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CUT&RUNキットのプロトコール

! この!マークは、実施するCUT&RUN反応の数に応じて量を変更する、プロトコール中の重要なステップであることを意味します。
!! この!!マークは、操作を進める前にバッファーを希釈する、重要なステップであることを意味します。
SAFE STOP これは、実験操作を中断する必要がある場合に、プロトコールを安全に中断できるポイントを示します。

I.細胞と組織のサンプルの調製

ほとんどの細胞タイプにおいて、CUT&RUNアッセイに生細胞を用いることにより、ヒストンや転写因子、コファクターを安定して濃縮できます。Concanavalin Aに感受性がある、または敏感な細胞の場合は、軽く固定することにより細胞を無傷のまま保存できます。また、新鮮な細胞を用いても安定したシグナルがみられない場合は、存在量の少ない、あるいは結合力の弱い転写因子やコファクターの濃縮が、固定することによって促進される可能性があります。細胞の過剰な固定はCUT&RUNアッセイを阻害することにご注意ください。

弊社のCUT&RUNアッセイは、広範囲な細胞や組織サンプルを解析できます。プロトコールに記載されているように、1回あたり5,000-250,000個の細胞または1-5 mgの組織を用いてCUT&RUN反応を行うことができます。この範囲であれば、プロトコール全体を通して使用するバッファーの量を1反応あたりの細胞や組織の量に応じて調整する必要はありません。指示がある場合には、実施する反応の数に応じてバッファーの量を比例的に増やす必要があります。可能であれば、1反応あたり100,000個の細胞または1 mgの組織を使用することを推奨します。細胞数に限りがある場合、ヒストン修飾の解析には1反応あたり少なくとも5,000-10,000細胞、転写因子やコファクターの解析には1反応あたり10,000-20,000細胞を使用することを推奨します。

注意:細胞の透過化に用いるジギトニンの推奨量は過剰量であり、ほとんどの細胞株や組織を十分に透過化できます。ただし、すべての細胞株や組織が、ジギトニンに対して同じ感受性を示す訳ではありません。特定の細胞株や組織で推奨濃度のジギトニンが機能しない場合、Appendix Aのプロトコールに従って条件を最適化することができます。ジギトニン処理で90%以上の細胞が透過化される必要があります。

A. 生細胞サンプルの調製

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、実施するCUT&RUN反応の数に応じて比例的に増加させる必要があります。

  • 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012と100X Spermidine #27287を取り出して温めてください。両者とも必ず完全に解凍してください。Protease Inhibitor Cocktail #7012はDMSO含有のため、氷上に置くと再度凍結することにご注意ください。
  • 1X Wash Buffer (1細胞株あたり2 mL、1反応あるいは1インプットサンプルあたり追加で100 µL) を調製してください。例えば、1X Wash Buffer 2.5 mLを調製する場合、10X Wash Buffer #31415 250 µL + 100X Spermidine #27287 25 µL + 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012 12.5 µL + Nuclease-free Water #12931 2212.5 µLを加えてください。細胞へのストレスを最小限にするため、室温に戻してください。

    注意:生細胞 (非固定) サンプル調製のステップは、細胞へのストレスを最小限にするため、室温で連続して行う必要があります。DNAの断片化を最小限にするため、再懸濁する場合には激しいボルテックスや気泡の混入を避けてください。生細胞のCUT&RUNサンプルを調製する場合、細胞が必要以上に放置される時間を最小化するため、細胞サンプルの調製を始める前にConcanavalin Aビーズ (セクションII、ステップ1 - 5) を調製することを推奨します。活性化したビーズは使用するまで氷上に保存してください。

  1. 新たに培養した細胞を、細胞ストレスを最小限にするため室温で回収してください。各反応あたり5,000 - 100,000細胞を回収し、さらにインプットサンプルの調製用に5,000 - 100,000細胞を回収してください。Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751によるポジティブコントロールと、Rabbit (DA1E) mAb IgG XP ®Isotype Control (CUT&RUN) #66362によるネガティブコントロールに用いるサンプルを忘れずに用意してください。

    注意:接着細胞を回収する場合は、トリプシン処理で細胞を培養皿から剥離させた後、3倍量以上の組織培養液で反応を停止させてください。スクレイパーを用いて培養皿から細胞を掻き取ると、ストレスの原因となり、細胞を溶解させてしまう場合もあるため、CSTはこれを推奨しません。適切な数の細胞を実験に用いるため、血球計算盤やその他の細胞計数装置で細胞数をカウントする必要があります。

  2. 細胞懸濁液を600 x gで3分間、室温で遠心分離して、上清を除去してください。

    注意:少数の細胞 (合計100,000細胞未満) で実験を進める場合、遠心分離で集めた細胞ペレットが肉眼で確認し難く、洗浄操作で失い易くなります。したがって、少数の細胞で実験を進める場合は下記ステップ3-5の洗浄ステップの省略を推奨します。懸濁液に40%の培地が混入していても Concanavalin Aビーズと細胞は結合します。このため、ステップ2の細胞懸濁液の初めの遠心分離の段階で上清の完全除去はせず、1反応当たり40 µL以下の培地を残す方法もあります。この場合、ステップ6で細胞懸濁液に適量の1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) を加え、1反応あたりの合計容量を100 µLにしてください。

  3. 1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) 1 mLを室温で加え、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  4. 600 x gで3分間、室温で遠心分離して、液体を除去してください。
  5. ステップ3と4を繰り返して、2度目の細胞ペレットの洗浄を実施してください。
  6. 各反応またはインプットサンプルあたり、1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) 100 µLを加え、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  7. 細胞100 µLを新しいチューブに移し取り、セクションVを実施するまで4°Cで保存してください。これがインプットサンプルです。

    注意:このインプットサンプルは後のプロトコールで55°Cでインキュベートするので、インキュベート中の蒸発を減少させるためセーフロックの付いた1.5 mLチューブを使用することを推奨します。

  8. 速やかにセクションIIに進んでください。

B.固定細胞サンプルの調製

注意:固定細胞サンプルの調製には、本キットに含まれない次の試薬が必要です:37% Formaldehydeまたは16% Formaldehyde Methanol-Free #12606、Glycine Solution (10X) #7005、10% SDS Solution #20533

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、実施するCUT&RUN反応の数に応じて比例的に増加させる必要があります。

  • 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012と100X Spermidine #27287を取り出して温めてください。両者とも必ず完全に解凍してください。Protease Inhibitor Cocktail #7012はDMSO含有のため、氷上に置くと再度凍結することにご注意ください。
  • 1X Wash Buffer (1細胞株あたり2 mL、1反応あるいは1インプットサンプルあたり追加で100 µL) を調製してください。例えば、1X Wash Buffer 2.5 mLを調製する場合、10X Wash Buffer #31415 250 µL + 100X Spermidine #27287 25 µL + 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012 12.5 µL + Nuclease-free Water #12931 2212.5 µLを加えてください。細胞へのストレスを最小限にするため、室温に戻してください。
  • 固定処理をする細胞懸濁液1 mLあたり、37% Formaldehydeを2.7 µLまたは16% Formaldehyde Methanol-Free #12606を6.25 µL取り分け、室温で保持してください。使用期限内の新しいホルムアルデヒドを使用してください。
  1. 各抗体/MNase反応あたり5,000 - 100,000細胞を回収し、さらにインプットサンプルの調製用に5,000 - 100,000 細胞を回収してください。Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751によるポジティブコントロールと、Rabbit (DA1E) mAb IgG XP ®Isotype Control (CUT&RUN) #66362によるネガティブコントロールに用いるサンプルを忘れずに用意してください。

