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免疫表現型解析の基本

免疫細胞の分化とCDマーカー

免疫細胞は、骨髄、末梢血、胎盤に見られる造血幹細胞から分化します。造血幹細胞はまず、骨髄系共通前駆細胞 (CMP) とリンパ系共通前駆細胞 (CLP) に分化することができます。CMPからは主に自然免疫系、CLPからは主に適応免疫系の細胞が分化します。

分化の様々な段階で、白血球の細胞表面に特異的に発現するCD (cluster of differenciation) 抗原を抗体で認識し、これらを区別することができます。CD抗原の発現パターンをもとに免疫細胞をクラス分けすることができ、また、これ利用することで不均一な細胞集団から特定の細胞を検出することができます。例えば、T細胞に共通するマーカーにCD3の発現がありますが、T細胞はさらに、CD8を発現する細胞傷害性T細胞、CD4を発現するヘルパーT細胞に分類することができます。

免疫組織化学染色 (IHC) による免疫表現型解析

免疫組織化学染色で免疫表現型解析を行うことで、タンパク質の発現とともに、フローサイトメトリーでは不可能な組織構造の評価を行うことができます。さらに、IHCによる観察からは、フローサイトメトリーでは得ることのできない細胞生物学的な知見や合併症の情報などが得られる場合があります。

汎用される免疫細胞マーカーを、追加情報と関連製品情報へのリンクと共に、こちらの表にまとめました。

マウスの免疫表現型解析

マウスモデルは、遺伝子学的、生物学的にヒトに類似した、前臨床研究に非常に有効な研究ツールです。しかしながら、マウスモノクローナル抗体をマウス組織上で使用する場合、二次抗体に由来するバックグラウンドが生じます。ラビットモノクローナル抗体はこの問題を解消します。CSTは、IHCによる免疫表現型解析で高い特異性と感度を持ち、信頼性の高い結果が得られるマウス反応性ラビットモノクローナル抗体の製品ラインナップを現在拡大中です。CSTは、同系マウス疾患モデル、正常マウスの組織を用いて、前臨床モデルでの特異性を確認しています。

F4/80を試験するIHCマウスモデル 70076

F4/80: F4/80 (D2S9R) XP® Rabbit mAb #70076を用いた様々なパラフィン包埋同系マウス腫瘍モデルの免疫組織化学染色。F4/80は細胞表面タンパク質で、マウスのマクロファージ集団のよく知られたマーカーです。

IHCマウスモデル試験CD4 25229

CD4: CD4 (D7D2Z) Rabbit mAb #25229を用いた様々なパラフィン包埋同系マウス腫瘍モデルの免疫組織化学染色。CD4は、T細胞で発現することが知られている細胞表面マーカーです。

TIM-3を試験するIHCマウスモデル 83882

TIM-3: TIM-3 (D3M9R) XP® Rabbit mAb (Mouse Specific) #83882を用いた様々なパラフィン包埋同系マウス腫瘍モデルの免疫組織化学染色。

VISTAを試験するIHCマウスモデル 54979

VISTA: VISTA (D5L5T) XP® Rabbit mAb #54979を用いた様々なパラフィン包埋同系マウス腫瘍モデルの免疫組織化学染色。

S100A9を試験するIHCマウスモデル 73425

S100A9: S100A9 (D3U8M) Rabbit mAb (Rodent Specific) #73425を用いた様々なパラフィン包埋同系マウス腫瘍モデルの免疫組織化学染色。

PD-1を試験するIHCマウスモデル 84651

PD-1: PD-1 (D7D5W) XP® Rabbit mAb (Mouse Specific) #84651を用いた様々なパラフィン包埋同系マウス腫瘍モデルの免疫組織化学染色。

CD11cを試験するIHCマウスモデル 97585

CD11c: CD11c (D1V9Y) Rabbit mAb #97585を用いた様々なパラフィン包埋同系マウス腫瘍モデルの免疫組織化学染色。

フローサイトメトリーによる免疫表現型解析

フローサイトメトリーにはIHCに比べ、次のような利点があります。

  • 細胞の大きさと細胞内の顆粒構造から、ある程度細胞を分類することができ、死細胞を除外した解析もできる
  • 発現の弱い表面抗原を高感度に検出することができる
  • 侵襲性の低い方法で得られる検体 (体液や細針吸引検体) を解析することができる