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CUT&RUNのよくある質問

質問

回答

1回のCUT&RUNアッセイで使用できる細胞数に上限はありますか?

社内検証では、複数のヒストン修飾、転写因子、コファクターにおいて、アッセイごとに100,000細胞を用いることで標的遺伝子座を濃縮できることが分かっています。しかしながら、ビーズや抗体、バッファーをスケールアップすることなく、アッセイごとの細胞数は250,000まで増やすことができます。

CSTのCUT&RUN Assay Kitを用いる場合に必要な最少細胞数を教えてください。

CSTのCUT&RUN Assay Kit #86652を用い、わずか12,500細胞でヒストン修飾、転写因子、コファクターが解析できることを示しました (図参照)。しかし、このキットを用い、この細胞数で全ての標的タンパク質を解析できることを保証することはできません。

CUT&RUNアッセイシグナルの標準化

CUT&RUNアッセイシグナルの標準化 Spike-In DNAを用いて、qPCR解析でのCUT&RUNシグナルを標準化しました。CUT&RUN Assay Kit #86652を用いて、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751 (上のパネル) あるいはPhospho-Rpb1 CTD (Ser2) (E1Z3G) Rabbit mAb #13499 (下のパネル) による、異なる細胞数のHCT 116細胞のCUT&RUNアッセイを実施しました。SimpleChIP® Universal qPCR Master Mix #88989を用いて濃縮したDNAをリアルタイムPCRで解析しました。PCRに用いたプライマーセットはそれぞれ、SimpleChIP® Human GAPDH Exon 1 Primers #5516SimpleChIP® Human β-Actin Promoter Primers #13653SimpleChIP® Human β-Actin 3' UTR Primers #13669SimpleChIP® Human MyoD1 Exon 1 Primers #4490です。CUT&RUNで回収されたDNA量を、Inputクロマチンに対する相対量 (100,000細胞の総クロマチン量を100%とした相対値) で示しました。標準化されていない濃縮を左のパネルに示します。各反応にSpike-In DNAを最初の細胞数に比例して加えました。各サンプルのSpike-In DNAからのqPCRシグナルに基づき、CUT&RUNシグナルを100,000細胞のサンプルに標準化しました。標準化した濃縮を右のパネルに示します。

細胞株が異なるとアッセイの効率は変わりますか?

社内検証で、ヒトとマウスの数十種類の接着細胞株、浮遊細胞株を試しています。現在までのところ、異なる細胞株の間で目立った効率の違いはみられていません。

接着細胞株を用いる場合の注意点はありますか?浮遊細胞株の場合はどうですか?

接着細胞株の場合は、まず細胞をディッシュから剥離する必要があります。細胞の剥離にはトリプシンを使用することを推奨しています。Accutaseも使用可能ですが、細胞ペレットの粘着性が弱くなるために、洗浄のステップで細胞をロスしやすくなります。浮遊細胞の場合はより簡単です。血球計算盤または自動細胞数測定器で細胞をカウントし、必要数の細胞を回収してください。接着細胞と浮遊細胞の間で、アッセイの効率に大きな違いはみられていません。

心臓、脳などの組織サンプルや、マウス胚などでCUT&RUNを行うことはできますかか?

組織サンプルでCUT&RUNアッセイキットの試験はまだ行っていないので、どのように機能するか分かりません。組織でCUT&RUNを行う場合は、実験前に組織を単細胞の懸濁液にしなければなりません。Derek H. Janssens et al. (2018; PMID30577869) の文献によると、脳組織を急速凍結してWash buffer中で融解することにより、組織を細かく破砕してアッセイに使用しています。脳組織を破砕して単細胞にするのは比較的容易で、短時間で行うことができます。その他のより繊維質の多い組織の場合は、破砕とCUT&RUNを行う前に適切な固定を行い、消化したDNAを細胞から単離した後に脱クロスリンクのステップを入れた方が良いかも知れません。

植物細胞でもCUT&RUNを行うことができますか?何か知見があれば教えてください。

CSTは植物細胞でCUT&RUN Assay Kitの検証を行っていません。しかしながら、Xiao-Yu Zheng et al. (2019; PMID30719569)に、植物組織の前処理と、核を調製してCUT&RUNに用いる方法が記載されています。CSTのキットもこのステップを経れば、植物サンプルでもご使用いただける可能性はあります。この場合、ジギトニン処理は必要ないと考えられますが、 植物細胞が100%均質でない場合には、細胞膜の透過性を上げるためにジギトニン処理を行った方が良い可能性もあります。

コンカナバリンAビーズが、CUT&RUN実験で「凝集する」 ことがあるのですが、注意事項はありますか?