    注意:接着細胞株を回収する場合は、トリプシン処理で細胞を培養皿から剥離させた後、3倍量以上の組織培養液で反応を停止させてください。スクレイパーを用いて培養皿から細胞を掻き取ると、ストレスの原因となり、細胞を溶解させてしまう場合もあるため、CSTはこれを推奨しません。適切な数の細胞を実験に用いるため、血球計算盤やその他の細胞計数装置で細胞数をカウントする必要があります。

  2. 細胞懸濁液1 mLあたり、37% Formaldehydeを2.7 µLまたは16% Formaldehyde Methanol-Free #12606を6.25 µL加え、終濃度0.1%のホルムアルデヒド溶液としてください。チューブを転倒混和しながら室温で2分間インキュベートしてください。
  3. 固定処理した細胞懸濁液1 mLあたり、Glycine Solution (10X) #7005を100 µL加え、クロスリンクを停止してください。チューブを転倒混和しながら室温で5分間インキュベートしてください。
  4. 細胞懸濁液を3,000 x gで3分間、4°Cで遠心分離して、液体を除去してください。速やかにステップ5に進んでください。(SAFE STOP) 固定した細胞ペレットは、使用するまで-80°Cで6ヵ月間保存できます。

    注意:少数の細胞 (合計100,000細胞未満) で実験を進める場合、遠心分離で集めた細胞ペレットが肉眼で確認し難く、洗浄操作で失い易くなります。この場合は細胞ペレットの凍結保存を推奨しません。また、このような少数の細胞で実験を進める場合は下記ステップ5 - 7洗浄操作を省略することを推奨します。懸濁液に40%の培地が混入していても Concanavalin Aビーズと細胞は結合します。このため、ステップ4の細胞懸濁液の初めの遠心分離の段階で上清の完全除去はせず、1反応当たり40 µL以下の培地を残す方法もあります。この場合、ステップ8で細胞懸濁液に適量の1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) を加え、1反応あたりの合計容量を100 µLにしてください。

  5. 1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) 1 mLを加え、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  6. 3,000 x gで3分間、4°Cで遠心分離して、液体を除去してください。
  7. ステップ5と6を繰り返して、2度目の細胞ペレットの洗浄を実施してください。
  8. 各反応またはインプットサンプルあたり、1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) 100 µLを加え、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  9. 細胞100 µLを新しいチューブに移し取り、セクションVを実施するまで4°Cで保存してください。これがインプットサンプルです。

    注意:このインプットサンプルは後のプロトコールで55°Cでインキュベートするので、インキュベート中の蒸発を減少させるためセーフロックの付いた1.5 mLチューブを使用することを推奨します。

  10. 速やかにセクションIIに進んでください。

C.組織サンプルの調製

ほとんどの組織タイプにおいて、軽く固定した (0.1%ホルムアルデヒドで2分間) 組織1 mgを用いることにより、ヒストンや転写因子、コファクターを安定して濃縮できます。ヒストン修飾の濃縮の場合は、ホルムアルデヒド固定は必須ではありません。しかし、多くの転写因子やコファクターの場合、軽く固定することで最適な結果が得られます。存在量の少ない、あるいは結合力の弱い転写因子やコファクターの場合、中程度の固定 (0.1%ホルムアルデヒドで10分間) が必要なこともあります。また、線維組織のような難しい組織を使用する場合には、中程度の固定によって結果が改善されることがあります。過剰な固定はCUT&RUNアッセイを阻害することにご注意ください。固定した組織は凍結し、使用するまで-80˚Cで6ヵ月間まで保存できます。

注意:新鮮な組織 (非固定) のCUT&RUNサンプルを調製する場合、細胞が必要以上に放置される時間を最小化するため、細胞サンプルの調製を始める前にConcanavalin Aビーズ (セクションII ステップ1 - 5) を調製することを推奨します。活性化したビーズは使用するまで氷上に保存してください。

注意:固定組織サンプルの調製には、本キットに含まれない次の試薬が必要です:37% Formaldehyde または 16% Formaldehyde Methanol-Free #12606、Phosphate Buffered Saline (PBS) #9872、Glycine Solution (10X) #7005、10% SDS Solution #20533

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、実施するCUT&RUN反応の数に応じて比例的に増加させる必要があります。

  • 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012と100X Spermidine #27287を取り出して温めてください。両者とも必ず完全に解凍してください。Protease Inhibitor Cocktail #7012はDMSO含有のため、氷上に置くと再度凍結することにご注意ください。
  • 1X Wash Buffer (各タイプの組織あたり3 mL、各反応あるいはインプットサンプルあたり追加で100 µL) を調製してください。例えば、1X Wash Buffer 3.5 mLを調製する場合、10X Wash Buffer #31415 350 µL + 100X Spermidine #27287 35 µL + 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012 17.5 µL + Nuclease-free Water #12931 3097.5 µLを加えてください。細胞へのストレスを最小限にするため、室温に戻してください。
  • 組織の固定が必要な場合は次のバッファーを調製してください:
    • 各組織あたり1 mLの固定バッファーを調製してください。固定バッファー1 mLあたり、Phosphate Buffered Saline (PBS) #9872 1 mLに、37% Formaldehydeを2.7 µLまたは16% Formaldehyde Methanol-Free #12606を6.25 µL、200X Protease Inhibitor Cocktail (PIC) #7012を5 µL加えてください。使用期限内の新しいホルムアルデヒドを使用してください。
    • 各タイプの組織あたり、PBS #9872 1 mL + Protease Inhibitor Cocktail (PIC) #7012 5 µLを調製し、氷上に置いてください。
    • 固定バッファー1 mLあたり、Glycine Solution (10X) #7005 100 µLを準備してください。
  1. 各抗体/MNase反応あたり新鮮な組織を1 mg測り取り、さらにインプットサンプル調製用に1 mgを測り取ってください。Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751によるポジティブコントロールと、Rabbit (DA1E) mAb IgG XP ®Isotype Control (CUT&RUN) #66362によるネガティブコントロールに用いるサンプルを忘れずに用意してください。

    注意:転写因子やコファクターを解析する場合や、繊維組織のような難しい組織を使用する場合は、1反応あたり5 mgまでの組織を試薬量を増やすことなく使用することができます。

