ヒストン修飾を標的とする抗体は、類似するが標的とは異なるヒストン修飾に、非特異的に結合する可能性があります。逆に、隣接する残基の修飾に起因する立体障害により、抗体の特異的結合が阻害される可能性があります。通常、ELISA、ウェスタンブロット、ChIP、IFのといったアッセイでは、抗体の特異性や感度を確認することはできますが、抗体と近傍のエピトープの相互作用を明確に予測することはできません。したがって、ヒストン修飾を特異的に認識する抗体の検証には、これらのみでは不十分と言えます。
このような理由から、CSTの修飾特異的なヒストン抗体の検証には、Fuchs, S.M.らによるペプチドアレイアッセイと同様のアッセイ法が採用されています。(1). これらのアレイを用いることで、すべてのヒストンタンパク質の既知の修飾に対する反応性と、単一修飾部位の検出に近傍の修飾が及ぼす影響を、1度の実験で評価することができます。したがって、ペプチドアレイアッセイにより、抗体が期待通りに機能していることを確認できます。
メチル化リジン (モノ、ジ、トリメチル化)、アセチル化リジンの単独修飾あるいは未修飾のリジンをもつペプチドをニトロセルロース膜にスポットしました。さらに、これらの修飾を、H3K4Me3やH3T3Phosといった、既知の隣接したヒストン修飾と組み合わせたペプチドも同様にスポットしました (図をご参照ください)。メチル化アルギニン抗体の試験にも、同様のアレイを使用しました。
図示したように、ヒストン修飾抗体を3点の濃度でアレイにアプライしました。こうすることで、各アッセイで抗体濃度が飽和していないことを確認しながら、反応性を評価することができます。
アレイを洗浄して蛍光標識二次抗体でインキュベートした後、LI-COR Odyssey赤外イメージング装置で蛍光を測定しました。
CSTが実施したヒストン修飾抗体の解析例については、下をクリックしてご覧ください。