コンカナバリンAビーズは、特に細胞が溶解されたときに凝集し易くなります。細胞の生存や増殖に異常が無いことを確認し、細胞洗浄の操作は穏やかに行ってください。細胞懸濁液とコンカナバリンAビーズの室温でインキュベーション時間に注意し、5分間を超えないようにすることを推奨します。とはいえ、CSTの社内試験では、ビーズの凝集は最終的な結果に悪影響を及ぼさないことが分かっています。

異なる細胞ごとにMNaseによる消化の条件を最適化する必要はありますか?

CSTが最適化したCUT&RUNアッセイの消化条件は、接着細胞、浮遊細胞を問わず複数の細胞株で機能します。また、pAG-MNaseや消化の時間を増減させても、クロマチン消化に大きな変化はみられません。Peter Skene et al. (2018; PMID29651053) にも、CSTと同様の見解が記載されています。

実験全体を通して、洗浄バッファーにジギトニンを加える必要はありますか?これが細胞にストレスを与えることは無いですか?

はい。実験全体を通して全てのバッファーにジギトニンを加えておく必要があります。これは、ジギトニンによる膜の透過化は可逆的であるからです。バッファーからのジギトニンの除去や濃度の低下は、抗体やpAG-MNaseの核への進入に影響を及ぼす可能性があります。細胞はジギトニン処理時間よりジギトニン濃度に高感受性です。推奨ジギトニン濃度で細胞の広範な溶解がみられる場合は、CUT&RUN Assay KitプロトコールのAppendix Aの記載に従い、ジギトニン濃度を最適化してください。

CSTのCUT&RUN Assay Kitは単離した核でも使用できますか?

CUT&RUN Assay Kitは全細胞で使用できるように最適化されており、接着細胞、浮遊細胞を問わず多くの細胞株で使用できます。通常、CUT&RUNでは核を予め単離する必要はありませんが、Concanavalin A beadsは細胞表面と核表面の両方に存在する糖タンパク質に結合するため、CSTのキットは予め単離した核で使用することもできます。細胞壁をもつ酵母や植物細胞など、ジギトニンで効率的に透過化できない細胞の場合のみ、予め核を単離する必要があります。

CUT&RUNにはユークロマチンやヘテロクロマチンに対するバイアスはありますか?

いいえ。CSTの社内検証でユークロマチンやヘテロクロマチンに対するバイアスはみられません。CUT&RUNでは標的抗体に特異的抗体がpAG-MNaseをリクルートし、ユークロマチン、ヘテロクロマチンを問わず、抗体に直接隣接するクロマチンを消化します。この場合、pAG-MNaseを積極的に繋ぎ止めることで、アクセスが難しいヘテロクロマチンの消化も可能になります。CSTのCUT&RUN Assay Kit #86652は、アクセスし易いユークロマチンの転写活性化ヒストン修飾 (Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751参照)、転写を活性化する転写因子 (NF-kB p65 [D14E12] XP® Rabbit mAb #8242)参照) と同様に、アクセスし難いヘテロクロマチンの転写抑制ヒストン修飾 (Tri-Methyl-Histone H3 [Lys27] [C36B11] #9733参照)、不活性なヘテロクロマチンに結合するポリコーム抑制複合体タンパク質 (EZH2 [D2C9] XP® Rabbit mAb #5246およびRING1B [D22F2] XP® Rabbit mAb #5694参照) に対する抗体で使用できることが示されています。

アクセスし易いクロマチン (標的:H3K4me3)

標的:H3K4me3 (アクセスし易いクロマチン): CUT&RUN Assay Kit #86652を用い、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751によるHCT116細胞のCUT&RUNを行いました。DNAライブラリーは、SimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。図は、H3K4me3の既知の標的遺伝子であるGAPDH (下パネル) および、これを含む12番染色体全体への結合 (上パネル) を示しています。

アクセスし易いクロマチン (NF-κB p65)