  2. 組織サンプルをシャーレに置き、清潔な解剖用メスまたは剃刀の刃で細かく切り刻んでください。シャーレは氷上に置いてください。タンパク質分解を防ぐため、組織をよく冷やす必要があります。

    注意:ほとんどのタイプの組織や標的タンパク質で、軽く固定することで最適な結果が得られます。このため、次の軽く固定するプロセスを推奨します。しかし、新鮮な組織 (非固定) が望ましい場合は、ステップ3 - 8を省略して直ちにステップ9に進んでください。

  3. 刻んだ組織を速やかに固定液1 mLに移し、チューブを転倒混和してください。

    注意:固定液1 mLで50 mgまでの組織を固定処理できます。50 mgを超える組織を処理する場合は、固定液とステップ7の1X PBS+PIC液のスケールアップをしてください。

  4. 室温で2分間インキュベートしてください。

    注意:繊維組織などの難しい組織を使用する場合や、存在量の少ないあるいは結合力の弱い転写因子やコファクターを解析する場合は、ホルムアルデヒドによる固定を10分間に延長することで結果が改善される可能性があります。

  5. 固定バッファー1 mLあたり 、10X Glycine #7005​​ 100 µLを加えてクロスリンクを停止させてください。チューブを転倒混和しながら室温で5分間インキュベートしてください。
  6. 2,000 x gで5分間、4°Cで遠心分離して、液体を除去してください。
  7. 1X PBS+PIC 1 mLに組織を再懸濁してください。
  8. 2,000 x gで5分間、4°Cで遠心分離して液体を除去し、ステップ9に進んでください。(​​SAFE STOP​) 固定した組織ペレットは、ホモジナイズする前に-80℃で6ヵ月まで保存することができます。
  9. 組織を1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) 1 mLに再懸濁し、サンプルをダウンスホモジナイザーに移してください。
  10. 組織片を、シングルセル懸濁液になるまで破砕してください。20-25ストロークで、組織の塊が見られなくなるまでホモジナイズしてください。
  11. 細胞懸濁液を1.5 mLチューブに移し、3,000 x gで3分間、室温で遠心分離して、細胞から上清を除去してください。
  12. 細胞ペレットを1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) 1 mLに再懸濁してください。
  13. 細胞懸濁液を3,000 x gで3分間、室温で遠心分離して、上清を除去してください。
  14. ステップ12と13を繰り返して、2度目の細胞ペレットの洗浄を実施してください。
  15. 各反応あたり、1X Wash Buffer (+ Spermidine + PIC) 100 µLを加え、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  16. 細胞100 µLを新しいチューブに移し取り、セクションVを実施するまで4°Cで保存してください。これがインプットサンプルです。

    注意:このインプットサンプルは後のプロトコールで55°Cでインキュベートするので、インキュベート中の蒸発を減少させるためセーフロックの付いた1.5 mLチューブを使用することを推奨します。

  17. 速やかにセクションIIに進んでください。

II. Concanavalin Aビーズと一次抗体の結合

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、実施するCUT&RUN反応の数に応じて比例的に増加させる必要があります。

  • Digitonin Solution #16359を取り出して90 - 100°Cで5分間温め、完全に解凍されて溶解していることを確認してください。解凍したDigitonin Solution #16359はすぐに氷上に置いてください。

    注意:Digitonin Solution #16359は-20°Cで保管する必要があります。使用中は氷上に置き、使用が終了したら-20°Cで保管してください。

  • 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012と100X Spermidine #27287を取り出して温めてください。両者とも必ず完全に解凍してください。Protease Inhibitor Cocktail #7012はDMSO含有のため、氷上に置くと再度凍結することにご注意ください。
  • Concanavalin A Bead Activation Bufferを氷上に置いてください。
  • 1反応あたり、100X Spermidine #27287 1 µL + 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012 0.5 µL + Digitonin Solution #16359 2.5 µL + Antibody Binding Buffer #15338 96 µLを調製し、氷上に置いてください (1反応あたり100 µL)。
  1. Concanavalin A磁気ビーズを、ビーズ懸濁液がチューブからこぼれないように注意深くピペッティングで上下させて再懸濁してください。CUT&RUN1反応あたりビーズ懸濁液10 µLを、新しい1.5 mLチューブに移してください。

    注意:ボルテックスを繰り返すとコンカナバリンAがビーズから外れてしまう場合があります。Concanavalin A磁気ビーズボルテックスしないでください。

  2. ビーズ懸濁液10 µLにつきConcanavalin A Bead Activation Buffer 100 µLを加えてください。ピペッティングで穏やかに上下させてビーズを混合してください。
  3. チューブを溶液が透明になるまで磁気ラックに置き (30秒間から2分間)、その後、上清を取り除いてください。

    注意:ビーズの損失を避けるため、液体はピペットを使用して取り除いてください。真空吸引はしないでください。

  4. チューブを磁気ラックから外してください。ステップ2と3をもう1度繰り返し、2度目のビーズの洗浄を実施してください。
  5. ビーズ懸濁液の最初の量と同量 (サンプルあたり10 µL) のConcanavalin A Bead Activation Bufferを加えて、ピペッティングで上下させて再懸濁してください。

    注意:生細胞や新鮮な組織 (非固定) サンプルの項目で推奨したように、細胞や組織の調製前にConcanavalin Aビーズを調製した場合、活性化したビーズは使用するまで氷上に保存してください。

  6. Concanavalin Aビーズが溶液中でよく懸濁されていることを確認してください。セクションI-A ステップ8、セクションI-B ステップ10、またはセクションI-C ステップ 17で調製し、洗浄した細胞懸濁液に、活性化したビーズ懸濁液を1反応あたり10 µL加えてください。
  7. ピペッティングで上下させてサンプルを十分に混合してください。室温で5分間インキュベートしてください。

    注意:Concanavalin A磁気ビーズは、塊になったりチューブの側面に付着したりすることがあります。ビーズはピペッティングで上下させて再懸濁してください。サンプルチューブの振盪は不要です。

  8. チューブを溶液が透明になるまで磁気ラックに置き (30秒間から2分間)、その後、上清を取り除いてください。
  9. チューブを磁気ラックから外してください。1反応あたりAntibody Binding Buffer (+ Spermidine + PIC + Digitonin) 100 µLを加えて、氷上に置いてください。
  10. 細胞とビーズの懸濁液100 µLを1反応分として、別々の1.5 mLチューブに分注して氷上に置いてください。
  11. 各チューブに適量の抗体を加えて、ピペッティングで上下させて静かに混合してください。

    注意:CUT&RUN反応に必要な抗体の量は異なりますので、それぞれに決定する必要があります。ポジティブコントロールのTri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mA #9751は、抗体2 µLをサンプルに加えてください。ネガティブコントロールのRabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control (CUT&RUN) #66362は、抗体5 µLをサンプルに加えてください。「抗体なし」のコントロールではMNaseによる非特異的な消化が高レベルにみられ、バックグラウンドが高くなるため、ネガティブコントロール抗体を使用することを強く推奨します。qPCR解析とNG-seq解析の両方で比較するため、インプットサンプルを使用することを推奨します。

