4人の若手科学者が、音楽からAI技術まで、自身の経験を活かしてどのようにキャリアを築き、そして地域社会を向上させてきたかについて語ります。各受賞者には科学の支援金として10,000ドルの賞金が贈られ、彼らのエッセイはCell誌に掲載されています。
米国マサチューセッツ州ダンバース、2025年2月6日 ‐ Cell Press社とCell Signaling Technology (CST)、Elsevier 財団が主催する第5回「前途有望な黒人科学者賞」の受賞者を発表できることを大変嬉しく思います。スタンフォード大学のJheannelle Johnson氏、モアハウス医学大学院のVictor Ekuta医師、フィランダースミス大学のKenna Gloria Agbugba氏、ミシガン工科大学のNyasha Milanzi氏が今年の受賞者です。
今年はライフサイエンス、ヘルスサイエンス、物理科学、地球環境科学、データサイエンスの部門にわたる数百人もの応募者が集まりました。受賞者および表彰者のエッセイは、2025 年 2 月 6 日にCell誌およびiScience誌に掲載されました。それでは、受賞したエッセイを紹介します。
- サウンドオブミュージック:研究と社会への抵抗を通して記憶の経路を追跡する
- 科学の再考:黒人医師兼科学者として、科学的ツールをすべての人に役立つものへと変える
- 世界に橋を架ける:ナイジェリアから米国へ、そして再びナイジェリアへ戻るSTEMの旅
- 次世代の技術者と科学者を公平への変革の担い手へと導く
この表彰は、生命科学や医学の分野に所属する学部生や大学院生、ポスドクといった才能あふれる黒人科学者に対して資金を提供し、彼らの認知度を高めてキャリア形成を支援することで障壁を取り除き、さらなる活躍の機会を創出することを目的として2020年に設立されました。この取り組みを開始して5年目にあたる今年は、科学のあらゆる分野から14名の受賞者と表彰者が選出されました。このうち受賞者は、ライフサイエンス&ヘルスサイエンス部門から2名、物理科学、地球環境科学、データサイエンス部門から2名の計4名の選出されており、今年の受賞者は、医学や工学、コンピュータサイエンスといった幅広い分野で活躍しています。
「今年の前途有望な黒人科学者賞の受賞者の主張とその素晴らしさに、私は深く感銘を受けました」と、Cell誌の編集長John Pham氏は述べます。「彼らのストーリーを読んで、私は、彼らは皆、重要な科学的貢献を果たし、社会にポジティブな変化をもたらす存在になるだろうと確信しました。この賞が、彼らのこれから進む道に役立ち、そして彼らのストーリーが他の人々を鼓舞することを願っています。」
この賞は、Elsevier財団とCell Signaling Technologyとのパートナーシップにより実施されており、両組織が本表彰に対する支援と資金提供を行っています。受賞エッセイは学術誌であるCell誌に掲載され、受賞者には賞金10,000ドル、交通費500ドルが授与されます。また、多数の優れた応募作品があったため、500ドルが贈られる4名の佳作表彰者も選出されました。選出された彼らのエッセイは、オープンアクセスの学術誌であるiScienceに掲載されます。
「受賞したエッセイは幅広い分野に及んでおり、各ストーリーに強く心を打たれました。」とElsevier財団の執行役員Ylann Schemm氏は述べます。「研究者の社会をより包括的なものにするという使命を掲げるElsevier財団にとって、黒人科学者の知名度を上げることは大変重要です。科学者としての道を歩み始めて間もない彼らの優秀さと熱意を認識し、称賛することは不可欠です。」
CSTのグローバル人事部門事業部長であるMargaret Murrayは、「CSTは、行動は言葉に勝るという信念を持っています。」と述べます。「前途有望な黒人科学者賞への支援は、意義ある変化をもたらし、より包括的な科学コミュニティを構築するという弊社の信念の表れと言えるでしょう。この若い科学者たちが画期的な貢献を果たすことを楽しみにしています。」
アルツハイマー病の兆候を発見する
Jheannelle Johnson (@JheannelleJ) 氏は、ライフサイエンス&ヘルスサイエンス部門における「前途有望な黒人科学者賞」の受賞者の一人です。ハワード大学で学士号を取得後、現在、スタンフォード大学で神経変性計算分野のフェローシップを修了しており、アルツハイマー病における細胞の脆弱性の理解に重点を置いた研究を行っています。また、神経科学の分野で活躍する黒人学者や専門家の地位向上を目的とする非営利団体「Black in Neuro」の開発ディレクターも務めています。彼女のエッセイ「サウンドオブミュージック:研究と社会への抵抗を通じて記憶の経路を追跡する」では、音楽がアルツハイマー病を患う祖母とつながる窓を開いてくれたこと、そしてこの音楽的なつながりが、彼女がアルツハイマー病における分子レベルの研究および社会的基盤の研究へと導いてくれたことを語っています。