標的:NF-κB p65 (アクセスし易いクロマチン): CUT&RUN Assay Kit #86652を用い、NF-κB p65 (D14E12) XP® Rabbit mAb #8242によるhTNF-α #8902 処理 (30 ng/mL、1時間) したHeLa細胞のCUT&RUNを行いました。DNAライブラリーは、SimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。図は、NF-κB p65の既知の標的遺伝子であるLAMC2 (下パネル) および、これを含む1番染色体全体への結合 (上パネル) を示しています。

アクセスし難いヘテロクロマチン (標的:Tri-Methyl-Histone H3

標的:Tri-Methyl-Histone H3 (アクセスし難いへテロクロマチン): CUT&RUN Assay Kit #86652を用い、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys27) (C36B11) Rabbit mAb #9733によるHeLa細胞のCUT&RUNを行いました。DNAライブラリーは、SimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。図は、TCEA2 (下パネル) および、これを含む20番染色体全体への結合 (上パネル) を示しています。

アクセスし難いヘテロクロマチン (標的:Ezh2

標的:Ezh (アクセスし難いヘテロクロマチン): CUT&RUN Assay Kit #86652を用い、Ezh2 (D2C9) XP® Rabbit mAb #5246によるNCCIT細胞のCUT&RUNを行いました。DNAライブラリーは、SimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。図は、EZH2の既知の標的遺伝子であるHoxA (下パネル) および、7番染色体全体への結合 (上パネル) を示しています。

アクセスし難いヘテロクロマチン (標的:RING1B)

標的:RING1B (アクセスし難いヘテロクロマチン): CUT&RUN Assay Kit #86652を用い、RING1B (D22F2) XP® Rabbit mAb #5694またはBmi1 (D42B3) Rabbit mAb #5856によるNCCIT細胞のCUT&RUNを行いました。DNAライブラリーは、SimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。RING1BとBmi1はともにPRC1の構成因子です。図は、HOXD (上パネル) 遺伝子および、COMMD3 (下パネル) 遺伝子への結合を示しています。

CUT&RUN実験が機能していることを確認するためには、どのようなコントロールを用いれば良いでしょうか?

CUT&RUNの後、qPCRで解析する場合とNG-seqで解析する場合のどちらでも、CUT&RUNで検証済みのポジティブコントロール抗体 (Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751など) とネガティブコントロール抗体 (Rabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control Antibody #66362など) を使用することをお勧めします。これらの抗体はSimpleChIP® Human RPL30 Exon 3 Primers #7014またはSimpleChIP® Mouse RPL30 Intron 2 Primers #7015と組み合わせて使用することで、ご希望の標的に特異的な抗体の性能に関わらず、CUT&RUNアッセイ自体が機能していることを確認できます。これらすべてのコントロールはCUT&RUN Assay Kit #86652に同梱されています。

CUT&RUN qPCRコントロールデータ

CUT&RUN qPCRコントロールデータ: CUT&RUN Assay Kit #86652またはSimpleChIP® Plus Enzymatic Chromatin IP Kit (Magnetic Beads) #9005を用い、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751またはRabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control (CUT&RUN) #66362によるHCT116細胞のCUT&RUN (左パネル) およびChIPアッセイ (右パネル) を行いました。SimpleChIP® Human GAPDH Exon 1 Primers #5516​およびSimpleChIP® Human α Satellite Repeat Primers #4486を用いたリアルタイムPCRにより、濃縮したDNAを解析しました。各サンプルの免疫沈降されたDNAの量を、Inputクロマチンの総量 (1に相当) に対する相対量で示しました。

CUT&RUN NGSコントロールデータ

CUT&RUN NGSコントロールデータ: CUT&RUN Assay Kit #86652またはSimpleChIP® Plus Enzymatic Chromatin IP Kit (Magnetic Beads) #9005を用い、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751によるHCT116細胞のCUT&RUNおよびChIPアッセイを行いました。DNAライブラリーは、SimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。12番染色体の広域にわたる濃縮の比較を上パネルに、H3K4me3の既知の標的であるGAPDH遺伝子の濃縮の比較を下パネルに示しました。InputトラックにはCUT&RUNのInputサンプルから得られたデータを示しました。

標的タンパク質に対するCUT&RUN検証済み抗体が見つからない場合、CUT&RUNアッセイに用いる抗体を選択する最良の方法は何ですか?