  12. チューブを4°Cで2時間、インキュベートしてください。このステップは一晩まで延長できます。

    注意:Concanavalin A磁気ビーズは、塊になったりチューブの側面に付着したりすることがあります。ビーズはピペッティングで上下させて再懸濁してください。サンプルチューブの振盪は不要です。

III. pAG-MNase Enzymeの結合

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、実施するCUT&RUN反応の数に応じて比例的に増加させる必要があります。

  • Digitonin Solution #16359を取り出して90 - 100°Cで5分間温め、完全に解凍されて溶解していることを確認してください。解凍したDigitonin Solution #16359はすぐに氷上に置いてください。

    注意:Digitonin Solution #16359は-20°Cで保管する必要があります。使用中は氷上に置き、使用が終了したら-20°Cで保管してください。

  • 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012と100X Spermidine #27287を取り出して温めてください。両者とも必ず完全に解凍してください。Protease Inhibitor Cocktail #7012はDMSO含有のため、氷上に置くと再度凍結することにご注意ください。
  • 1反応あたり、Digitonin Bufferを3.2 mL (10X Wash Buffer #31415 320µL + 100X Spermidine #27287 32 µL + 200X Protease Inhibitor Cocktail #7012 16 µL + Digitonin Solution #16359 80 µL + Nuclease-free Water #12931 2.752 µL) 調製してください。

    注意:ここで調製したDigitonin BufferをセクションIIIとIVの両方で使用します。

  • 新しいチューブに、1反応あたりDigitonin Buffer (上記) 50 µLとpAG-MNase Enzyme 1.5 µLを加え、pAG-MNase液を調製してください。例えば反応10回分の場合、Digitonin Buffer 500 µLを新しいチューブに移し、pAG-MNase Enzyme 15 µLを加えてください。ピペッティングで上下させて混合し、氷上に置いてください。
  1. セクションII、ステップ12のチューブを溶液が透明になるまで磁気ラックに置き (30秒間から2分間)、その後、液体を除去してください。
  2. チューブを磁気ラックから外し、Digitonin Buffer (+ Spermidine + PIC + Digitonin) 1 mLを加えてください。チューブの壁に張り付いたビーズを確実に回収できるように、穏やかに上下にピペッティングしてビーズを再懸濁してください。
  3. チューブを溶液が透明になるまで磁気ラックに置き (30秒間から2分間)、その後、液体を除去してください。
  4. チューブを磁気ラックから外してください。各チューブにpAG-MNase溶液50 µLを加えて、ピペッティングで静かに上下させてサンプルを混合してください。
  5. チューブを4°Cで1時間、インキュベートしてください。

    注意:Concanavalin A磁気ビーズは、塊になったりチューブの側面に付着したりすることがあります。ビーズはピペッティングで上下させて再懸濁してください。サンプルチューブの振盪は不要です。

  6. 速やかにセクションIVに進んでください。

IV. DNAの消化と拡散

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、実施するCUT&RUN反応の数に応じて比例的に増加させる必要があります。

  • Digitonin Solution #16359を取り出して90 - 100°Cで5分間温め、完全に解凍されて溶解していることを確認してください。解凍したDigitonin Solution #16359はすぐに氷上に置いてください。

    注意:Digitonin Solution #16359は-20°Cで保管する必要があります。使用中は氷上に置き、使用が終了したら-20°Cで保管してください。

  • Calcium Chlorideを氷上に置いてください。
  • セクションIで固定したサンプルを用いる場合は、10% SDS Solution #20533が完全に溶解していることを確認してください。37°Cに温めることでSDSの沈殿が溶解し易くなります。
  • 1反応あたり、1X Stop Bufferを150 µL (4X Stop Buffer #48105 37.5 µL + Digitonin Solution #16359 3.75 µL + RNAse A #7013 0.75 µL + Nuclease-free Water #12931 108 µL) 調製してください。

    オプション: 1X Stop BufferにSample Normalization Spike-In DNAを加えることで、サンプルの標準化を行うことができます (例えば、セクションVIIの図8を参照してください)。qPCR解析の場合、1反応あたりSpike-In DNAを5 µL (5 ng) 加えることを推奨します。NG-seq解析の場合、Sample Normalization Spike-In DNAをNuclease-free Water #12931で100倍希釈してから、1反応あたりSpike-In DNAを5 µL (50 pg) 加えることを推奨します。1反応あたり100,000細胞または1 mgの組織を用いた場合、これによって標準化 (Spile-In) のリード数が全シーケンシングリード数の約0.5%となります。1反応あたりに用いた細胞数や組織重量が100,000 (細胞) または1 mg (組織) より多い場合や少ない場合は、標準化のリード数が全リード数の約0.5%になるように、比例計算でSample Normalization Spike-In DNAの用量を調整してください。

  1. セクションIII、ステップ6のチューブを溶液が透明になるまで磁気ラックに置き (30秒間から2分間)、その後、液体を取り除いてください。
  2. チューブを磁気分離ラックから外してください。セクションIIIで調製したDigitonin Buffer (+ Spermidine + PIC + Digitonin) 1 mLを加え、ピペッティングで穏やかに上下させてビーズを再懸濁してください。
  3. ステップ2-3をもう1度繰り返してください。
  4. チューブを溶液が透明になるまで磁気ラックに置き (30秒間から2分間)、その後、液体を除去してください。
  5. チューブを磁気ラックから外してください。各チューブに、セクションIIIで調製したDigitonin Buffer (+ Spermidine + PIC + Digitonin) を 150µL加え、ピペッティングで上下させて混合してください。
  6. 酵素消化を開始する前にチューブを氷上に5分間置いてください。
  7. 各チューブに冷却したCalcium Chlorideを3 µL加え、ピペッティングで上下させて混合し、pAG-MNaseを活性化してください。
  8. サンプルを4°Cで30分間インキュベートしてください。

    注意:酵素消化は4°Cの冷却ブロック上か冷蔵庫内で実施する必要があります。氷の温度は0°Cまで下がることがあり、これによって消化が制限されシグナルが低減する可能性があります。サンプルチューブの振盪は不要です。

  9. 各サンプルに1X Stop Buffer (+ Digitonin + RNAse A + Spike-in DNA [オプション]) を150 µL加え、ピペッティングで上下させて混合してください。
  10. チューブを振盪せずに37°Cで10分間インキュベートして、DNA断片を溶液中に放出させてください。
  11. 16,000 x gで2分間、4°Cで遠心分離して、チューブを溶液が透明になるまで磁気ラックに置いてください (30秒間から2分間)。
  12. 上清を新しい2 mLマイクロ遠心チューブに移してください。これが濃縮クロマチンサンプルになります

    注意:生細胞または新鮮な組織 (非固定) をCUT&RUNアッセイに用いた場合、ステップ14-15を省略して、直ちにステップ16に進んでください。

    注意:固定したサンプルは後のプロトコールで65°Cでインキュベートするので、インキュベート中の蒸発を減少させるためセーフロックの付いた2 mLチューブを使用することを推奨します。

