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細胞増殖の概要

細胞増殖とは、細胞周期の最終段階である細胞分裂 (細胞質分裂) による、細胞数の増加です。細胞増殖は、正常な組織の発生と維持のため生涯にわたり必要です。

細胞増殖は厳密に制御されたプロセスであり、細胞周期チェックポイントを制御する様々な多数のタンパク質が存在します。がん細胞に見られる遺伝子変異は、制御不能な細胞増殖を引き起こします。

細胞増殖を測定する方法

細胞周期は、細胞のサイズがが大きくなるG1期、DNAが新たに合成されるS期、さらに細胞が成長するG2期、最終的に細胞が分裂するM期 (有糸分裂期)、の複数の段階からなります。いくつかの細胞は、細胞周期を終了し完全に分裂を停止します。これは、静止期あるいは休止期 (G0期) と呼ばれます。

細胞周期の段階

細胞周期の段階: G1期:大きさの増大、S期:DNAの合成と複製、G2期:大きさの増大、M期:有糸分裂と細胞分裂、G0期:休止。

細胞増殖を測定する最も一般的な方法として、細胞周期アッセイと増殖アッセイの2つがあり、これは、ヨウ化プロピジウムあるいはBrdUのDNAへの取り込みによるものです。

アッセイ 測定対象

BrdU Cell Proliferation Assay Kit

細胞増殖中のDNA合成量を測定します。
BrdU Cell Proliferation Assay Kit #6813:

BrdU Cell Proliferation Assay Kit #6813: 96ウェルプレートに異なる密度のC2C12細胞を播種し、無血清培地で一晩インキュベートしました。その後、異なる濃度の血清で増殖を刺激し、さらに24時間細胞をインキュベートしました。最後に、BrdU 10 μMをプレートに添加し、4時間インキュベートしました。

Cell Proliferation Tracer Kit

アミン反応性色素を利用して細胞分裂を測定します。細胞に取り込まれた色素が細胞分裂によって希釈されていく様子を、複数回の分裂にわたってフローサイトメトリーで追跡します。
Cell Proliferation Tracer Kit

 

ヨウ化プロピジウム

7-AAD

DNAのプロファイルに基づいて、細胞周期のさまざまな段階での細胞数を定量します。
Propidium Iodide (PI)/RNase Staining Solution #4087

Propidium Iodide (PI)/RNase Staining Solution #4087: Phospho-Histone H3 (Ser10) Antibody (Alexa Fluor® 488 Conjugate) #9708とPropidium Iodide (PI)/RNase Staining Solution (DNA含有量) を用いた、未処理Jurkat細胞のフローサイトメトリー解析。

細胞増殖を決定するマーカー

細胞増殖を測定するもう一つの一般的な方法は、細胞周期タンパク質や増殖に必要な他のタンパク質の発現量を調べることです。増殖細胞の一般的なタンパク質マーカーとして、以下のようなものがあります。

増殖マーカー 増殖マーカーの説明
PNCA (Proliferating cell nuclear antigen) DNA複製に重要な役割を果たす、DNAスライディングクランプタンパク質
PCNA (D3H8P) XP<sup>®</sup> Rabbit mAb #13110

PCNA (D3H8P) XP® Rabbit mAb #1311: ラット小腸を、PCNA (D3H8P) XP® Rabbit mAb (緑) を用いて免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。腸陰窩中の増殖細胞とβ-Catenin (L54E2) Mouse mAb (IF Preferred) #2677 (赤) の染色を示しています。DRAQ5 #4084 (蛍光DNA染料) は青の疑似カラーで示しました。

Ki-67 非核ヒストンタンパク質は、増殖細胞でのみ高いレベルで発現します
Ki-67 (D2H10) Rabbit mAb (IHC Specific) #9027

Ki-67 (D2H10) Rabbit mAb (IHC Specific) #9027: パラフィン包埋ヒト結腸がんを、Ki-67 (D2H10) Rabbit mAb (IHC Specific) を用いて、免疫組織化学染色で解析しました。

リン酸化Histone H3 増殖細胞でリン酸化される核ヒストンタンパク質
Phospho-Histone H3 (Ser10) (D7N8E) XP<sup>®</sup> Rabbit mAb #53348

Phospho-Histone H3 (Ser10) (D7N8E) XP® Rabbit mAb #53348: 未処理あるいはNocodazole #2190処理 (100 ng/mL、16時間) したHeLa 細胞の抽出物を、Phospho-Histone H3 (Ser10) (D7N8E) XP® Rabbit mAb (上) あるいは Histone H3 (D1H2) Rabbit mAb #4499 (下) を用いてウェスタンブロッティングで解析しました。抗体のリン酸化特異性が、ライセートをλホスファターゼでさらに処理することによって示されました。

β-Galactosidase活性 β-Galactosidase活性は、増殖していない老化細胞に関与しています
Senescence β-Galactosidase Staining Kit #9860:

Senescence β-Galactosidase Staining Kit #9860: 細胞集団倍加36時における、pH 6での老化WI38細胞のβ-Galactosidase染色 (右)。