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IHCで一貫した結果を得るためのソリューション:一次抗体と二次抗体、希釈液、ブロッキングバッファー、発色試薬、コントロール、その他

抗体は実験の成功を左右する要素の一つであり、抗体が最適に機能するためには、関連製品の選択も抗体の選択と同様に重要です。CSTのIHC関連製品は、CSTの科学者が免疫化学染色 (IHC) の社内検証で使用している試薬と同じものです。これら製品は、CSTの一次抗体、プロトコールと組み合わせてご使用することで最高の結果が得られるよう、綿密に最適化されていますので、安心してご利用いただくことができます。IHC関連製品の全製品リストは、こちらからご覧いただけます。

免疫組織化学染色 (IHC) アッセイを成功させるために重要な要素

抗原賦活化

固定操作で形成された化学的クロスリンクが抗体の抗原へのアクセスを阻害し、結合が妨げられることがあります。 したがって、抗原賦活化 (抗原のアンマスキングまたはエピトープの回復とも呼ばれます) 操作で、脱クロスリンクを行う必要があります。抗原賦活化には、熱処理でクロスリンクした化学結合を切断する方法 (HIER:heat-induced epitope retrieval)、タンパク質分解酵素で消化する方法があります。CSTは抗体検証のプロセスにおいて、個々の一次抗体に最適な手順を決定し、その情報を製品データシートに記載しています。CSTがご提供する抗原賦活化試薬は、SignalStain® Citrate Unmasking Solution (10X) #14746SignalStain® EDTA Unmasking Solution (10X) #14747の2つです。

ブロッキングバッファー

Normal Goat Serum #5425は、発色法および蛍光法を用いたIHCアプリケーションに最適なブロッキング試薬です。また、Tris Buffered Saline with Tween 20 (TBST-10X) #9997Animal-Free Blocking Solution (5X) #15019もご購入いただけます。ご利用の抗体に最適なバッファーは、製品データシートの記載をご覧ください。

一次抗体反応

一次抗体は、あらゆるIHCアッセイで重要な試薬で、データの質に直接影響を及ぼします。質の良くない一次抗体を使用した場合、解釈不能な結果が得られたり、誤った結論が導き出されるおそれがあります。単一組織サンプルで陽性染色結果を得るだけでは、十分な検証を行なったとは言えません。CSTの抗体は、標的を正確に検出することができるように、厳格な検証プロセスを経ています。CSTの高度なIHC-P (パラフィン包埋切片の免疫組織化学染色) 検証済み抗体の製品一覧はこちらからご覧いただけます。

抗体希釈液は、シグナル強度に大きく影響します。SignalStain® Antibody Diluent #8112を希釈液としてご利用いただくことで、染色結果が劇的に改善する抗体もあります。こちらから検索した製品をご使用いただく前に、製品ごとに作成された最適プロトコールに記載されている推奨抗体希釈液をご確認ください。

IHC抗体希釈液4407 4060

抗体希釈液は、シグナル強度に大きく影響します。 抗体の希釈にSignalStain® Antibody Diluentを用いた結果 (左) と、5%正常ヤギ血清含有TBSTを用いた結果 (右) を比較しました。上図はパラフィン包埋ヒト乳がん組織をPhospho-Akt (Ser473) (D9E) XP® Rabbit mAb #4060で染色した結果、下図はHCC827異種移植片をPhospho-EGF Receptor (Tyr1173) (53A5) Rabbit mAb #4407で染色した結果です。#4060では、5%正常ヤギ血清含有TBSTで希釈した結果に比べて、SignalStain® Antibody Diluentで希釈した場合に良好なシグナルが得られます。対照的に、#4407では、5%正常ヤギ血清含有TBSTで希釈した場合に良好な結果が得られます。それぞれの抗体の推奨希釈液は、製品のデータシートでご確認ください。