  13. 固定した細胞または組織サンプルの脱クロスリンクを行うため、サンプルを室温まで温め、各サンプルに10% SDS Solution #20533を3 µL (終濃度0.1%)、Proteinase K (20 mg/mL) #10012を2 µL加えてください。

    注意:サンプルが室温まで温められていない場合、SDSが沈殿する可能性があります。

  14. 各サンプルをボルテックスで混和し、65℃で少なくとも2時間インキュベートしてください。インキュベーションは一晩まで延長することができます。インキュベーション後、サンプルを10,000x gで1秒間遠心して、チューブのキャップから蒸発した液を落としてください。
  15. サンプルの温度を室温に平衡化した後、セクションVIに進んでください。(​​SAFE STOP​) ここでサンプルを-20℃で1週間まで保存することができます。ただし、DNAの精製 (セクションVI) に移る前に、サンプルを必ず室温まで温めてください。

V.インプットサンプルの調製

下流解析でNG-sequencingを行う場合はライブラリーを調製するためにインプットDNAの断片化が必要ですが、下流解析がqPCRの場合は必須ではありません。ソニケーターを利用できない場合、qPCR解析にはインプットDNAを断片化せずに使用することを推奨しますが、断片化していないインプットDNAはサイズが大きすぎてDNAスピンカラムで精製できないので、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿で精製する必要があります。ソニケーターが利用できず、下流解析でNG-sequencingが必要な場合は、正常IgGを用いたCUT&RUNサンプルをネガティブコントロールとして使用することもできますが、正常IgGでは非特異的にDNAが濃縮される場合があり、理想的ではありません。代替法として、MNaseを利用してインプットDNAを断片化するプロトコールをhttps://cst-science.com/CUT-RUN-input-digestionで公開しています。

! すべてのバッファーの量は、調製するインプットサンプルの数に比例して増加させる必要があります。

実験開始前の準備:

  • DNA Extraction Buffer #42015を取り出して温めてください。必ず完全に解凍してください。
  • インプット1サンプルあたり、次の混合液を調製してください:Proteinase K #10012 2 µL + RNase A #7013 0.5 µL + DNA Extraction Buffer #42015 197.5 µL (インプット1サンプルあたり、合計200 µL)。
  1. セクションI-A ステップ7、セクションI-B ステップ9、またはセクションI-C ステップ16からのインプットサンプル100 µLに、DNA Extraction Buffer (+ Proteinase K + RNase A) 200 µLを加えてください。ピペッティングで上下させて混合してください。
  2. チューブを55°Cで振盪しながら1時間インキュベートしてください。
  3. チューブを氷上に5分間置いて、サンプルを完全に冷却してください。
  4. インプットサンプルをソニケーションすることにより、細胞を溶解してクロマチンを断片化してください。ソニケーション処理の合間は、サンプルを氷上に30秒間置いてください。

    注意:ソニケーションの条件は、Appendix Bのプロトコールに従って、さまざまなソニケーターの出力設定やソニケーション処理期間を試験することで、経験的に決定する必要のある場合があります。最適なソニケーション条件では、クロマチン断片のサイズが100-600 bpの範囲になります。VirTis Virsonic 100 Ultrasonic Homogenizer/Sonicatorで1/8インチプローブを用いた場合、出力設定6、15秒パルスを5セット行うことで、インプットクロマチンは十分に断片化されます。

  5. 18,500​ x gで10分間、4°Cで遠心分離して、溶解物を清澄化してください。上清を新しい2 mLチューブに移してください。
  6. 速やかにセクションVI (DNAの精製) に進んでください。(​​SAFE STOP​) ここでサンプルを-20℃で1週間まで保存することができます。ただし、DNAの精製 (セクションVI) に移る前に、サンプルを必ず室温まで温めてください。

VI. DNAの精製

DNAスピンカラム (セクションVI-A) または、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿 (セクションVI-B) で、インプットや濃縮クロマチンサンプルからDNAを精製してください。DNAスピンカラムを用いた精製は簡便かつ迅速で、35 bp以上のDNA断片を効率良くに回収できます (図7A、レーン2)。フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿による精製は比較的煩雑ですが、35 bp以下のDNA断片も回収できます (図7A、レーン3)。ただし、図7Bに示したように、CUT&RUNアッセイで得られるほとんどのDNA断片は、35 bp以上になります。このため、DNAスピンカラムはCUT&RUN反応による全DNA断片の98%以上を精製する、迅速かつ簡便な方法と言えます。

精製したDNAはNG-seq解析に進む前に、PicoGreenによるDNA定量アッセイによって定量できます。100,000細胞を用いたCUT&RUN反応で期待されるDNAの収量は、転写因子やコファクターの場合は1反応あたり0.5-10 ng、ヒストン修飾の場合は1反応あたり1-20 ngです。

図7

図 7 DNA精製にスピンカラムを用いた場合と、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿を用いた場合を比較しました。(A) 低分子量のDNAラダー混合物 (レーン1、未精製) を、DNA Purification Buffers and Spin Columns (ChIP、CUT&RUN、CUT&Tag) #14209 (レーン 2)、あるいは、フェノール/クロロホルム抽出とそれに続くエタノール沈殿 (レーン3) により精製し、4%アガロースゲルでの電気泳動により分離しました。ここで示したように、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿はすべてのサイズのDNA断片を効率的に回収し、DNAスピンカラムは35 bp以上のDNA断片を回収できます。(B) TCF4/TCF7L2 (C48H11) Rabbit mAb #2569を用いたCUT&RUNアッセイで得られたDNAを、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿で精製しました。ライブラリーのDNA断片のサイズを、Bioanalyzer (Agilent Technologies) を用いて解析しました。ライブラリーの構築で付加されたアダプター配列とバーコード配列の断片の長さは140 bpです。したがって、35 bpのDNA断片から始めると、ライブラリーの調製後には175 bpになります (図では青の垂直線で表示)。ここで示したように、断片の長さが175 bp以下 (開始長は35 bp以下) なのはCUT&RUN反応による全濃縮DNA断片の2%以下で、これは、スピンカラムを用いたDNA精製により、CUT&RUN反応による全DNA断片の98%以上が得られることを示唆しています。

A. スピンカラムを用いたDNAの精製

注意:DNA Purification Buffers and Spin Columns (ChIP,CUT&RUN,CUT&Tag) #14209 (本キットには含まれません) を下記の修正プロトコールで用いることで、インプットや濃縮クロマチンサンプルからDNAを精製できます。インプットクロマチンサンプルと濃縮クロマチンサンプル300 µLに5倍量 (1.5 mL) のDNA Binding Bufferを加える点を踏まえ、ステップ1から5までを修正しました。

実験開始前の準備:

