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ウェスタンブロッティング (WB) 実験デザインのヒント

ウエスタンブロット実験の計画を立てる場合の注意事項

実験には必ず適切なポジティブコントロールとネガティブなコントロールを組み込んでください。 抗体のウェブページや実験コントロール調製法の表で、Cell Signaling Technology (CST) が自社抗体を試験する場合に使用するコントロールの詳細情報をご確認ください。また、異なるタイプの細胞や組織における特定の遺伝子産物の相対的な量の情報を知りたい場合には、BioGPSThe Human Protein Atlasなどの優れたオンラインリソースをご利用ください。

翻訳後に修飾されたタンパク質を検出する場合は、特別な処理が必要になることがあります。 多くの場合、CST®製品のウェブページに1つ以上の細胞モデルで特定の翻訳後修飾を誘導する処理の例が記載されています。さらに、実験コントロール調製法の表に、ほとんどの修飾特異的抗体の検証済みポジティブコントロールや、CSTから購入できるコントロール抽出物がリストアップされています。また、PhosphoSitePlus®は、特定の標的上の修飾を受ける残基やその機能的な意義、特定の細胞モデルで特定の翻訳後修飾を調節する処理に関する公表された文献の概要を、素早く確認できる優れたオンラインリソースです。

標的タンパク質で最適な分離能を得るため、適切なゲルを選択してください。 CST抗体の大部分は、Tris-Glycineゲルで分離したサンプルを用いたウェスタン免疫ブロッティングで社内検証されています。幅広い分子量の標的を分離できる4 - 20% Tris-Glycineグラジエントゲルを使用することが多いです。しかし、研究室で作成する場合は均一濃度のゲルが簡単であり、より限定的な分子量の範囲では優れた分離能が得られます。一般に、分子量の小さなものほど高濃度のゲル、分子量の大きなものほど低濃度のゲルが必要になります。標的タンパク質の分子量に応じて、下記のようなゲルを使用することを推奨します。

ゲルのタイプ タンパク質の分子量
3-8% Tris-Acetate* > 200 kDa
4-20% Tris-Glycine 10 - 200 kDa
7.5% Tris-Glycine 80 - 200 kDa
10% Tris-Glycine 50 - 80 kDa
12% Tris-Glycine 30 - 60 kDa
16% Tris-Glycine 12% Tris-Glycine < 30 kDa

*Tris-AcetateゲルはTris-Acetate SDSバッファーと組み合わせて使用し、中性pHで電気泳動します。この結果、Tris-Acetateゲルでは長時間電気泳動することができ、一晩電気泳動してもタンパク質がゲルから放出されることはありません。大きなタンパク質の分離には時間がかかるため、高分子タンパク質にはTris-GlycineよりTris-Acetateゲルの方が適しています。

一次抗体に合致した二次抗体を選択してください。 全ての未標識CST抗体の、ウェスタンブロッティングの社内検証は、HRP標識した抗IgG抗体を使用して実施しています。ラビットにはIgGのサブタイプが1つしか無いので、Anti-rabbit IgG, HRP-linked Antibody (#7074) は、全てのラビットポリクローナル抗体、モノクローナル抗体にご利用いただけます。Anti-mouse IgG, HRP-linked Antibody (#7076) は、マウスIgGの全てのサブタイプを認識するため、マウスモノクローナル抗体にご利用いただけます。同様に、anti-rat IgG, HRP-linked Antibody (#7077) は、ラットIgGの全てのサブタイプを認識するため、ラットモノクローナル抗体にご利用いただけます。

推奨プロトコールに従ってください。 CST抗体は、製品のウェブページに記載されているプロトコールの条件を用いて開発、最適化されています。最適な結果を得るため、初めて使用する抗体の場合は推奨バッファーを用い、推奨希釈率で使用してください。推奨とは異なるプロトコールを用いると、シグナルの低下やバックグラウンドの増加の原因となることがあり、繰り返し実験を行う必要が生じる可能性があります。

蛍光ウェスタンブロッティングの注意事項

最適な蛍光ウェスタンブロッティング条件のため、CSTの蛍光ウェスタンブロッティングプロトコールを忠実に従うことを推奨します。化学発光プロトコールとの主な違いは以下の通りです。

  • 1時間のブロッキングステップでは、ブロッキングバッファーからTween 20を除いてください。このステップでTween 20を用いると、抗体による検出に影響を与え、シグナルが低下する場合があります。
  • CSTが推奨する、各製品に特異的な一次抗体インキュベーションバッファーまたはLI-COR TBSベースのインキュベーションバッファーを使用してください。このほかのバッファーを用いると、シグナルの減弱や消失の原因となる可能性があります。
  • 全体的な検出の向上のため、イメージングを行う前にメンブレンを十分に風乾してください。