「前途有望な黒人科学者賞を受賞できたことは、私にとって非常に名誉なことです。この賞を、私の旅路を形作ってくれた知恵と指導と情熱を持つコミュニティと分かち合いたいと思います。」と、Johnson氏は述べます。「私の研究と、日々私を突き動かしている使命を主張する機会を与えてくださったCell誌、学術諮問委員会、Cell Press編集チーム、Cell Signaling Technologyの皆様に心より感謝いたします。これは、科学界で十分に代表されていないコミュニティへの投資の力を再確認させてくれます。私にとって、この賞は、私たちの声が重要であるだけでなく、この分野を前進させるために不可欠であるため、この使命を継続するよう後押ししてくれるものです。」
変化を促すツールとしての科学
ライフサイエンス&ヘルスサイエンス部門のもう1人の受賞者は、神経学研究医のVictor Ekuta氏 (@victorekuta) です。彼のエッセイは、「ツールとしての科学を再考:黒人医師兼科学者として、科学的ツールをすべての人に役立つものへと変える」です。その中で、彼は、科学とアイデンティティが、癒しにも害にもなり得ることを説明し、また、これらのツールをどのように活用して地域社会に貢献したかを述べています。モアハウス医科大学の神経学研修医であるEkuta氏は、Penn Alzheimer's Disease Research Centerの博士研究員、Clark Scholar、Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative (ADNI) のHealth Equity Scholarなど、いくつかの学術職を兼任しています。彼の目標は、医師、科学者、そして提唱者でもある神経学者として、専門性を高めていくことです。
「この賞を受賞できたことは、私個人の功績というだけでなく、科学と医療における回復力、表現、公平性の追求の力の証です。」と、Ekuta氏は述べます。「これは、黒人科学者としての私たちの物語、声、そして仕事は重要であり、様々なツールを正義の手段に変える力があることを再認識させてくれます。私は、脳の健康の公平性を推進し、私に続く人々を鼓舞するという新たな決意とともに、この名誉を胸に抱き続けていきます。」
教育支援のためのAI開発
Kenna Gloria Agbugba氏は、物理科学、地球環境科学、データサイエンス部門で受賞しました。エッセイ「世界に橋を架ける:ナイジェリアから米国へ、そして再びナイジェリアへ戻るSTEMの旅」の中で、Agbugba氏は、AI技術の研究で学んだスキルを活かして母国の学生の進歩を支援するツールを構築したいという自身の希望を語っています。フィランダースミス大学のコンピューターサイエンス学部の学部生である彼女は、デトロイトの学生を支援するために、受賞歴のあるAI主導の読み書き支援アプリのプロトタイプを設計するチームを率いて、インテリジェント学習サポートAIを搭載したiOSアプリを開発する全米科学財団プロジェクトに取り組んでいます。
「まず、私 (El-Roi) と私の家族、友人たちを絶え間なく支えてくださっている神に感謝したいと思います。また、このような素晴らしい名誉を与えてくださったCell Press社にも感謝いたします。多様性をこのように意義深い形で祝ってくださったことに心から感謝いたします。」と、Agbugba氏は述べます。「私のSTEM分野におけるこれまでの道のり、特に自己疑念に苛まれた時、この賞に応募している時に注いできた忍耐力と努力が正当に評価された、まさに最高の瞬間です。この賞は単なる個人的な節目というだけでなく、私のような人々を鼓舞し、自信喪失を乗り越え、自分の仕事を信じ、たくましく前進し続けるための後押しとなる機会なのです。応募して本当に良かったです。」
公平なソリューションのためのエンジニアリング
物理科学、地球環境科学、データサイエンス部門のもう1人の受賞者は、Nyasha Milanzi氏 (@n_milanzi) です。ガーナのアシシ大学で電気工学を学んだ彼女は、大気汚染検出器やソーラークッカーなど、手頃な価格でサステナブルな機器を開発してきました。彼女は、恵まれない地域社会における公平なエネルギー転換の構築を中心に研究し、先日ミシガン工科大学に修士論文を提出しました。彼女のエッセイ「次世代の技術者と科学者を公平への変革の担い手へと導く」では、最も弱い立場にあるコミュニティの公衆衛生ニーズに取り組むための学際的なアプローチを構築することで、気候変動対策を行うという彼女の使命が綴られています。