  • !! 使用前に、DNA Wash Bufferにエタノール (96-100%) 24 mLを加えてください。このステップは、DNA精製の最初のセッティングの前に1度だけ実施してください。
  • 精製する濃縮クロマチンまたはインプット1サンプルあたり、DNA Purification Collection Tubeを1つ取り出してください。
  1. 各インプットサンプルまたは濃縮クロマチンサンプルにDNA Binding Buffer 1.5 mLを加え、ピペッティングで上下させて混合してください。

    注意:1サンプルあたり5倍量のDNA Binding Bufferを使用します。

  2. ステップ1のサンプル600 μLを、コレクションチューブにセットしたDNAスピンカラムに移してください。
  3. 18,500​ x gで30秒間遠心分離してください。
  4. コレクションチューブからスピンカラムを取り外し、液体を廃棄してください。空になったコレクションチューブにスピンカラムを再セットしてください。
  5. ステップ2-4を繰り返し、ステップ1のサンプル (1.5 mL) をすべてカラムにロードしてください。空になったコレクションチューブにスピンカラムを再セットしてください。
  6. DNA Wash Buffer 750 μLを、コレクションチューブにセットしたスピンカラムに加えてください。
  7. 18,500​ x gで30秒間遠心分離してください。
  8. コレクションチューブからスピンカラムを取り外し、液体を廃棄してください。空になったコレクションチューブにスピンカラムを再セットしてください。
  9. 18,500​ x gで30秒間遠心分離してください。
  10. コレクションチューブと液体を廃棄してください。スピンカラムは廃棄しないでください。
  11. スピンカラムにDNA Elution Buffer 50 μLを加え、新しい1.5 mLチューブにセットしてください。
  12. 18,500​ x gで30秒間遠心分離して、DNAを溶出してください。
  13. DNAスピンカラムを取り外し、廃棄してください。得られた溶出液が精製されたDNAです。(​​SAFE STOP​) サンプルは-20℃で6​ヵ月まで保存することができます。

B. フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿を使用したDNAの精製

注意:フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿には、本キットに含まれない次の試薬が必要です:フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール (25:24:1)、クロロホルム/イソアミルアルコール (24:1)、3M酢酸ナトリウム (pH5.2)、20mg/mLグリコーゲン、100%エタノール、70%エタノール、1X TEバッファーまたはNuclease-free Water #12931

  1. フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール (25:24:1) 300 μLをインプットサンプルと濃縮クロマチンサンプルに加え、30秒間ボルテックスして十分に混合してください。
  2. 16,000 x gで5分間遠心分離して、層に分離してください。上部の水層の大部分を (中間層を避けて) 注意深く新しいチューブに移してください。
  3. クロロホルム/イソアミルアルコール (24:1) 300 μLを水層サンプルに加え、30秒間ボルテックスして十分に混合してください。
  4. 16,000 x gで5分間遠心分離して、層に分離してください。上部の水層の大部分を (中間層を避けて) 注意深く新しいチューブに移してください。
  5. 3 M酢酸ナトリウム (pH 5.2) 25 µL、20 mg/mLグリコーゲン1 µL、100%エタノール600 µLを水層サンプルに加え、30秒間ボルテックスして混合してください。
  6. -80°Cに1時間、あるいは、-20°Cに一晩置いて、DNAを沈殿させてください。
  7. 4℃、16,000 x gで5分間遠心分離して、DNAをペレットにしてください。
  8. 上清を注意深く除去し、70%エタノールでペレットを洗浄してください。
  9. 4℃、16,000 x gで5分間遠心分離して、DNAをペレットにしてください。
  10. 上清を除去し、ペレットを風乾してください。
  11. 1X TEバッファーまたはNuclease-free Water #12931 50 µLにペレットを再懸濁してください。これが精製されたDNAです。(​​SAFE STOP​) サンプルは-20℃で6​ヵ月まで保存することができます。

VII. qPCRによるDNAの定量

推奨事項:

  • 本キットに含まれるSample Normalization Primer Setは出芽酵母のACT1遺伝子を増幅するプライマーセットで、酵母に由来するSample Normalization Spike-In DNAを定量してサンプルを標準化することができます。
  • 本キットにはコントロールプライマーとしてヒトまたはマウスのRPL30遺伝子を増幅するプライマーセット (#7014または#7015) が含まれており、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751を用いた濃縮クロマチンサンプルの定量的リアルタムPCRに使用できます。他の生物種でCUT&RUNを実施する場合は、その生物種に適切なコントロールプライマーを設計し、最適なPCR条件を決定してください。
  • プライマーの設定は非常に重要です。CUT&RUNの場合、PCR増幅産物のサイズは約60-80 bpとなるのが望ましいです。プライマーをデザインする場合、融解温度は約60°C、GC含量は約50%が最適です。
  • qPCRでヒストンや転写因子、コファクターの標的遺伝子を定量する場合、qPCRに用いる精製DNAは2 µLで十分です。
  • 非特異的なPCR産物の増幅を防ぐため、ホットスタート用Taqポリメラーゼの使用を推奨します。
  • コンタミネーションを防ぐため、ピペットチップはフィルター付きのものを使用してください。
  1. 使用するPCR装置のモデルに対応するPCRチューブあるいはPCRプレートに、適切なサンプル番号を記載してください。PCR反応には、ポジティブコントロールのtri-methyl-histone H3 Lsy4サンプル、ネガティブコントロールのRabbit IgGサンプル、DNAコンタミネーションに対するコントロールとしてDNAなしのチューブ、インプットDNAサンプルを含めてください。必要であれば、インプットDNAの段階希釈 (未希釈 - 100%インプット、1:5 - 20%インプット、1:25 - 4%インプット、1:125 - 0.8%インプット) を使用して標準曲線を作成し、増幅の効率を決定し、各免疫濃縮サンプル内のDNAの量を定量化することができます。

    注意:サンプルの標準化を実施する場合、Sample Normalization Primer Setを用いて解析できるのはCUT&RUNサンプルのみです。インプットDNAにNormalization Spike-In DNAは含まれません。