ChIPまたはChIP-seq検証済み抗体から始めることを推奨しますが、ChIP検証済み抗体のすべてがCUT&RUNアッセイで機能するとは限らないことが分かっています。他の方法として、Peter J. Skene et al. (2017; PMID28079019) は、CUT&RUNにおける抗体の結合は無傷の核環境で行われ、免疫蛍光染色アッセイにおける抗体の結合条件に類似していることから、免疫蛍光染色アッセイで検証済みの抗体を試すことを提案しています。

どのタイプのSpike-In DNAを推奨しますか?

pAG-MNaseに混入した大腸菌DNAをサンプルの標準化に利用するプロトコールもあります。しかし、pAG-MNaseに混入している大腸菌DNAの量はロットごとに異なるため、ロットが変わる際に問題になることがあります。CSTはこれとは別の、酵母Spike-In DNAサンプルを使用することを推奨しています。酵母Spike-In DNAサンプルは、CUT&RUN Assay Kit #86652およびCUT&RUN pAG-MNase and Spike-In DNA #40366に同梱されており、全てのロットでCUT&RUNに最適化した試験を行っています。この酵母Spike-In DNAは、標準化の作業においてロットごとの一貫性を向上させます。

Spike-In DNAを用いるとCUT&RUNアッセイをどのように標準化できるのでしょうか?

酵素消化後、DNA精製前に、予め断片化した酵母ゲノムDNAをCUT&RUNサンプルに一定量加えます。このSpike-In成分によって、DNA精製、qPCR、ライブラリー調製、シーケンシングのサンプルごとの効率の違いを標準化できます。CUT&RUN Assay Kitに同梱されているプロトコールに、qPCRとNG-seqそれぞれについてSpike-In DNAの詳細な使用法が記載されています。qPCRとNG-seqでは必要なSpike-In DNAの量が大きく異なりますので、プロトコールをよくご確認ください。

CUT&RUNで得られるDNAの予測されるサイズ分布を教えてください。

ヒストン修飾に対する抗体を用いた場合は、通常、150bp (モノヌクレオソームのサイズ) と、ヌクレオソーム・ラダーに相当するサイズ (150、300、450、600bp) のDNA断片がみられます。転写因子に対する抗体のを使用した場合には、様々なサイズのDNA断片がみられ、その大半は35 bp以上です。

標的:H3K4me3)

標的:H3K4me3: Tri-Methyl-Histone H3 (Lys4) (C42D8) Rabbit mAb #9751によるHCT116細胞のCUT&RUNを行いました。DNAライブラリーは、SimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。ライブラリーのDNA断片のサイズを、Agilent Bioanalyzer®を用いて解析しました。ライブラリーの構築で付加されたアダプター配列とバーコード配列の断片の長さは140 bpです。こちらに示したように、切り出されたDNAにはモノヌクレオソーム単位の断片が高度に濃縮されています (ピークは約300 bp)。

標的:TCF4/TCF7L2

標的:TCF4/TCF7L2: TCF4/TCF7L2 (C48H11) Rabbit mAb #2569を用いCUT&RUNアッセイで得られたDNAを、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿で精製しました。ライブラリーのDNA断片のサイズを、Bioanalyzer (Agilent Technologies) を用いて解析しました。ライブラリーの構築で付加されたアダプター配列とバーコード配列の断片の長さは140 bpです。

転写因子でCUT&RUNを行う場合は、得られた低分子DNAがDNAアフィニティーカラムによる精製では失われてしまうため、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿で精製すべきであるという文献を読みました。これは本当ですか?

CUT&RUNで得られたDNAの精製には、CSTのDNA Purification Buffers and Spin Columns (for ChIP & CUT&RUN) #14209を使用することを推奨します。このスピンカラムを用いることで、CUT&RUNで得られたDNAを簡便かつ経済的に精製できます。対照比較実験で、CSTのDNAスピンカラムは35 bp以上のDNA断片を効率的に回収できることが分かっています。フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿で精製した場合は、より小さなDNA断片をより効率的に回収できますが、これらのサンプルから調製したDNAライブラリーを解析すると、CUT&RUNで得られるDNA断片全体の98%をDNAカラムで回収できることが分かりました。フェノール/クロロホルムで抽出しエタノールで沈殿させたサンプルに含まれるDNA断片のうち、サイズが35bp以下のものは約2%でした。したがってCSTのDNAスピンカラムは、CUT&RUNで得られるDNA断片を精製する簡便かつ経済的で、頑強な方法と言えます。すべてのスピンカラムで同様のサイズレンジのDNA断片を回収できるわけではないので、他社のDNAスピンカラムを使用する場合は、そのカラムで保持できるDNA断片の最小のサイズを確認してください。断片サイズのカットオフが大きい場合は、結果に悪影響を与える可能性があります。