「私の両親が提唱してきた公平な活動を反映し、社会から疎外された背景を持つ若者たちが教育を受けられるようにするという私のエッセイが受賞したことに驚きを隠せません。」と、Milzani氏は述べます。「この賞をいただけたことは、私の環境分野における取り組みが認められただけでなく、科学や工学分野における黒人留学生の貴重な貢献を証明するものにもなります。私は、この受賞により、最前線のコミュニティを向上させ、意義ある変化をもたらすような型破りなキャリアを自信を持って追求するよう、他の人々を後押しできることを願っています。」
特別賞受賞エッセイはiScience誌で公開
受賞者の4名以外にも傑出した才能もつ科学者がいたため、今年はさらに4名の特別賞を選出し、彼らのエッセイはiScience誌に掲載されました。ライフサイエンス&ヘルスサイエンス部門の受賞者として選ばれたのは、学士号を取得したばかりのDaphna Fertil氏 (国立生物医学イメージング工学研究所) のエッセイ「革新による救い:研究室から地域社会までに至る健康の公平性の推進」と、アルバート・アインシュタイン医科大学の医学博士号の学生Darnell K. Adrian Williams Jr.氏の論文「挫けた心」です。物理科学、データサイエンス、地球環境科学の部門で受賞した学生は、デューク大学の博士課程在籍者Arona Bender氏の論文「水面の下:隠れた海での旅 」と、ジョージメイソン大学の学部生Efemena Johnson氏の論文「ナイジェリアから革新まで:インクルーシブサイエンスの視点」です。
Cell Pressについて
Elsevier傘下の出版社の1つであるCell Press社 (@CellPressNews) は、科学のリサーチとレビューを行う大手出版社であり、生命科学や物理学、地球学、データ科学分野にわたる50種類以上の科学の学術誌を有しています。Cell Press社は、優れた編集力と革新への専心、比類ない読者層と知名度、そして科学的提言への情熱をもって、科学コミュニティをサポートし、研究におけるこれからの方向性を喚起することを目指しています。詳しくはhttp://www.cell.com/をご覧ください。
Cell Signaling Technologyについて
Cell Signaling Technology (CST) は現役の科学者が設立し、所有・運営する他とは違うライフサイエンス企業であり、製品とサービスの品質、技術革新、科学的厳密性において最高水準を保持しています。CSTは1999年に設立され、米国マサチューセッツ州ダンバースに本社を置き、世界中で600名以上の従業員が事業に従事しています。私たちは常に、世界中の科学者に業界最高レベルの製品とサービスを提供し、発見への探究心を刺激しています。CSTは優れた科学技術の促進のため献身的に活動する思慮深い人々で構成される企業であり、顧客や地域社会、地球のための正しい行動に精力的に取り組んでいます。cellsignal.jp
Elsevier財団について
Elsevier財団は、新たなアプローチを生み出し、不平等を浮き彫りにし、国連のサステナブルな開発目標に向けた変化を促すパートナーシップを通じて、非営利団体に年間150万ドル以上を寄付しています。科学と健康を専門とする、世界的な情報分析企業であるElsevierから資金提供を受けており、Elsevierの広範な企業責任プログラムの一部です。Elsevier財団は、コンテンツやデータと分析におけるElsevierのネットワークと独自の知見を活用し、ジェンダーや健康、気候変動対策、不平等の削減への影響を拡大しています。2005年以降、Elsevier財団は世界70国において100以上のパートナーに1,600万ドルの助成金を寄与してきました。さらに、Elsevier財団は、災害救援を支援するための特別基金も提供しており、従業員が財団のパートナーと緊密に連携してコミュニティを支援できるように、従業員が行った寄付額と同額を、またはボランティア活動に見合ったものを提供しています。
メディア連絡先:
受賞者および特別賞受賞者宛て:
Jordan Greer
Media & Communications Manager
Cell Press
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