  2. PCRチューブあるいはPCRプレートのウェルに、適切なDNAサンプル2 μLを加えてください。
  3. 以下のように、マスターミックスを調製してください。各PCRに2-3の複製反応 (DupulicateまたはTriplicate) を設定してください。分量の損失を考慮して、十分量のマスターミックスを調製してください (1-2反応分を余計に調製するなど)。各PCRチューブあるいは各ウェルにマスターミックス18 μLを加えてください。
試薬 PCR反応1回分の分量 (18 μL)
Nuclease-free H2O #12931 6 µL
5 µMのプライマー 2 µL
SimpleChIP® Universal qPCR Master Mix #88989 10 µL
  1. PCR反応を以下のプログラムで開始してください:
a. 初期変性 95°Cで3分間
b. 変性 95°Cで15秒間
c. アニーリングおよび伸長 60°Cで60秒間
d. ステップb - cの繰り返し (合計40サイクル)
  1. リアルタイムPCR装置に付属のソフトウェアを使用して、定量結果を解析してください。代替法として、Percent Input法により下記の公式を用いて、免疫沈降の効率を算出することもできます。この方法では、各抗体反応で回収されたシグナルを、インプットクロマチン総量の割合 (%) で示します。インプットDNAサンプルの段階希釈を使用する場合、% Input (100%、20%、4%、0.8%) のLog(10) に対する標準曲線をプロットし、使用して各抗体反応で得られたシグナルを計算します。
    • Percent Input = 100% x 2(C[T] 100%Input Sample - C[T] IP Sample)
    • C[T] = CT = PCR反応の平均閾値サイクル
  2. サンプルの標準化を行う場合、Sample Normalization Primer SetのC[T]値が最も低いサンプルを選択し (例えば、下表のサンプル1)、次の公式を使用してその他のサンプルの標準化係数を算出してください。それぞれの標準化係数を使用して、使用したプライマーセットで得られたシグナルを補正してください。
qPCR解析におけるサンプルの標準化の例 (図8を参照)
Sample Normalization Primer SetのC[T] 値 **qPCRの標準化係数 標準化前のシグナル (ステップ5で算出したPercent Input) 標準化後のシグナル
サンプル1 23.31 2(23.31-23.31)=1.00 24.4% 24.4%/1.00=24.4%
サンプル2 24.24 2(23.31-24.24)=0.52 12.0% 12.0%/0.52=23.1%
サンプル3 25.08 2(23.31-25.08)=0.29 6.28% 6.28%/0.29=21.7%
サンプル4 26.30 2(23.31-26.30)=0.13 2.72% 2.72%/0.13=20.9%

**qPCRの標準化係数 = 2 (C[T] 選択したサンプル –C[T] その他のサンプル)

図8

図 8 qPCR解析におけるSpike-In DNAを用いたCUT&RUNシグナルの標準化。細胞数の異なるHCT116細胞を用い、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751 (上パネル) またはPhospho-Rpb1 CTD (Ser2) (E1Z3G) Rabbit mAb #13499 (下パネル) でCUT&RUNを実施しました。濃縮されたDNAを、SimpleChIP® Human GAPDH Exon 1 Primers #5516、SimpleChIP® Human β-Actin Promoter Primers #13653、SimpleChIP® Human Β-Actin 3' UTR Primers #13669、SimpleChIP® Human MyoD1 Exon 1 Primers #4490を用いたリアルタイムPCRで解析しました。各サンプルで回収されたDNAの量を、100,000細胞のインプットクロマチン総量 (1に相当) に対する相対量で示しました。標準化前の濃縮結果を左のパネルに示しました。最初の細胞数に比例させた量のSample Normalization Spike-In DNAを、各反応に加えました。各サンプルのSpike-In DNAのqPCR結果に基づき、CUT&RUNシグナルを100,000細胞のサンプルで標準化しました。標準化後の濃縮結果を右のパネルに示しました。

VIII. NG-seqライブラリーの調製

CUT&RUNキットを用いて調製したDNAサンプルは、直接NG-seqに使用できます。NG-seq用のDNAライブラリーの調製には、下流のシーケンシングプラットフォームに対応するプロトコールやキットを使用してください。Illumina®プラットフォームによるシーケンシングの場合は、DNA Library Prep Kit for Illumina® (ChIP-seq, CUT&RUN) #56795を、Multiplex Oligos for Illumina® (ChIP-seq, CUT&RUN) #29580または#47538と共に、CUT&RUN DNAのプロトコールに従って使用することを推奨します。

  • CUT&RUNのバックグラウンドシグナルは非常に低く、通常はヒストン修飾や転写因子の解析のシーケンシング深度は、1サンプルあたり500万リードで十分です。シーケンシング深度が1サンプルあたり1,500万以上の場合、リードの重複率が大幅に上昇します。シーケンシング深度が1サンプルあたり200万以下の場合、S/N比が低下します。
  • 使用した細胞数が20,000未満の場合は、一般にNGSで得られるリードのマッピング率が低下し、重複率が上昇します。このような場合、下流のデータ解析に十分なユニークマップされたリードを得るため、シーケンシング深度を上げることを推奨します。
  • サンプルの標準化を行う場合、全てのサンプルのCUT&RUNシーケンシングデータを、解析対象のリファレンスゲノム (ヒトなど) とサンプルの標準化に用いる酵母ゲノムの両方にマッピングしてください。酵母でユニークリード数が最も少ないサンプルを選択し (例えば、以表のサンプル1)、次の公式を使用してその他のサンプルの標準化係数を算出してください。それぞれの標準化係数を使用して、各サンプルの解析対象のリファレンスゲノムにアライメントしたユニークリード数を補正してください。その後のNGS解析には、補正後のデータセットを使用してください。
NGS解析におけるサンプルの標準化の例
酵母にアラインメントしたユニークリード数 NGSの標準化係数 解析対象のリファレンスゲノムにアラインメントしたユニークリード数 (標準化前) 解析対象のリファレンスゲノムにアラインメントしたユニークリード数 (標準化後)
サンプル1 219,275 219,275/219,275 = 1.00 5,077,747 5,077,747 X 1.00 = 5,077,747
サンプル2 411,915 219,275/411,915 = 0.53 9,896,671 9,896,671 X 0.53 = 5,268,306
サンプル3 816,235 219,275/816,235 = 0.27 17,842,773 17,842,773 X 0.27 = 4,793,320
サンプル4 1,120,826 219,275/1,120,826 = 0.20 23,836,679 23,836,679 X 0.20 = 4,663,339

NGSの標準化係数 = 選択したサンプルの酵母のユニークリードの数 / その他のサンプルの酵母のユニークリードの数

参考:細胞のジギトニンに対する感受性の決定

CUT&RUNプロトコールでは、ジギトニンをバッファーに添加することで細胞膜を透過化し、一次抗体やpAG-MNaseの細胞や核への進入を促進します。このため、バッファーが適量のジギトニンを含むことは、抗体と酵素の結合および標的ゲノム遺伝子座の消化に不可欠です。異なる細胞株は、ジギトニンの細胞透過化に対して異なる感受性を示します。本プロトコールで推奨されているジギトニンの量は、ほとんどの細胞株や組織の透過化に十分ですが、下記のプロトコールを用いて、使用する特定の細胞株や組織のジギトニン感受性試験を行うことができます。過剰なジギトニンの添加はアッセイに対して有害ではないことが分かっていますので、濃度曲線を作成する必要はありません。推奨されるジギトニンの量が使用する細胞株に十分かどうかを、簡単な試験により判断します。

実験開始前の準備:

  • Digitonin Solution #16359を取り出して、90-100°Cで5分間温めてください。必ず完全に解凍してください。解凍したDigitonin Solution #16359はすぐに氷上に置いてください。

