分注したチューブを、95°Cで5分間加熱してください。
- チューブをスピンダウンし、氷上に静置してください。以下のステップで、このHeat/cooled InTraSeq™ Blocking Buffer Bを使用します。
- scBlock (下表を参照) を準備し、ピペットで混合して氷上に静置してください。
scBlock |
分量 |
InTraSeq™ Blocking Buffer A |
860 µL |
Heat/cooled InTraSeq™ Blocking Buffer B |
98 µL |
InTraSeq™ Reducing Agent |
40 µL |
InTraSeq™ RNase Inhibitor |
2 µL |
総量 |
1,000 µL |
- 細胞を、4°Cで5分間、850 x gで遠心してください。
- 上清を除去して廃棄し、細胞にscBlockを加えてください。ピペットで細胞を懸濁させた後、少なくとも30分間は氷上に静置してください。
- scBlock内でインキュベーションしている間に、以下のAntibody Master Mixを準備してください:
- Vol. of Abs. (使用する抗体の量) は、InTraSeq™ 3'用抗体カクテルと個々のInTraSeq™ 3'標識抗体 (Ind. InTraSeq™ 3' Conj.またはInd. Conj.) の数に応じて、下表を参照して決定してください。総量を30 µLとして計算してください。
|
分量
(Cocktailのみ) |
分量
(Ind. Conj.のみ) |
分量
(Cocktails + Ind. Conj.) |
InTraSeq™ 3' Cocktail |
5 µL (per cocktail) |
N/A |
___ µL (5 µL per cocktail) |
Ind. InTraSeq™ 3' Conj. |
N/A |
3 µL (1Ind. Conj.) |
___ µL (3 µL per Ind. Conj.) |
Vol. of Abs. |
___ µL |
___ µL |
___ µL |
- Antibody Master Mix (下表を参照) を、上で計算したVol. of Abs. (最大30 µL) を用いて調製してください。気泡の発生を最小限に抑えるため、ピペットで静かに混合し、氷上に静置してください。
Antibody Master Mix |
分量
(Cocktailのみ) |
分量
(Ind. Conj.のみ) |
分量
(Cocktails + Ind. Conj.) |
Vol. of Abs. |
___ µL |
___ µL |
___ µL |
InTraSeq™ Wash Buffer |
30 µL - Vol. of Abs. (上の表を参照) |
InTraSeq™ Staining Buffer |
55 µL |
55 µL |
55 µL |
Heat/cooled InTraSeq™ Blocking Buffer B |
10 µL |
10 µL |
10 µL |
Rabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control (InTraSeq™ 3' Conjugate 3000) |
3 µL |
3 µL |
3 µL |
Histone H3 (D1H2) XP® Rabbit mAb (InTraSeq™ 3' Conjugate 3002) またはその他のHistone H3 (D1H2) XP® Rabbit mAb (InTraSeq™ 3' Conjugate) |
3 µL |
3 µL |
3 µL |
InTraSeq™ RNase Inhibitor |
2 µL |
2 µL |
2 µL |
総量 |
103 µL |
103 µL |
103 µL |
- scBlock中で30分間インキュベーションした細胞に、2 mLのInTraSeq™ Wash Bufferを加えてピペットで混合してください。
- 40-micron Falcon cell strainerで細胞を濾過しながら50 mLチューブに移してください。
注意:細胞回収率を最大化するためには、Falcon cell strainerにピペット先端を軽く押し付けながら、濾過してください。(下の写真を参照してください)

- 濾過した細胞を新しい15 mLチューブに移し、すぐにセクションC. 免疫染色 (2日目) に進んでください。
注意:残ったInTraSeq™ Wash Bufferは、3日目に使用するため、4°Cで保存してください。
C. 免疫染色 (2日目)
このセクション以降は、上清を除去する際に細胞ペレットを溶液に浸した状態 (40 µL) に保つことが重要です。細胞を乾燥させるとRNAや細胞の収量が低下する可能性があります。
- 細胞を、4°Cで5分間、850 x gで遠心してください。
- チューブ内に液が約40 µL残るように上清を除去してください。
- 100 µLのAntibody Master Mixを細胞に加えてください。ピペットで細胞を懸濁してください。
- 1.5 mLの滅菌LoBindマイクロチューブに移し、4°Cで一晩インキュベートしてください (最大16時間まで)。
注意:
- 細胞を20時間以上インキュベートしないでください。
- 4°Cで一晩インキュベーションすることが重要です。
D. 細胞の洗浄とカウント (3日目)
実験開始前の準備:
- 1 mLのModified InTraSeq™ Wash Bufferを、細胞が入った1.5 mLのマイクロチューブに加えてください。ピペットで混合した後、15 mLチューブに移してください。
- 2 mLのModified InTraSeq™ Wash Bufferを加えて、総量を3 mLにしてください。
- 4°Cで5分間、850 x gで遠心してください。チューブ内に液が約40 µL残るように上清を除去してください。
- 1 mLのModified InTraSeq™ Wash Bufferを加えてください。ピペットで細胞を懸濁し、さらに3 mLのModified InTraSeq™ Wash Bufferを加えて総量を4 mLにしてください。
- ステップ3とステップ4を繰り返した後、4 mLの細胞懸濁液を40-micron Falcon cell strainerで濾過しながら50 mLチューブに移してください。濾過した細胞懸濁液を、新しい15 mLチューブに移してください。
注意:細胞回収率を最大化するためには、Falcon cell strainerにピペット先端を軽く押し付けながら、濾過してください。(下の写真を参照してください)

- 細胞を、4°Cで5分間、850 x gで遠心してください。チューブ内に液が約40 µL残るように上清を除去してください。
- 100 µLのModified InTraSeq™ Wash Bufferを細胞に加えてください。ピペットで細胞を懸濁し、氷上に静置してください。
注意:このステップ以降は、細胞は、あらゆる希釈段階も含めてModified InTraSeq™ Wash Buffer中で保存してください。他のバッファーや試薬を使用すると、RNAが分解される可能性があります。
- 細胞をカウントしてください。必要な細胞濃度を決定するには、フィーチャーバーコード標識技術を備えた10x Genomics社のChromium Single Cell 3'キットのプロトコールに記載の細胞懸濁液用量計算表を参照してください。
重要:目的の細胞濃度に希釈する際は、必ずModified InTraSeq™ Wash Bufferを使用してください。
注意:カウント後の細胞に凝集が見られる場合は、次に進む前にゆっくりとピペッティングしてください。
- フィーチャーバーコード標識技術を備えた10x Genomics社のChromium Single Cell 3'キットを使用して、次のステップに進んでください。
For Research Use Only. Not for Use in Diagnostic Procedures.