DNA精製におけるフェノール/クロロホルム抽出とスピンカラムの比較

DNA精製におけるフェノール/クロロホルム抽出とスピンカラムの比較 DNA精製にスピンカラムを用いた場合と、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿を用いた場合を比較しました。(A) 精製l前のlow range DNA ladder mix (Lane 1) と、DNA Purification Buffers and Spin Columns (ChIP, CUT&RUN) #14209で精製したもの (Lane 2)、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿で精製したもの (Lane 3) を、4%アガロースゲル電気泳動で分離しました。こちらに示したように、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿は全てのサイズのDNA断片を効率的に回収しますが、DNAスピンカラムは35 bp以上のDNA断片を回収します。(B) TCF4/TCF7L2 (C48H11) Rabbit mAb #2569を用いたCUT&RUNアッセイで得られたDNAを、フェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈殿で精製しました。ライブラリーのDNA断片のサイズを、Bioanalyzer (Agilent Technologies) を用いて解析しました。ライブラリーの構築で付加されたアダプター配列とバーコード配列の断片の長さは140 bpです。したがって、35 bpのDNA断片から始めると、ライブラリーの調製後には175 bpになります (図では青の垂直線で表示)。こちらに示したように、サイズが175 bp以下 (開始長は35 bp以下) のものはCUT&RUNで濃縮される全DNA断片の2%以下で、CUT&RUNで得られるDNAの98%以上をスピンカラムで効率的に回収できることが示唆されます。

CUT&RUNで濃縮されたDNAはqPCRで解析できますか?それともNG-seqでデータを解析する必要がありますか?

CSTのCUT&RUN Assay Kitは、下流のqPCR解析に適合します。キットのプロトコールには、CUT&RUNで得られたDNAをqPCRで定量する際に用いる、Inputの調製法とそれに必要な試薬が含まれています。CUT&RUNで得られるDNAをqPCRで解析する場合は、増幅するDNAの長さが60bpから80bpになるようにプライマーを設計することを推奨しています。

NG-Seqに進む前に、CUT&RUNで得られたDNAの品質をチェックをする方法を教えてください。

NG-seqの前に濃縮されたDNAをqPCRで解析することで、CUT&RUNのアッセイの品質を確認することができます。CSTのCUT&RUN Assay Kitは、下流のqPCR解析に適合します。

CUT&RUNで得られたDNAフラグメントのサイズを解析して品質チェック (QC) を行いたいのですが、Agilent Bioanalyzer®で解析するために十分な収量が得られません。どのようにすべきでしょうか?

BioanalyzerでDNAフラグメントのサイズを解析する場合、最適の結果を得るには5 - 10 ngのDNAが必要になります。しかし、CUT&RUN実験が成功した場合でも、開始細胞から得られるDNAの収量が1 ng未満になることは少なくありません。特に転写因子やコファアクターの解析では、このように低収量になることがよくあります。CSTはこのように低収量な場合でも、堅牢なシーケンシングデータが得られることを確認しています。このような場合は、そのままDNAシーケンシングライブラリーの調製を進め、得られたDNAライブラリー (通常、濃度は10 - 40 ng/μLとなります) を用いて解析することをお勧めします。NG-seqの前にCUT&RUN実験で得られたDNAのQCを行う場合は、DNA収量に大きく依存する方法ではなく、qPCRで既知の標的遺伝子の濃縮をいくつか解析することをお勧めします。

CUT&RUN-qPCR実験を行う場合、最適なDNAコントロールは何でしょうか?

