接着結合とは、結合部のタンパク質が隣接細胞の相補的な分子群と一時的に結合することで、形成、強化、伸展、退行、再形成に働く動的な構造です。この図では、アクチン細胞骨格に結合したCadherin、β-catenin、およびα-cateninから構成される安定複合体である従来のモデルを最新情報に更新しています。Cadherinは、β-cateninおよびα-cateninとの複合体に含まれますが、このCadherin-Catenin複合体は、アクチン細胞骨格とは会合しません。α-cateninは、細胞接着タンパク質をアクチン細胞骨格に直接は連結しませんが、アクチンフィラメントダイナミクスを制御する調節タンパク質として作用します。
単量体α-cateninは接着結合部においてβ-cateninと結合しますが、遊離するとα-catenin二量体を形成して、アクチン束の形成を促進します。分岐状のアクチンネットワークから束状のアクチンフィラメントへの転換は、成熟した強い接着結合の形成、およびラメリポディアの減少と関連があります。細胞間結合と細胞骨格との連結は従来考えられてきた以上に動的であり、Cadherin-Catenin複合体とアクチン細胞骨格の間における複数の弱い結合や、その他の膜結合タンパク質 (Nectin、Afadinなど) に依存している可能性があります。
多くの動的な細胞システムと同様に、キナーゼ、フォスファターゼ、およびアダプタータンパク質の集合が、2、3の重要なエフェクタータンパク質の活性と局在を制御します。δ-catenin (p120 catenin) は、細胞膜のCadherinに結合して安定化します。膜結合型および細胞質型のチロシンキナーゼは、結合が弱い、もしくは新しく出来た接着部分においてβ-cateninをリン酸化し、その一方で、フォスファターゼは、成熟した接着部位においてβ-cateninとδ-cateninからリン酸化を除去します。RhoファミリーGTPaseは、Cateninや他の重要な接着タンパク質の可用性や活性化状態を調節します。こうした構造タンパク質や酵素、アダプタータンパク質の集合によって、形態形成過程の一時的な結合に必要とされる動的な細胞間接着が形成され、発生後の複雑な組織や構造の完全性が維持されます。
アイオワ大学Carver College of Medicine (アイオワ州、アイオワシティ) のKris DeMali教授に図表をレビューしていただいたことを感謝いたします。
作成日:2008年9月
改訂日:2014年8月