    注意:Digitonin Solution #16359は-20°Cで保管する必要があります。使用中は氷上に置き、使用が終了したら-20°Cで保管してください。

  • 各細胞または組織サンプルあたり、Wash Bufferを100 µL (10X Wash Buffer #31415 10 µL + Nuclease-free Water #12931 90 µL) 調製してください。この試験では、スペルミジンやProtease Inhibitor Cocktailを加える必要はありません。
  1. 1.5 mLチューブに10,000 - 100,000細胞を回収してください。組織の場合は、1 mgの組織から解離させた細胞を回収してください (セクションI-Cステップ1-13)。
  2. 600 x gで3分間、室温で遠心分離して、液体を除去してください。

    注意:細胞ペレットが肉眼で確認できない場合は、ステップ2で細胞懸濁液を最初に遠心分離した後、ペレットを崩さない程度になるべく多くの培地を除去し、培地をいくらか残すことを推奨します。続くステップ3で、適量の1X Wash Bufferを加え、細胞懸濁液の総量を100 µLにしてください。

  3. Wash Buffer 100 µLに細胞ペレットを再懸濁してください。
  4. 1反応あたり、 Digitonin Solution #16359を2.5 µL加え、室温で10分間インキュベートしてください。
  5. 細胞懸濁液10 µLと0.4% Trypan Blue 10 µLを混合してください。
  6. 血球計算盤またはセルカウンターを使用して、染色された細胞数と総細胞数を計測してください。透過化が十分であれば、90%以上の細胞がTrypan Blueで染色されます。
  7. Trypan Blueで染色された細胞数が90%未満の場合は、バッファーに加えるDigitonin Solution #16359 の量を増加させて、90%以上の細胞が透過化され染色されるまでステップ1 - 5を繰り返してください。セクションI-IVでは、この量のDigitonin Solution #16359を使用してください。

APPENDIX B:インプットサンプルのソニケーションの最適化

DNAスピンカラムを使用して精製できるのは、10 kb以下に断片化されたゲノムDNAだけであることから、インプットDNAサンプルのソニケーションを推奨します。1 kb以下に断片化されたゲノムDNAは、NG-seq解析でネガティブコントロールとして使用できます。インプットDNAの長さが100-600 bpになるように、ソニケーションを最適化する必要があります。

NG-seqのコントロールには、インプットサンプルを使用することを推奨します。インプットサンプルは、偏りのない細胞ゲノムの代表として簡便に使用できるからです。IgGサンプルもNG-seqのネガティブコントロールとして使用できますが、非特異的な結合によりゲノムの特定領域で濃縮が見られる場合があります。qPCR解析の場合は、インプットDNAを断片化せずに使用することができます。ただし、断片化されていないDNAは、フェノール・クロロホルム抽出とエタノール沈殿によって精製する必要があります。

実験開始前の準備:

! すべてのバッファーの量は、調製するインプットサンプルの数に比例して増加させる必要があります。

  • DNA Extraction Buffer #42015 を取り出して室温で温め、完全に解凍されて溶解していることを確認してください。
  • インプット1サンプルあたり、1X Wash Bufferを2.1 mL (10X Wash Buffer #31415 210 µL + Nuclease-free Water #12931 1.89 mL) 調製し、細胞へのストレスを最小限にするため、室温に戻してください。このWash Bufferには、スペルミジンやProtease Inhibitor Cocktail #7012を加える必要はありません。
  • インプット1サンプルあたり、次の混合液を調製してください: Proteinase K #10012 2 µL + RNAse A #7013 0.5 µL + DNA Extraction Buffer #42015 197.5 µL (インプット1サンプルあたり200 µL)
  1. 1.5 mLチューブ中に、検討するソニケーションの各条件に対して、CUT&RUN実験で使用するインプットと同じ数の細胞 (5,000 - 100,000細胞) を回収してください。組織の場合、各ソニケーション条件あたり、CUT&RUN実験で使用するインプットと同じ量の組織から解離させた細胞を回収してください (セクションI-C ステップ1-13)。
  2. 600 x gで3分間、室温で遠心分離して、液体を除去してください。

    注意:使用細胞数が少なく (100,000細胞未満) 、遠心分離で集めた細胞ペレットが肉眼で確認できない場合は、下記ステップ3 - 5の洗浄操作を省略することを推奨します。ステップ2で細胞懸濁液を最初に遠心分離した後、ペレットを崩さない程度になるべく多くの培地を除去し、培地をいくらか残すことを推奨します。この場合、ステップ6で細胞懸濁液に適量の1X Wash Bufferを加え、各ソニケーション条件あたりの合計容量を100 µLにしてください。

  3. 1X Wash Buffer 1 mLを加えて、ピペッティングで静かに上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  4. 600 x gで3分間、室温で遠心分離して、液体を除去してください。
  5. ステップ3と4を繰り返して、もう1度細胞ペレットを洗浄してください。
  6. 各ソニケーション条件あたり、1X Wash Buffer 100 µLを加え、穏やかにピペッティングで上下させて細胞ペレットを再懸濁してください。
  7. 細胞懸濁液100 µLを、各ソニケーションの条件ごとに新しいチューブに分注してください。

    注意:このサンプルは、ステップ9で55°Cでインキュベートします。インキュベート中の蒸発を低減させるため、セーフロックの付いた1.5 mLチューブを使用することを推奨します。

  8. 各サンプルにDNA Extraction Buffer (+ Proteinase K + RNAse A) 200 µLを加えて、ピペッティングで上下させて混合してください。
  9. チューブを55°Cで振盪しながら、1時間インキュベートしてください。
  10. チューブを氷上に5分間置いて、サンプルを完全に冷却してください。
  11. お使いのソニケーターでの最適なソニケーション条件を決定するには、15秒間のパルスソニケーションのサイクル数を増加させながら、タイムコース実験を実施してください。ソニケーション処理の合間は、サンプルを氷上に30秒間置いてください。
  12. 18,500​ x gで10分間、4°Cで遠心分離して、ライセートを清澄化してください。上清を新しい2 mLチューブに移してください。
  13. セクションVIに従って、DNAスピンカラム、またはフェノール・クロロホルム抽出とエタノール沈殿で、DNAサンプルを精製してください。
  14. カラムからDNAを溶出するか、DNAペレットを1X TEバッファーまたはNuclease-free Water #12931 30 µLに再懸濁してください。
  15. 電気泳動でDNA断片のサイズを決定してください。100 bp DNAマーカーと共に15 µL以上のサンプルを、1%アガロースゲルにロードしてください。ゲル上のDNAスメアを観察するため、色素フリーのローディングバッファー (30% グリセロール) の使用を推奨します。
  16. 最適なサイズである100-600 bpのDNA断片が得られるソニケーション条件を選択して、セクションV ステップ4のインプットサンプルの調製を実施してください。最適なソニケーション条件が得られない場合は、ソニケーターの出力設定あるいはソニケーションのサイクル数を増減させて、ソニケーションのタイムコース実験を繰り返してください。

APPENDIX C:トラブルシューティングガイド

詳細なトラブルシューティングガイドについては、https://learn-and-support/troubleshooting/cutandrun-troubleshooting-guideをご覧ください。

更新:2019年11月

改訂日:2024年3月