CUT&RUNの後にqPCRで解析する場合は、正常IgGで濃縮されたサンプルをネガティブコントロールとして用い、標的に特異的な抗体でIgGのバックグラウンドの何倍濃縮されたかを計算することもできます。しかし、通常はIgGサンプルに含まれるDNAはごく微量であり、また、使用した標的に特異的な抗体がアッセイでどの程度効率的に機能したかを示す良い指標にはなりません。したがって、CUT&RUN Assay Kitのプロトコールに記載されている通り、InputイクロマチンDNAサンプルを調製して利用することを推奨しています。こうすることで、標的に特異的な抗体で濃縮されたDNAを総Input DNAのパーセントで表現し、標的に特異的な抗体がアッセイでどの程度効率的に機能したかを直接的に判断することができます。

NG-seq解析を行う場合、CUT&RUNで得られるDNAの必要量を教えてください。

これは、DNAライブラリー調製キットの感度に依存します。CUT&RUNで得られるDNAの反応ごとの典型的な収量は0.6から6 ngです。CSTのSimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795は、わずか0.5 ngのDNAからライブラリーを調製できます。ライブラリー調製に用いるDNA量が少ない場合は、ライブラリーを増幅するPCRのサイクル数を最大20サイクルまで増やすこともできます。

CUT&RUNのDNAライブラリーの調製に推奨するキットはありますか?

CUT&RUNやChIPで得られるDNAのライブラリーを調製する場合は、CSTのSimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を使用することを推奨しています。このキットは、SimpleChIP® ChIP-seq Multiplex Oligos for Illumina® (Dual Index Primers) #47538またはSimplechIP® ChIP-seq Multiplex Oligos for Illumina® (Single Index Primers) #29580と組み合わせて使用してください。

ライブラリー調製の際、DNAのサイズセレクションを推奨していますか?

いいえ、CUT&RUNやChIP-seqのライブラリー調製の際、DNAのサイズセレクションを推奨していません。CST独自の経験とユーザー様のフィードバックから、サイズセレクションによってライブラリーの多様性と収量が大きく損なわれることが分かっています。高分子DNA (>1 kb) が気になる場合は、ライブラリー調製の際、アダプターを結合したDNAサンプルの増幅ステップで、伸長時間を短くするようにしてください。CSTはCUT&ARUNのライブラリー調製における伸長反応は10から15秒間で十分であることを確認しています。このような短い伸長時間では、高分子 (>1kb) のDNAは増幅されません。

CUT&RUN NG-seq実験を行う場合、最適なDNAコントロールは何でしょうか?

CUT&RUNの後にNG-seqで解析を行う場合は、正常IgGで濃縮されたサンプルをネガティブコントロールとして使用することもできます。しかし、正常IgGから調製したDNAライブラリーの多様性は非常に低く、一見、CUT&RUNアッセイでゲノム上の特定の領域が濃縮されたように見えるため、NG-seqのデータ解析が複雑になるという情報を、外部の科学者から得ています。このため、CUT&RUN Assay Kitのプロトコールに記載されている通り、InputクロマチンDNAサンプルを調製して利用することを推奨しています。このInput DNAサンプルから調製したDNAライブラリーの多様性は高く、NG-seq解析により適したネガティブコントロールとして機能します。

300万から500万リードのNG-seqシーケンシング深度がCUT&RUN解析に十分であると、どのように決めたのですか?

こちらはCSTで何百ものCUT&RUNサンプルを解析した結果に基づいたものです。シーケンシング深度が300万以下の場合、得られるピークの数は少なすぎ、シーケンシング深度を増加させるにつれてピーク数も増加します。必要に応じて、サンプルあたりのシーケンシング深度を1,000万リードまで増やすことができます。サンプルあたりのシーケンシング深度が1,500万を超えるとシーケンシングリードの重複率が大きく増加します。

シーケンシング深度の比較 (標的:H3K27me3)

シーケンシング深度の比較 (標的:H3K27me3): CUT&RUN Assay Kit #86652を用い、Tri-Methyl-Histone H3 (Lys27) (C36B11) Rabbit mAb #9733によるHeLa細胞のCUT&RUNを行いました。DNAライブラリーはSimpleChIP® ChIP-seq DNA Library Prep Kit for Illumina® #56795を用いて調製しました。同じライブラリーDNAを、図中に示した異なるシーケンシング深度でNGS解析しました。図は、11番染色体全体 (上トラック)、MYOD1遺伝子 (中トラック)、MYT1遺伝子 (下トラック) への結合を示しています。

ご不明点は、CSTのエピジェネティックスアプリケーショングループ [保護されたメール] まで直接お問い合わせください。

Christopher Fry, PhD
エピジェネティクス製品開発部長

Fang Chen, PhD
エピジェネティクスアプリケーションチーム グループリーダー


更新:2021年1月

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