がん免疫の研究
免疫チェックポイント制御
正常な免疫システムでは、自己免疫寛容を維持し免疫応答に伴う自己組織の損傷を防ぐため、一連の免疫チェックポイント機構が備わっています。がん細胞は、免疫チェックポイントに関与するタンパク質の発現制御機構を撹乱し、免疫系による検出、排除から免れていることが多々あります。
現在、免疫チェックポイントに関与するタンパク質を調節することで抗腫瘍免疫応答を活性化し、がん治療や創薬に繋げる研究が精力的に行われています。したがって、がんのような生理学的、病理学的に複雑な条件下にある組織の微小環境を理解する上で、免疫チェックポイントタンパク質や表現型マーカーのプロファイリングを行うことが重要になります。検証済み抗体を用いた免疫組織化学 (IHC) 解析により、信頼性の高いプロファイリングを行うことができます。
CSTは、ヒトおよびマウスへ交差するIHC検証済み抗体をご提供しており、これらを用いることで、バイオマーカーの発現、局在、相互作用、病態に関する詳細な情報を得ることができます。
PD-L1 (E1L3N®) XP® Rabbit mAb #13684: #13684を用い、Leica® Bond™ Rxプラットホームでパラフィン包埋ヒト非小細胞肺がん組織をIHCで解析しました。
養子細胞療法
CAR-T (Chimeric antigen receptor-T) 細胞療法は近年、がん免疫療法として目覚しい成果をあげています。
- T細胞を患者から採取し、遺伝子工学的に患者のがん細胞に特異的なキメラ抗原受容体を発現するように操作した後、患者に戻します。
- CAR-T細胞は、腫瘍の細胞表面に発現した腫瘍関連抗原を特異的に認識することで、腫瘍細胞を探し出して根絶することができます。
作成した改変型T細胞の養子細胞療法における機能を解析・評価する上で、これらを可視化することは大変重要です。免疫組織化学染色 (IHC) などで、T細胞集団の特性や空間的な配置を解析することができます。
TNFRSF17/BCMA (E6D7B) Rabbit mAb #88183: #88183を用いて、パラフィン包埋ヒト正常結腸組織をIHCで解析しました。
がん微小環境における免疫抑制
様々ながんにおいて、がん免疫療法薬剤として免疫チェックポイント阻害剤の研究が進むことで、がん免疫療法分野に革新がもたらされました。抗腫瘍免疫応答の力を利用するには、がん微小環境 (TME) における免疫制御の状態の理解を深めることが肝要になります。
TMEに浸潤する免疫細胞の亜集団や、免疫細胞とがん細胞の相互作用を解析をする上で、これらの空間的配置、共局在を検討することが重要で、この解析において複数のバイオマーカーを可視化することが非常に有効です。免疫細胞とがん細胞の配置を解析するには免疫組織化学染色 (IHC) が有効です。また、チラミドを利用したマルチプレックスIHC (mIHC) は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織サンプルで、6種以上のタンパク質やバイオマーカーを多重解析することが可能な手法で、がん免疫の研究で大変有用となります。
信頼性の高い結果を得るために、検証済み抗体を用いることは重要です。CST®抗体は、バイオマーカーの発現や特定の微小環境における細胞の局在性と相互作用をより良く理解するため、サポートを担当する弊社の科学者によりIHCで検証されています。
漿液性卵巣がん組織における6種の免疫チェックポイント抑制タンパク質をmIHCで解析しました。全7チャンネルのマルチプレックス画像 (左上) と、四角で囲った領域の個々のチャンネルを図に示しています。
Arginase-1 (D4E3M™) XP® Rabbit mAb #93668: #93668を用いて、パラフィン包埋ヒト正常肝臓組織をIHCで解析しました。