ポジティブコントロールとネガティブコントロール

実際に抗体を使用し、実験結果が得られたら、そのシグナルが特異的なものかどうか判断する必要があります。IHCでは、実験サンプルと同時にポジティブコントロール、ネガティブコントロールを染色しておくことで、この判断の大きな助けとなります。CSTは組織サンプルの染色での検証を行う前に、様々な細胞株を用い、適切な実験処理を経て調製したサンプルを染色して細胞レベルの評価を行なっています。例えば、総タンパク質の特異性は、標的タンパク質を発現している細胞と発現していない細胞株を使用して調べることができます。同様に、シグナル伝達の活性化あるいは阻害することが実証されている生体分子や化合物で処理した細胞を用いることで、リン酸化やアセチル化、切断などの修飾特異性が確認できます。また、リン酸化特異的抗体の場合はサンプルをホスファターゼ処理することで、さらに特異性を確認することができます。アイソタイプを揃えたコントロール抗体を使用することで、一次抗体のFc領域との結合や、その他タンパク質間相互作用に起因する非特異染色を評価することもできます。こちらからCSTがご提供するIHCコントロールスライドの一覧をご覧いただけます。

IHCコントロールのシグナルの強さ

シグナルの特異性を裏付けるには、適切なコントロールが必要です。 Phospho-p44/42 MAPK (Erk1/2) (Thr202/Tyr204) (D13.14.4E) XP® Rabbit mAb #4370を、他社のIHC用Phospho-p44/42 (Tyr202/Tyr204) Antibodyと比較しました。NIH/3T3細胞を阻害剤 (U0126) 処理した場合 (左) で非特異的な染色の最小化、活性化剤 (TPA #4174) 処理した場合 (右) で特異的なシグナルを最大化することで、各抗体の最適な希釈率をそれぞれ評価しました。決定した各抗体の最適希釈率で、パラフィン包埋したヒト卵巣がんのIHC解析を行いました (B)。推奨の希釈率で他社の抗体を使用すると、阻害剤で処理した細胞 (NIH/3T3+U0126) も染色されていることが分かります。CSTが決定した最適希釈率で他社の抗体を使用すると、阻害剤で処理した細胞は染色されませんが、組織も有意に染色されません。CST抗体は、細胞と組織のどちらも、正確に染色します。

洗浄

CSTの科学者は、洗浄操作にTween 20 (TBST-10X) #9997を用いてIHC-P検証済み抗体のプロトコールを最適化しています。

検出試薬

SignalStain® Boost IHC Detection Reagents (#8125#8114) は、ポリマー法に基づいた高感度検出システムで、ビオチン-アビジン反応を利用した検出システムと異なり、細胞内在性ビオチン由来のバックグラウンド染色を避けることができます。IHC実マウス験において、SignalStain® Boost IHC Detection Reagent (HRP, Mouse) #8125SignalStain® Boost IHC Detection reagent (HRP, Rabbit) #8114 は、それぞれマウスとラビットの一次抗体を検出できます。

すべてのDAB基質が同じように機能するとは限りません。SignalStain® DAB Substrate Kit #8059は高感度な発色試薬で、CSTの一次抗体と組み合わせてご利用いただくことで最適な結果が得られます。

IHCポリマービオチン検出

ポリマーベースの検出法は、ビオチンベースの検出法より高感度です。 パラフィン包埋ヒト肺がん組織切片に反応させたS6 Ribosomal Protein (54D2) Mouse mAb #2317を、ビオチンベースの検出法 (左図) またはポリマーベースの検出法 (SignalStain® Boost IHC Detection Reagent #8125、右図) で可視化しました。ポリマーベースの方が感度が高く、より強いシグナルが得られることが分かります。

IHC DAB基質9145 8059

すべてのDAB基質が同じように機能するとは限りません。 パラフィン包埋ヒト乳がん組織をPhospho-Stat3 (Tyr705) (D3A7) XP® Rabbit mAb #9145を用いてIHCでか解析しました。発色試薬としてSignalStain® DAB Substrate Kit #8059 (左図) または他社のDAB製品 (左図) を用い、両者を比較しました。他社のDAB製品に比べて、SignalStain® DAB Substrate Kitで非常に強いシグナルが得られました。

封入および観察

スライドの封入と保管に最適な条件が得られるように、SignalStain® Mounting Medium #14177の使用を推奨しています。